カノジョ
まさか、新一に彼女が出来るとはな。
驚きつつも、嬉しくもあり、何だか寂しいような。心の中がゴチャゴチャしているが、自然と自分の表情が微笑んでいるであろうことはわかっていた。
もう一度。新一の彼女を見る。
ブラウンのショートカットが似合う、可愛いいや美しい……どちら共に見方が出来る綺麗な子だった。
新一の手を握り、フフと微笑む姿は幸せそのものだった。まあ、それは新一も同じことだが……。
こんな光景。千春ちゃんが見たら大変だぞ。
でも、こんな綺麗な子。この町にいたんなら、すぐに噂になりそうなんだが……。そう言えば、名前……。
まるで、俺のそんな心の中を読んだかのように、彼女はフッと微笑んだ。
俺はまるでその微笑みに吸い寄せられるかのように、彼女の傍へと。
「申し遅れました。円口卓也さん」
その瞬間。寒気がした。
先ほどまでの可憐さから転じて、妖美な。それでいて恐怖を与えるかのような笑みで彼女は続ける。
どうして俺の名前を!? そんな疑問など置き去りにしたままーー。
「ーー私は名切美月です」
知らないはずがなかった。その名を聞いて、棒立ちのまま血の気が引いていく。
異端者ならば、知らぬ者はいない。
異端者殺しにして、異端者狩り殺しにして、人間殺し。数々の罪を上書きして、付いた異名が……。
災厄の魔女。
「私の邪魔をするなら、あなたも殺しますから」
俺はただただ、立ち尽くし、彼女の後ろ姿と、新一の嬉しそうな横顔を見つめていた。




