生きることに迷っているのならば、死ねばいい。
「フフ。行っちゃったわね?」
見送った先には、新一と円口がいた。
どうせ向かった場所の見当はついている。
「あなたは行かないの?」
振り返って、訊ねた。
「フン。知ったことか」
狩人ーー城内武はそう答えるだけ。
そうそれだけだった。彼からは、敵意も殺意も感じない。力があるないの拘わらず、異端者狩りは皆、それらを持ち合わせているのに。
今だって、腰の刀で私を後ろから突き刺すことだって出来るだろう。
まあ、そんなことをさせる気は、更々無いのだが……。
「私を殺さないのね?」
不意に質問してしまった。
挑発にも捉えることが出来る問いに、彼は迷っていた。
「殺さない、だと……?」
手が刀に伸びる。そして鍔に触れた瞬間。カタカタと音が鳴る。
「俺は、俺は……!」
そして、不意に、こう呟いた。
「俺は、何の為に生きているんだ?」
その言葉を聞いた瞬間。一気に、逆鱗に達してしまった。
「生きることに迷っているのなら、死んでしまえばいい! 生きることに迷いも躊躇いも必要ない! 生きている、それこそが正しいことなのだから。生きることに迷うなど、死者への冒涜としか思えない!」
声を荒げてしまった。こんなに感情的になったのは、新一さんに出会う以前ならば久しいことだった。
「……」
沈黙を守る狩人。返す言葉も、何もない彼に興味はない。
踵を返して、一言だけ。
「さようなら」
そう告げて、私は、新一さんを追いかけた。




