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即停学よ?

 七不思議。何処の学校にもある一種の話の種。話の殆んどが先輩や人伝いに聞く話で、信憑性は薄い。

 だが、その噂の現場に実際に立ってみると、何となくだが真実味がある。

「高坂〜、マジで出そうだよな、コレ」

 公太郎は七不思議のひとつ、血まみれの廊下と言われている廊下の床を見て言う。

「天井とかなんか気持ち悪いよな、ハム太郎」

 俺も同じように天井を見て言う。天井は雨漏りのため染みが残ってしまい、その色暈け方などが、血のように思わせる。

 曰く、この廊下で一日何時間と残業を強制させられていた教師が血を吐いて此処で倒れていたらしい。

「でもよ、旧校舎が残っている高校って珍しくないか? 今旧校舎壊して新校舎が建つ学校なんて一杯あるぞ?」

 馬場が廊下の壁を触って顔をしかめた。多分手が汚れたのだろう。

「オーっ、ニッポンにはやおろずの神と言うのが居ますよネー! きっと其れデース!」

 エミリーは始めて入る旧校舎の雰囲気に喜んでキョロキョロと周囲を見渡している。

 夕方六時を過ぎた頃合、日が傾き始め旧校舎の廊下を夕日が赤く染め上げる。何となく其れが少し此処の雰囲気を盛り上げている。

「忍殿〜他にはどんな七不思議があるんですか?」

「えっとね、増える十三階段とか、歩く人体模型とか、窓から落ちてゆく人影とかかなぁ、全部思えてないよ」

「ちょっと、ねぇ、もう止めましょうよ、こんな時間に先生にこんな所に居るのばれたら持ち物検査で即停学よ?」

 おずおずと付いてくるツンデレ委員長は周囲の人間と早く帰ろうと促してくる。

「あっはっはーツンデレ委員長今デレモードだッ!」

 馬場と公太郎が二人肩を組んでツンデレ委員長を馬鹿にする。

「うっさい、黙れ、ハム太郎に馬鹿ッ! というかこの子誰よ!?」

 ツンデレ委員長は桜花を指差して言う。

「あれ、委員長の友達じゃないの? 俺てっきりそうだと思ってた」

 俺はわざと桜花の事なんか知らない、委員長の友達じゃないの、と関係者じゃないということを言って見ると、顔が青ざめる。

「ちょ、私知らないわよ、この子ッ!」

「うっそ、ツンデレ委員長の友達じゃないのッ!?」

 桜花の事を知っている公太郎も一緒になって委員長を脅かす。

「知らないわよ知らないッ! こ、この子七不思議のひとつ、ともちゃん?」

 ツンデレ委員長が一歩後ずさりながらカタカタと震えている。

「忍殿、ともちゃんってなんでしょうか?」

 桜花がはてなと俺に聞いてくる。内側の胸ポケットに忍び込んでいる霧雨も同じようにつついてくる。

「えっと、確かともちゃんってのはおとなしい子でクラスに友達が居なくて、逆にいじめられていた子なんだ。それで旧校舎で自殺したとかなんとかで、こうやって友達数人で歩いているといつの間にかに居るって霊さ」

「ふむ、となると悲しい霊ですね」

「そうだよね、一緒に居るだけで何にも悪さしないなら特に怖がる必要も無いのにね」

 と、俺は委員長を見ながら言う。

「ちょ、高坂君、何フレンドリーに話してるのよ!? しかもその流れだと私悪者?」

 おろおろしながら委員長は言う。が、此処で耐え切らなくなった俺と公太郎は声を出して笑う。

「…ぷっ、あははは、委員長マジでびびってんの!」

「いやぁ、面白いものみたな!」

 状況が把握できず、おろおろする委員長。

「ちょ、なによ、なに!?」

 少し泣きそうでもある。

「いや、この子桜花ちゃんっていってな、高坂の従姉妹。今こっちに家の事情できてるらしい」

 その話を聞いて、委員長は顔を真っ赤にした。

「ちょっ、馬鹿ッ! なんでそんなたちの悪い冗談やるのよ、こっちは本気でびびったんだからね、というか高坂君もそういう冗談なんか本気でやらない人って思ってたのに、一番タチ悪いなんて……」

 とまぁ俺と公太郎はバシバシ殴られているのだが、委員長は心底ほっとしたような感じがする。

「次はおなじみのトイレの七不思議だけどどうする?」

 俺はエミリーに聞いてみる。

「どうしたのデスカー、シノビ?」

「いや、トイレとかってマジで出そうな感じがするからなぁ、旧校舎とかなら尚更」

 一同、うんうんと頷く。

 俺たちがやっているのは七不思議の探索ではあるが、実際に霊を見ようとかそういうものではなく、噂話の現場をただ歩いてみようというだけなのだ。

 まぁ、一番それが危ないんだが。

「じゃぁ次は増える資料室に行くか」

 馬場はそう言って上の階を指す。

『おい、コーサカ、増える資料室とはなんだ?』

 胸ポッケの霧雨がつんつんと俺をつついて聞いてくる。

「なぁ、馬場。確か資料室の霊ってただ地図帳とかが勝手に増えているって奴だよな?」

「あぁ、そうだな。全くなんで霊が地図帳なんかを増やすのかは疑問だが」

「そういう数の霊ってそんな感じじゃない?」

 委員長もドッキリを受けた衝撃から立ち直ったのか、頷きながらそういった。

 とりあえず資料室の前まで来たのはいいものの、委員長が思いだしたように口を開いた。

「ところで元々この資料室に何冊の本があるか知ってるの?」

『全然』

 一同、同じ意見である。

「それじゃぁ調べたって意味ないでしょーーーッ!」

「なぁ、エミリー他に見たいとこってある?」

 エミリーはうーんと悩んで。

「ないデース、それに実際こうやって歩いてみてわかったんデスが、コレ話聞くだけで十分デース!」

 思っても言ってはならないことをさらりと言う。

「とりあえず無駄足だったな」

 公太郎はそれが当然だとポケットからタバコを取り出し、火をつけた。

「一本もらうぞ?」

 馬場も同じように火をつけた。

 此処は学校の旧校舎である。

「って、あんた達何公園でタバコ吸うみたいに火をつけるなぁぁっ!」

 委員長の言うことは確かに。

「大丈夫、携帯灰皿あるから!」

 なんと、公太郎は意外にマナー人である!

「んな事関係あるかーーーッ!」

 まぁ、先生もこんなところには居ないだろうしと言うことで二人は歩きながらタバコを吸っていたが、資料室から廊下まで降りてきたときに、

「こら、何しているお前達ッ!」

 背後から怒鳴られ、とっさに後ろを振り向くと、教師らしき人物が叫んでいた。

「やべっ、馬場ッ!」

 公太郎はそう短く叫ぶとポケットから携帯灰皿を取り出し、タバコを中に入れた。

 そして俺達は顔を隠すように旧校舎から飛び出した。


「ぜー、ぜー……ちょ、マジで先生居たじゃない……」

 皆一目散に学校外の公園まで逃げてきた。

「ま、マジでビビった……」

 委員長は停学になるのかとおろおろしている。

「でも、現行犯で捕まえなきゃならないから停学はないって」

 馬場が委員長をなだめるように言う。

「……」

 が、それよりも俺はあることが気になっていた。

「なぁ、今日七不思議めぐりしたのは、職員会議で先生が居ないからで、タバコ吸ってるのを目撃して走って来たように思えるけど……」

 そう、今日七不思議場所を見て回ったのは先生が放課後会議で居ない事だ。まだ十八時にもなっていない時間帯で先生は会議が終わっているとは思えないし。

 それにタバコを吸っているのを目撃して注意しに来たという点では会議室、いや校舎から旧校舎はちょっと離れていてタバコ吸っている人間を見つけるのは至難の業だ。

「……」

 皆俺の言いたいことが解ったらしい。

「あんな先生学校に居たっけ?」

「い、いや、殆んどの先生は職員室とか廊下で見るけど、あんな先生は見たことが無い」

 皆ぞくりと身体に寒気が走る。

『い、いやぁぁぁぁぁッ!!』

遅れましたが更新完了です!

ツンデレ委員長に名前は無いのか!?

学校によっていろいろ七不思議ってありますよね。

ウチの高校は聞かなかったんですけど、中学校にならありましたね。

では、次回もお楽しみに!?

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