キス 想い
「城内さん、気分はどうですか?」
台所に立つ彼女の後ろ姿を、ぼんやりとした視界で見つめる。
血を流しすぎたか。
昨晩のことを思い出す。
最凶の狩人との一戦。確実な実力差の中で生き延びただけでも、幸運なのか。
いや、もしかしたら、昨晩の俺は死ににーー。
「城内さん。これ当てて下さいね?」
額におしぼりを当てられる。
いや、それだけではない。かすり傷から深手の傷まで、見分けてしっかりと手当てをしてくれている。
何故だろう?
何故、俺を助けてくれるんだろう?
確かに千春は何も知らない。異端者のことも。狩人のことも。
だが初めて会った時に、俺は刀を持って斬り合っていた。
それだけで、遠ざけるのには、充分ではないだろうか。
「何故、助けた……?」
さ迷うような視線の中でも、彼女の瞳だけはまるで光り輝き、自然と合わせることが出来た。
「ーー困っている人がいたら助ける。なんて格好いいことは言いません。城内さんだからこそ、助けたんです」
「ーー何故?」
今度は半身を起こす。
真実を知りたいと、言葉に出来ない分、身体で伝えた。
彼女の答えこそが、今の俺の中の迷いと通じるものがあると考えたのだ。
「私はーー」
不意に胸に手を当てられたかと思うと、
突然だった。
唇と唇が優しく重なる。
「ーー城内さんのことが好きなんです」
その時。初めて視界がハッキリとし、頬を赤らめて真っ直ぐにこちらを見つめる千春の姿が映った。




