表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/115

15.再会?謎のチャラ男登場③

「如何でしたか、グランド様の別荘は」

「過ごし易くて良かったです。変わりはないですか?」

「ぼく達は平気だったよ!そりゃあ、カイ様も王宮に行かれてるし、ハヤテさんもいないから寂しかったけど……」

「ええ、特に変わりはございません。アイシーの元気がないもんで、料理長が新作メニューを山ほど試していたくらいのもんですわい」

「えー!師匠、それバラしちゃだめだよ!料理長、新作だって気付いて貰えるか楽しみだって言ってただろ」

「おお、そうだったか。すみませんハヤテさん、聞かなかったことに」

「ハハ。分かりました」

 なんて戯れるように話しながら屋敷に入ると、マーベルとロッテが迎えてくれる。

「おかえりなさいませ」

「グランド様の別荘、如何でしたか?お勉強大変でした?」

 そんな風に話し掛けられ、同じような会話を繰り返しながらも、不思議と面倒には感じない。待っていてくれたことや、不在を惜しんで貰えていたことが伝わって来て、なんだか胸がじわりと温まる。

 そんな中アイシーが、あ、と声を上げた。

「ハヤテさんに、手紙が来てるよ」

「手紙?」

 アイシーの表情から、オレ宛のものなのは間違いがなさそうだ。しかし、あまりにも思い当たる所がない。

 わざわざオレに手紙など、誰が書くのか。

 元々最初の頃、クラスで不幸の手紙みたいな物を貰っていたこともあり、手紙への苦手意識が先に立つ。

「ハイ。学園の寮から転送だって言ってた」

「あぁ、なるほど」

 言われてみれば、この世界に住民票や転送届の仕組みなどなく、オレの住まいは対外的には王立学園の寮が正しい。寮母さんが気を利かせて転送してくれたんだろう。

 しかし、だとしても。

「わざわざ誰が――――ビート……?」

 封筒の裏には、ビートという名前がある。

 誰かと言うと、誰だっけ、と頭を抱えたくなるが、辛うじて記憶が蘇る。

「……あぁ、あの」

 故郷に居た少し年上のアニキ的な人で、たまに遊んでくれていた人物だ。たしか、パプリカ村を出て行く姿を見送ったような記憶がある。オレ自身の記憶なのか、設定上刷り込まれているものなのかは分からないが。

「なんて書いてあるの?」

「ん――――まとめると、自分も王都に出て来たから、久しぶりに会わないか、って話だ。あの人、こんな綺麗な手紙書けるんだな……」

 課外授業での同じく平民であるディノの文字や文面と、そもそもオレ自身の作文能力と比較すると、ビートの手紙は挨拶から始まって、近況に触れ、用件や結びまでしっかりとしたものだった。

 パプリカ村を出て社会人として学んだのかと思うと、地元の先輩として尊敬するような気持ちが湧いて来る。

「カイ様は未だ暫く王宮からお戻りになりませんし、お出掛けされても良いと思いますよ」

 マーベルが、穏やかに言う。

「私達も、交代でお休みをいただいてるんです。マナが今は実家に戻ってますし」

 確かに今は夏休みみたいなもので、学生としても、カイの側近としても、休んでしまっても良いのか。

 前世の頃から休日にやることが思い浮かばないタイプで、平日に溜まった家事をやっつけ、日持ちするインスタントとレトルト系食材を買い足し、それ以外は仕事のことを考えるか、大体ゲームばかりやっていた。

 だから忘れていたが、この世界でだって、休日というものを過ごしても良いのだ。休日に地元の先輩と会う。なかなか良い響きだ。

「ビートが居る宿宛にも、手紙を書いたら届けて貰えますよね?」

「ええ、もちろん」

 パプリカ村での記憶は曖昧だし、ビートの顔もあまり思い出せないが、今までの経験上会えば自動的に会話も出来るような気がした。

 再会して懐かしい思い出話がしたいと言うよりは、パプリカ村の人間から見た時に、カイ王子の側近見習いとなったオレがどう映るのかが気になった。カリナ達がよく言ってくれるように、褒められるようなことなんだろうか。


 ――――なんて悠長なことを考えていたのが、そもそも間違いだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ