夜道 殺人鬼
「ッハ! 殺されてえのか? お前は」
「フフ。今晩は。殺人鬼さん」
住宅街の夜道を歩くこと、数十分。
人気が完全になくなったであろう瞬間に、鬼木は現れた。
まあ、現れたというよりは、誘ったのだが。
「こんな人気の無いところを歩いていれば、貴方が現れるんじゃないかと思って?」
「ッハ。じゃあ聞いてやるよ?
ーー何の用だ?」
「貴方を誕生日会にお誘いします」
「……ハア?」
彼から一気に闘士が消えた。
どうやら戸惑っているようだ。
「新一さんに、千春さん、という妹さんがいらっしゃるのはご存知ですか?」
「あの女か……ッハ。面白え奴だな。確かに」
まさかこの男が、人を高評価するなんて驚いた。
「彼女の誕生日がもう直ぐなんです」
「それで?」
「お祝いして欲しいそうです」
またしても沈黙。
「どうしますか?」
再度の問いに、
「行くわけねえだろうが!」
大声で返事をする。
身体がビリビリとする。
まあ予想は、していたが……。
「何を考えてやがる! テメエは!」
それだけは答えられない。
「分かりません。この立案者は、新一さんですから」
「ッハ……」
「では。確かに伝えましたから」
そう言って、後を去ろうとすると、
「待て。帰れる訳ねえだろうが!」
「ーー帰ります。新一さんと約束しましたから。誕生日会に出席すると」
「テメエ……」
一瞬。赤い瞳を向けて、今度こそ立ち去った。




