表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/106

19.足踏み?疑惑の来訪者③

「預ける、って……?」

「サラサは、一旦今回のことを忘れて……というか、気にしないようにして欲しい」

 サラサはオレの言葉に、クシャッと表情を歪ませる。泣くか怒るかするのかと覚悟したが、目をギュッと瞑る姿は、感情を堪えているようだった。

「うぅ〜〜ごめんハヤテ!私、ズルかった」

「へ?」

「相談したら、私がモヤモヤしてること全部、きっとハヤテが持って行ってくれるって……期待してたんだと思う」

「あ、あぁ……そゆことか。いや、気にしなくていいって。適材適所ってやつだ」

「適材適所?」

「王子であるカイ様と、見習いとは言え側近のオレの方が、貴族側の事情とかは調べ易いかも知れないだろ?その代わり、オレには出来ないことを頼みたい」

「ハヤテに出来ないこと?」

「ネリィ様の側に付いていて欲しい。涼しい顔をしてるけど、多分まだ怒ってたり、悲しかったりがあるだろうから」

 サラサは少しハッとした表情の後、力強く頷いて見せてくれた。

 告発文の意図が読み切れないということは、ネリィの周りも警戒が必要ということだ。サラサに危険が及ぶ可能性もゼロとは言えないが、オレはサラサの主人公パワーを信じている。

「それは、言われなくたって!ネリィ様のことは、私に任せて。ディノも力になるって言ってくれてるし」

「ああ。ただ、無茶はするなよ?」

「うん!ネリィ様は何もご存知なさそうだけど、思い当たることがないかも聞いてみるね」

「あー、まあ、それは……ネリィ様から話したいことが出て来たらで良いよ。無理に考えさせるのも酷だろ?」

「あ、そうか……なんか、つい、モヤモヤしちゃって。焦ってるみたい。落ち着いて、まずはネリィ様の気持ちが普段通りになるように、だね」

 フーッと、サラサは深呼吸をして見せる。

 サラサが側にいれば逆に、ネリィも無茶はしないだろうと思えた。また、侯爵令嬢であるネリィの側の方がサラサも安全かも知れない。

「ハヤテには、何か見えてることがあるの……?」

「……どうしてそう思う?」

「何となくだけど……何か、迷ってる?」

「ちょっとだけな。“悪い想像”ってやつを考えて、まさかな、と思ってるだけだ」

「“悪い想像”って……誰かが、悪事を考えている、とか?」

「そんなトコ。目的や動機が見えない以上、迂闊なことは言えないけどな」

「ってことは、それが誰なのかも、思い付いてるのね?」

 しまった、と思ったが、サラサの表情を見ると今更誤魔化せない。オレも多分、口に出して考えたいと思っていたんだろう。誰かに壁打ちして、漸くまとまる考えもある。

「――――思い浮かんでる顔はある。でも、ただのこじ付けレベルだ」

「そっかぁ……でも、ちょっとだけ安心した」

「え?」

「ゼロか、イチかは大きいよ?もし何もアテがないなら、私も一緒にジタバタしたいと思ってた。嫌がられても、聞き込みするとかね?」

 軽くウィンクして見せる仕草に、オレも笑って返す。サラサが言う通り、手札は少なくとも、ゼロではない。小さな引っ掛かりであっても、向き合うべきなんだろう。

 そんな話をしていると、校舎側からディノが手を振っているのが見えた。

「この後、ディノと約束してるの。ジュース、ご馳走様」

「ああ。宜しく伝えておいてくれ」


 +++++


 サラサとの会話も念頭に置きつつ、カイと調べて来たものの、学校に通って授業も受けて、放課後にはヴォイドとの課外授業も再開となると、時間的にもあまり身を入れた調査も出来なかった。

 シズルとカイが王宮で話しをすることで、分かることがあるだろうか。カイにも伝えられていない、オレの中にある仮説を肯定、あるいは否定するような事実が出て来たなら、そこから次に進めるかも知れない。

 カイが不在となった屋敷に一人で戻り、制服から着替えた所で、ノックがあった。

「失礼します」

 カリナのノックに応えると、少々困った様な表情に首を傾げる。

「ハヤテさんに、ご来客です」

「オレに?カイ様宛じゃなくて?」

 カイは授業の後、そのままシズルと共に王宮に向かったため数日戻って来ない予定だ。主人が不在の屋敷に、来客とはどう言うことか。

「ビート様と仰る方です。お知り合いではないですか……?」

 言えば分かると仰っているのですが、とカリナが言う。オレはその名前に、反射的に緊張した。

「……オレの、パプリカ村の知り合いだ。えっと……外に出るから、待ってて貰うよう伝えてくれるか?」

「え?」

「ほら、カイ様の不在にオレの知り合いを招くなんて良くないだろ?」

「いいえ、まさか。ハヤテ様も、カイ様に連なるこのお屋敷のご主人様です。どうかご遠慮なく。お知り合いなら、客間へお招きしますわ」

 いやいや遠慮とかじゃなくて、と思うが、カリナは側近見習いの客人を粗末には扱わないぞと、使命に燃えた表情をしている。

 オレは仕方なく、頼むとだけ言って身支度をする。流石に“王子”相手に、ジャケット無しという訳には行かない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ