24話 ゲバラ日本へ
今編では日本が舞台。
いろんな解釈をされるゲバラの来日を私なりの解釈で物語として描きます。
(世界を回る予定に初めは日本は含まれていなかったのが事実だそうです。)
【1959年春 ハバナ港の見えるバルコニー】
海風が、俺の伸びた髪を揺らす。
隣にはフィデルがいる。
こいつの身体からは、常に生命力が溢れ出しているようだ。俺とは違う。
「なぁ、ゲバラ」
「ん?」
「お前に頼みがある。……世界を見てきてくれないか」
来たな、と思った。
銀行総裁としての俺のやり方は、少々過激すぎたらしい。
それに、フィデルの周りには、俺のような「純粋すぎる」人間は邪魔になり始めている。
政治というのは、妥協の芸術だ。俺には描けない絵だ。
「世界?」
俺はファインダーを覗き、水平線にピントを合わせる。
「ああ。俺たちの革命を世界に伝え、新しい仲間を見つけてきてほしい」
人は体のいい厄介払いというだろう。
でもコイツはオレのため言ってる。それくらい分かる。
だが、俺にとっても渡りに船だった。
この狭い島国で、数字と格闘するのはもう限界だ。
俺はカメラを下ろし、フィデルを見た。
「……条件がある」
「言ってみろ」
俺は、ニコンのカメラのボディを指先で叩いた。
『日本』に行けるなら、引き受けてやる」
フィデルが怪訝な顔をする。
「日本? あの戦争に敗れて、占領されていた国か」
「ああ。あそこもかつては、アメリカという巨大な鎖に繋がれ、焼け野原にされた国だ。でも10年もたたず不死鳥のように蘇った。」
俺はずっと気になっていた。
トウキョウ・キョート。
美しい街と聞いてる。
そして
ヒロシマ・ナガサキ。
人類史上最悪の実験場にされ、占領された島国。
「……彼らは、どうやって立ち上がったんだ?」
俺は呟いた。
「全てを灰にされ、占領され、それでもなお、こんな精密な魂を作り上げるまでになった。その強さの正体を、俺はこの目で見てみたい」
フィデルは少し驚いた顔をして、それからニカっと笑った。
「いいだろう。チケットを用意する。……ただし、あっちで芸者に惚れて帰ってこないなんて言うなよ?」
「心配するな。俺が惚れるのは、革命とシガー(タバコ)だけだ」
嘘だ。
俺はきっと、その国の人間に惚れる予感がしていた。
「鎖」を断ち切り、灰の中から蘇った、極東の不死鳥たちに。
俺はもう一度シャッターを切った。
次の戦場は、ジャングルではない。
「日本」だ。
ゲバラにとって思い入れがある国であったといわれる日本。
でも今回は全く作り話で、実際は世界を回る中初めは日本へのスケジュール組まれてなかったそうです。反対にそれでも来日したゲバラ。
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