プロローグ
1997年5月27日。南極を調査中の南極観測隊第3基地調査隊が、氷の地下世界にて古代都市を発見。そこは現在社会をも超越する高度な技術力を持った都市だった。しかし、数年たった後でも、なぜ古代都市が南極にあり、なぜ先住民が滅び去ったかは、不明だった。
カビ臭い闇の中、体を丸めて隠れる花子はふと思った。もしもこの世の理があべこべになったら、どうなるのだろう? それは限りなく不思議の国、ワンダーランドに近い世界になるだろうな。
しかし、残念ながら現状はワンダーランドとは程遠い状況だった。
呼吸を整え、できるだけ静かにしようとした。もし、どんなに小さな音でも、クローゼットの外にいる「奴ら」には感じ取られてしまう。奴らは敏感だ。どんなに些細なことでも、たとえば小さな音や荒れた呼吸、つばを飲み込む音、とにかくどんなことでも、すぐに異変に気づいてしまう。奴ら程恐ろしい生物は、果たしてこの世にいたのだろうか?
足音がした。
奴らだ。
花子を口を両手で覆った。
音はいったん止まる。
だが、やがてはクローゼットに向かってきた。
なんで、音を立ててないのに! そう思った。だが、実際は音を立てていた。それはあまりにも小さく、些細な音だ。その音は生きている間、絶対に消えることはない。心臓の鼓動だ。
足音はやがて、クローゼットの前でとまる。
花子は必死に音をたてないようにしたが、もはや無駄な行為だった。
クローゼットの扉が破壊される。
強烈な光が花子を襲い、花子はあまりのまぶしさに目を閉じだ。
それが仇となった。
花子は逃げる暇もなく、「そいつ」の伸びてきた腕で頭をつかまれ、光の中へと消えていった。
クローゼットには誰もいない。
遠くから響く女性の悲鳴と、砕かれる骨の音以外は。
どうも、作者のアンジェイです。文才は恵まれていないと思いますが、どうか温かい目で見守ってください。どんな感想も受け付けています。