表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女の狩人  作者: 秋
5/71

団らん

「ーーあ、れ……?」

目を覚ますと、自分の部屋にいた。

しばし呆然としたまま、ベットから身体を起こすーーいや、突然の激痛に襲われ、起き上がれなかった。

「っ痛! 背中ーー! って、何で裸?」

どうやらまだ頭の回転がよろしくないらしい。今頃になって上半身が裸なのに気がつく。

「あれ……そういえば、俺、昨日……」

不意に記憶の中で、今まで見たことのない女の子の姿が思い浮かぶ。

「フフフ。目が覚めたみたいですね?

新一さん」

突然。声がしたので、驚いて振り向くと、足元で正座していた彼女は、

「君は! 昨日の!」

「ーーはい。名切美月と言います」

そう言って、不敵に微笑んだ。


「フフフ。どうやら、その様子だと元気そうですね?」

飛び上がった俺を見て、彼女は再び微笑んだ。

「あの、えっと……名切さん?」

「はい」

耳に残る凛とした声。それに……。

聞きたいことは山ほどあるのに、彼女の姿に目を奪われて上手く言葉が出て来ない。

「フフ。わかっています、新一さんの聞きたいことは……。今から順を追って説明します。ですから、まずは、その……」

名切さんの頬が赤らむ。そして、視線が逸れる。

ん? どうしたんだ?

「お兄ちゃん、名切さーん! ご飯だよー」

部屋の扉が開き、ヒョッコリ顔を出したのは、妹の千春だった。

「ちょっ、何やってんの! お兄ちゃん! そんな格好で!」

「えっ?」

言われて初めて、自分がパンツ一枚なのに気がついたのだった。


「ったくもう、信じらんない! お兄ちゃんのバカっ」

「あはは……はあー」

服を着た俺は、千春の後に続いて、一階の台所へと場所を移した。もちろん、俺のすぐそばでは、名切さんが「フフ」と俺たち兄妹のやりとりを見て微笑んでいる。

「とりあえず、朝ご飯にしよ」

台所の入り口ののれんを潜ると、目の前には、簡素ながらも美味しそうな朝食が用意されていた。

ご飯に、焼き魚、そしてお味噌汁に漬け物。いつも通りのものなのだが、毎日「美味しい」と思わせるだけの腕がある千春は、中々、いいお嫁さんになると思う。

俺と千春は、お決まりの席。向かい合うように、イスに腰掛ける。

「名切さんもどうぞ」

千春が、俺の隣の席を彼女に手で示す。

「えっ、私は……」

言われてみれば、テーブルの上には、三人分の食事が並んでいる。

さすが千春。俺も薦めようとは、思っていたところだ。

遠慮気味の名切さんに、俺もイスを引いて、再度、促す。

「どうぞ。千春の料理は旨いから」

「ちょっ、お兄ちゃん! もう、恥ずかしいでしょ……」

「ーーさあ」

名切さんは、俺たちに視線を配って、

「では……」

と、軽く頭を下げて腰を落とす。

そして「フフ」と微笑んだ。

「お兄ちゃん?」

どうやら俺は、彼女のこの仕草にどうも弱いらしい。

「あっ、ああ。じゃあーー」

パンと手を合わせて、

「いただきます」

久しぶりの、俺と千春以外の人が加わった食事だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ