#1-3
「な、なにそれ?」
僕は自転車を走らせながら後ろの吉野さんに聞いた、僕は前を向いたままなので吉野さんの顔を見ることはできないが、代わりに興奮と楽しさが織り交ざったような返事が返ってきた。
「これは・・・あたしが作った防犯用手投げ花火爆弾よ!!」
え?いまこの人なんて言ったの?
僕は今の一瞬の会話をもう一度頭で振り返った。
防犯、手投げ、・・・花火爆弾!?
「えっ、ちょっ・・・なにその物騒な防犯グッズ!?」
「別に物騒じゃないわよ、お祭りの花火を小さくしたようなものよ」
「十分物騒だからね!?」
吉野さんは僕の話など聞いておらず、花火爆弾を今にも後ろのポニーフェイスに投げようとした。
「わあぁぁぁぁ!?ちょっと待って吉野さん!!あっ・・・学校が見えてきたよ!?だからもう少しまっ・・・」
「飛んでええぇぇぇぇ!!」
もうすでに遅かった、吉野さんはいつのまにか花火爆弾に点火していて、10メートル程後ろにいるポニ男に投げてしまった。
「・・・急いで逃げて!!」
花火爆弾を投げた張本人は少し焦った顔で僕にそう言ってきた。
なにを焦っているのか僕は吉野さんに聞こうとすると、
その理由は僕が聞くより先に吉野さん自身が答えてくれた。
「あの爆弾、火薬の量間違えて多く入れた方だったかも・・・」
とっても嫌な形で。
更に何かいやな予感が頭を過ぎる
でも僕はその先を聞かずにはいれなかった。
「えっと・・・多くとはだいたいどの位の量で?」
「・・・お祭り花火1個分位」
聞かなきゃよかった・・・
吉野さんの死刑宣告を受けたときの絶望的な答えを聞いた時には僕はもう無意識に
というか動物の本能的な何かで、ほぼ棒になりかけていた足で死に物狂いでペダルを漕いだ。
ここで失速したり足を止めたりすれば・・・・確実に死ぬ!!
いままで生きてきた中で一番必死になって自転車を漕いだ。
「あっ!!あのポニーフェイス花火爆弾の前で止まったわよ!!これで安心ね、って・・・こっちに持ってきたんだけど!?」
あのポニー野郎!!どんだけ体力ポニー鹿なの!?!?
学校まで後30mをきった所で吉野さんが僕の背中に手を回して抱きついてきた。
吉野さんの胸が僕の背中に押し付けられる
「ちょ・・・ちょっと吉野さん!?なにをっ・・・」
予想外のイベントにどぎまぎしながら僕は吉野さんの方を向き・・・
「ごめんもう爆発する」
凍りついた
そういいながら吉野さんは自分の身体ごと僕に抱きついたまま右に身体を投げた。
その瞬間後ろのポニー馬ヅラーの腕の中で花火爆弾が爆発・・・する寸前でこっちに投げてきた。
その瞬間、走馬灯のように僕の頭に過ぎったのは、自分の背中に押し付けられた、吉野さんの豊満な胸の感触だった・・・
自分の最後がおっぱいのことを考えながら終わるとは思わなかった・・・
ッバアァァァァァァァン!!!パパパパパアァァァァァンン!!!
という爆音が鳴り響き花火爆弾が爆発したの
僕と吉野さんが水の張ってある田んぼにダイブしたのは同時だった。
ダイブした衝撃を爆発の衝撃と勘違いした僕は、そのまま気絶した。