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俺の家で吸うな。

 俺は家に帰るなり、居間で教育番組で、やたらと手が込んである十五分間のドミノ倒し番組を食い入るように見ている、一人と一枚の手を取り、自室の押入れと入れ込む。

「ちょ、何をするんですか、忍殿!!」

「あ、馬鹿コーサカ!!今一番手が込んでありそうなドミノだったのに!!」

 俺は各々からの質問、文句を浴びながらも着実に事を進める。

 そして桜花の寝床である押入れの襖に手を掛けた。

「いいか、急に客が来た。ここでそいつにお前等の存在を知られると、非常にやばい」

 主に俺の体面がだが。

「そういうわけで、そいつが帰るまで此処で待機。なお、拒否権はない」

 俺はそう言い終わると、襖を力いっぱい閉め、閉めたほうと逆側に用心棒の変わりになるものを差込、折りたたみのベットを上げる。

「よし、コレでオッケー」

 俺は折りたたんだベッドで襖が見えないようにした。

 そして、玄関先で俺の合図を今か今かと待ちわびている客人を部屋に招く。

「おそい、高坂。別に俺は女じゃねーから部屋にいかがわしい本の一冊や二冊や何らかの紙が落ちていても気にしないって」

 客人はそういって声を上げて笑った。

「俺としてはそういうのは見たくないけどなぁ…公太郎」

 そういって俺は客人の名前を呼ぶ。

 事の発端は今から一時間ほど前である。


「おーい、高坂〜」

 帰り支度をしていると公太郎がにこやかに手を振ってこちらへと駆けて来た。

「どうしたんだよ、公太郎。やけにご機嫌じゃないか? 悪いもんでも昼に食べたか?」

 俺は手提げバッグのチャックを閉め、公太郎と向き合った。

「悪いもん食うったって、お前と俺は今日は一緒の『きつねうどん』を食べただろ。俺がおかしくなるならお前も、さぁ一緒に!?」

 公太郎はその場でターンしながら頭を下げ『しゃるうぃ、だぁんす?』と聞いてきた。

「断る。しかもきもいわハム太郎!!」

 俺は手の甲で軽く公太郎のでこを弾く。

「おお、ナイスツッコミ。ボケるお前もついにはツッコミを覚えたかぁ…」

 このままでは、地球の寿命が来るまで話が進みそうにないので話を切り出す。

「で、何か用? ないなら俺帰るよ?」

 俺はくるりと方向を変え、家へ帰ろうとする。

 公太郎は『まってくれよ〜』と、よく映画とかで居そうなお調子者の真似をして俺の後を付いて来る。

 結局は公太郎と二人並んで帰路を進む。

 そしていつも公太郎が曲がる地点で公太郎は曲がらず、俺と他愛もない話をしながら歩く。

 俺は公太郎に曲がらないわけを聞こうと思ったが、多分店か何かに用事があるんだろうと一人で納得。

 俺の家が見え、俺は真っ直ぐに家の…アパートないの敷居を踏む。エレベーターに乗り、自分の家の階へと進む。

「そろそろ言っても良いよね?」

 俺はくるりと振り返る。

「お前何処まで付いてくる気だよ!? ストーカーか、お前?」

 公太郎は『いっけね、ばれちゃった♪』と舌を出してウインクするという、妙に古臭く、芝居のかかった動きをする。

「いや、結構前に話したろ? 俺んち唯一のDVD再生機器の『黒い箱』のDVD機能が変だって」

 確かに数日前聞いた。

 ゲームは出来るけど、DVDが見れないっていう、変な状態だったな…

 幸い、俺んちの『黒い箱』は今のところ元気に動いてくれるが。

「でな、俺隣のクラスの奴らからDVD借りたんだよ〜でも、俺んちじゃ見れないからお願い、高坂!このままじゃ生殺しだよ! 気になって夜も眠れない!」

 まぁ、此処まで付いてきた事だし、何の映画か気になるからな。

「ああ、良いよ」

 そう口にした瞬間、思い出した。

 俺の家の中は、ほんの数日前とは現状が全く違う事を。

 さっきの許可を取り消そうと、公太郎へと視線を向ける……

 其処には『やった、やった♪』と上機嫌で踊っている公太郎の姿が。俺は、そんな彼に『やっぱ駄目だ』と断れるほどの勇気と行動力は持ち合わせていない。

 そんな俺だから、コンビニで買い物をしたときに、レジのおねーちゃんから『肉まんもどうですか?』と笑顔で聞かれたときに、食べたくもないのに『あ、そうだね、お願いします』と言ってしまうのだろうか?

 そういうことは玄関先に置いておいて。

 俺は公太郎に『ちょっと待ってろ』と言って家へと突入。桜花の靴を隠し、居間へと一直線。

 これが今までの経緯だ。話は元に戻って……

 公太郎を居間へと招き入れる。

「早速だけど、高坂、『黒い箱』お願いね」

 公太郎は制服の上着を脱ぎながらそう言った。

 俺は『了解』と制服のボタンを外しながら答え、俺は六畳半の自室へと向かった。自室で、ジャージに着替え、居間のテレビに『黒い箱』を接続する。

 俺は公太郎に何か飲み物を出すために、キッチンへと向かった。俺が自分の分の飲み物と公太郎の分の飲み物、適当なお菓子を持って居間へと戻った時には、公太郎はDVDをセットし、再生ボタンを押してるところだった。

 テレビの画面には大きく『活動絵巻、戦国編』と大きくタイトルが表示されていた。

 俺はこんな映画あったかなぁと不思議に思いながらも、公太郎の横へと座った。

 始まって五分ぐらい経った頃、やたらといやらしい格好のくのいちのおねーちゃんと、これまた露出の高い侍女のおねーちゃんが戦っている。

「公太郎? この戦闘の始まり方妙に変だぞ…」

 そしてその瞬間、俺は凍りついた。

 画面の中の色は肌色。

 つまり、アレだ。

 コレは俺が予想していた血湧き肉踊る派手な戦闘ものの映画でもなく、うっすらと目尻に涙の浮かぶ感動ものの映画でもない。

「公太郎、コレってえーぶ…」

 俺は口を開くが、ついつい画面に見とれてしまう。

 結局、俺と公太郎は二時間もの間、この映画を見てしまった。『続く』と表示が出る頃には日も落ち、辺りは暗くなっていた。

「いやぁ、しかし、面白かったなぁ公太郎…馬鹿馬鹿しくて」

「そうだよなぁ…実際にあんな風に一つ屋根の下で女の子と暮らして見たいよなぁ…勿論今の時代で…」

 俺と公太郎は映画の感想を語り合っていた。

「確かに。ラヴコメの生活ってやつは一度は体験してみたいよなぁ」

「じゃぁ、とっちが先にその生活を手に入れるか賭けようぜ!! 負けた奴はペットボトル2リットル奢りな、高坂!!」

 公太郎とありえない賭けを始める。

 まぁ、こういうのは非現実だからこそ良いのであって、実際にはあるわけがない。

「高坂ぁ。お腹すいたー、何か作って〜」

 公太郎は高校生にふさわしくないスティックを堪能している。

「俺の家で吸うな! 臭いがうつるだろう。それにこんな時間まで俺の家に居て良いのか? お前は主人各の小学生か中学生かの女の子の一日の感想を聞いてだなっ…うわっぷ!!」

 俺の顔に煙が吹きかけられる。

「だから公だけをカタカナで縦に読むなって」

 そういって公太郎は『にししし…』と笑う。

「償いとして食い物を作ること」

 そういって公太郎はチャンネルを変え、バラエティ番組を見る。

 俺は公太郎の笑い声を聞きながら、残り物のの白飯で焼き飯を作る。

 飯も食い終わり、ほのぼのとした雰囲気でテレビを見ている俺と公太郎。

 見ていたドラマも終わり、公太郎は時計を見て『そろそろ帰るわ』と言って、制服をまた着だした。

 そして俺は公太郎を玄関先まで見送って、皿を洗い始めた。

「ったく、霧雨のコップは洗いずらい…」

 そう独り言を言って何かを思い出した。

「そういえば!」

 俺は完全に思い出した! 押入れの件を。俺は急いで六畳半の自室へと向かい、押入れをあけてやる。

 中には……死にそうな顔色をした桜花と霧雨が居た。

「し、忍殿ぉ〜」

 某井戸女の如く押入れから這い出してくる桜花。ぶっちゃけかなり怖い。

「コーサカ……殺す気か!!」

 某チェーンソー男のような雰囲気を漂わせて押入れから出てくる霧雨。ぶっちゃけ怖くない。

「いや、悪かったって、な?」

 俺は一歩下がり、両手を前に突き出して一人と一枚をなだめる。

 だが、それだけでは怒りは収まらないようで俺は押し倒されてくすぐられている。

「おまっ…ちょッ…やめッ!!」

 その時、玄関の戸が開いた。

「わっりぃ、高坂、ライターわすれっ……」

 くすぐられている俺と、公太郎の目が合う。

 き、気まずい!!

 公太郎、コレは違うんだ、コレは!

 声にならない声で俺は震えている公太郎に声を掛けようとする。

「高坂…何、これ?」

 信じられないと言った顔で公太郎は俺に答えを求める。

 俺は公太郎を再び居間へと招き入れる。


「公太郎、コレはある事情があってな…」

 俺は正座をして霧雨を指差す。

「見たとおり、ありえない大きさだろ? この子。実はこの子奇病でな、何十万人に一人発病するかしないかの病気で、身体が凄くちっさくなってしまう病気なんだ」

 勿論嘘である。

 本当のこと言っても信じないだろうし、俺がそう言われても信じる事はできない。

 だから、嘘八百で突き通すしかない。

 桜花、霧雨には目で合図をし、話を合わせろ、と言う雰囲気を出しておく。

「で、元々別の県に住んでた俺の従姉妹でさ、この、霧雨の病気が外国のメディアにばれたらしいんだ。それで連日、こいつらの家には、特ダネをゲットしようと各国の記者が集まってだな……こいつらの親…つまり、俺の叔母さんがストレスで倒れちゃってね。で、記者を撒くために一人暮らしの俺んちで暮らすことになったんだ。でな、お前にも黙っていたのは、少しでもこういう情報を他人に漏らすと……」

 俺はそこで言葉を途切れさせ、公太郎の様子を窺う。

 我ながらよく此処まで良いわけを思い浮かべれるなぁ。

「高坂! ひどい話しだよなぁ」

 公太郎は腕を組み、うんうんと頷いている。

 よかった、信じた!!

「でもな、その格好おかしいだろ。さっき見たくのいちの格好や巫女さんの格好は」

 鋭い公太郎のツッコミ。

 俺は答えに困り、言葉のキレがなくなる。そんな俺の様子を不審に思った公太郎が口を開く。

「何か隠してるな…高坂?」

 俺と公太郎は昔からの仲で、お互いの癖などが良くわかるほどだ。俺の頬、背中に冷たい汗が流れる。

「公太郎殿、手前たちの実家は神社で、しかもかなり昔からの考えが続いてる家でして。手前たち姉妹のうち、家の血がこゆい方が巫女になり、もう一人のほうが黒子のようなことをするのがしきたりでして、手前より妹の霧雨のほうが血がこゆく……」

 桜花が俺へ助け舟を出す。

「えっとな…覚えてるか、公太郎、お前昔『寺とかそういうところに住んでる奴って俺ちょっと付き合いにくいなぁ…』って言ってたろ?」

 これまた嘘である。

「それでな、家は寺とかじゃないんだけど、従姉妹にそういうのが居た俺としては、真実を打ち明けるのが怖くてな…」

 唇を噛みながら俺は公太郎を見る。

「そ、そんなこと言ったのか、俺……いや、言ったような…気も…」

 俺は言葉巧みに公太郎の頭を混乱させる。そして、公太郎は口を開いた。

「高坂、今日見たことはしゃべらねぇよ。俺の胸の中でしまっておくよ」

 そう言って公太郎は笑った。

 良いやつだなぁ。

 多分、コレが偽り無しの出来事だったら多分俺、泣いてたな。

「じゃぁ、俺帰るな」

 ちょっと落ち込んだ様子で席を立つ公太郎。

 それもそうだろう、何せ友人の隠していた一面を知ったのだから。

 家に見知らぬ同居人が居て、これからも気軽にそいつの家を尋ねれるわけがない。

 俺だってそうだと思う。

 知人の家に自分の知らない同居人が居れば、気まずく、今までのように急に押しかけたりとかも出来なくなる。

 公太郎はそんなことを考えているのだろうか?

 俺は声を掛けられずに公太郎の背中を見送る。

「おい、ハム太郎! また何時でも遊びに来い! 拙者達の知らないコーサカのことを教えてくれ!!」

 霧雨がテーブルの上で手を振っている。

 公太郎はそんな霧雨を見て。

「俺はコータロー、そこんとこオッケー? 霧雨ちゃん」

 霧雨に親指を立てて、公太郎は答えた。

「公太郎、またいつもの通りに家に来てくれよ。こいつらなんて俺の妹ぐらいな感じで見て良いからさ。今度、皆で何か飯でも食いに行こうか?」

 俺は公太郎に笑いかけてそう言った。

こんばんわ、水無月五日です。

がんばって、この話も盛り上げていこうと思います。

いろいろとネタのあるこっちのほうが進めやすいのが今の現状。

これからもがんばっていきます故、よろしくお願いいたします。

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