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約束がプレゼント
「城内さん! 今日はありがとうございました! ーーそれに鬼木さんも」
玄関先でのことだった。
まだ家の中にいた千春が、慌てて駆けてきた。
「ッハ! 別にテメエの誕生なんか祝ってねえよ」
そう吐き捨てて、鬼木は歩き出した。
そんな彼の前に飛び出して、じっと立ち尽くす千春。僅かばかりの緊張感はあれど、お互いに闘う意思はないのが分かる。
「何だ?」
「これ、どうぞ」
そう言って、千春が差し出したのは、アルミホイルで包まれたーー
「握り飯? ッハ! 女なら、洋菓子にしとけ!」
吐き捨てたものの、おにぎりを手放すことなく、鬼木はスタスタと歩いて、闇夜に消えた。
「城内さん……今日は、素敵なハンカチをありがとう」
何度目かのお礼と笑顔に、つられて微笑む。
「フン。そんなもので良かったか?」
「……城内さん。私ってワガママなんです」
「うんz」
「もう一つ欲しいものがあるんです」
「何だ?」
「ーー約束」
次の瞬間。虚を突かれた気がした。
「お兄ちゃんを守って下さい」
その願いに、
「ーーああ」
とだけ答えたのだった。




