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謎の影
「どうして、こうなったの……アハハハハハ! 私の研究成果が、一瞬にしてパア……アハハハハハ!」
髪をかきむしって、辺りを見回す。この状況の元凶である、双士の友達の姿もない。それどころか、研究成果の鬼木までもがいない。
これでは異端者狩り教会へ何の報告も出来ない。
「でも、何故かしらね? ちょっとホッとしているのよね……」
双士にも友達がいた。人並みの幸せなど一度の与えてこなかった私の息子に、友達がいた。それだけは、何故だかホッとしている。
「私も親だったってこと?」
誰にともなく呟くと、
「ニヒヒッ。そんな訳ねえだろう?」
暗闇から声が聞こえる。
「誰なの?」
姿も見えない謎の人物に身体を震わせる。
「誰!」
その瞬間だった。
闇から、手が伸びたかと思うと、胸ーー心臓を一突き。
心臓が、とまーー。
私の視界は真っ暗になった。最期に、
「じゃあな? 夏秋の、そして俺の母親よ」
それだけが聞こえた。




