11.予算?思考を尽くす生徒会室④
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いつにしましょうか、という話題となったのは、試験直前の生徒会室でのこと。
試験勉強では、歴史や文化といった、この世界独自の内容に苦しめられていた。
このままでは、出身であるパプリカ村の教育水準が問われてしまう。特に思い入れはないが。
恥を忍んで、優等生であるサラサを中心に、カイやネリィにも勉強を手伝ってもらうこととなり、生徒会室に集まっていた。
教科書と参考書、プリントを広げて、問題を出し合ったりする学生らしいノリに、懐かしさで胸が熱くなる。
王子でも貴族令嬢でも変わらないんだなあ、なんて。
そんな中、サラサがネリィに話しかけたのが、冒頭の
「いつにしましょうか?」
だった。
「試験の後にはなるでしょうけど、あまり時間はないですわね」
「何の話ですか?」
「ドレスのこと。貴族の皆様から借りるために、生徒会からの告知を行おうと思うんだけど、時期に迷ってて」
「ああ、サラサが言っていた案ってやつか。どう告知を出すんだ?」
「俺も詳しく聞けてないな。ネリィのドレスを、サラサが着て見せるんだろう?」
「はい。衆目を集めるのは恥ずかしいですけど、説得力があると思うんです。ネリィ様のドレスは、平民の私が着ても大丈夫なくらい、素敵なドレスなんですよって」
早い話が、実演して見せると言うことか。
ただ単に言葉で聞くより、実際に貴族のドレスを着た平民が目の前にいて、しかもそれが似合っていて称賛を受けるなら、貴族側に漠然とある負のイメージを払拭できるかもしれない。
イメージの問題だけに役者が重要ではあるが、オレはゲームでドレスで着飾ったサラサのスチルを何度も見たことがある。
しかもドレスの提供元が、侯爵令嬢ネリィからとなれば、よりプラスのイメージになるだろう。
「それなら、演出が大事そうですね」
「演出?」
「損得だけなら、別に使ってないドレスを貸すこと自体は、貴族の皆さん的にも困ることじゃないんですよね?」
「ええ」
「どっちでも良いか、なんなら平民が着るのかっていう負のイメージがある以上、貸さなきゃ損かも、くらいに思わせないといけないでしょ?」
課外授業を受けて改めて思ったが、貴族は家名とか体面をひどく気にする。
学内にも個人間では貴族と平民で友人同士になっている生徒も多いが、一線を越えるには勇気がいるし、あるいは後押しが必要だろうと感じた。
幸い生徒会にはカイがいるし、ドレスの提供を王族からの命令とするのは簡単だが、感情を飛び越え過ぎてしまう以上、多分これは最後の手段にした方が良い。
「大多数の生徒にノっておかなきゃ損と思わせるなら、クチコミとかバズってるとかそういう感じだけど、見てもらわないとな……」
「くちこみ?」
「バズ?」
「直接発表するなら、中庭ですかね?」
「ああ。セレモニーホールに集めて伝えるような内容でもないから、任意で中庭で聞いてもらうのと、後日貼り紙くらいか」
「んー……」
感情に訴えかけるには、そのままだとスルーされて終わりそうな気配を感じる。
「一旦、歩いてみますか」
時期を決めるにも、何をやるか次第。
下校前に、オレはカイと共に廊下から中庭までを歩き、石畳で少し段差がある、簡素なステージに立ってみた。
ドレスを見せるなら、天気さえ良ければセレモニーホールより映えそうだと思う。
そして中庭は、各階の廊下に囲まれていることから、中庭自体にいなくてもよく見える。
流石に肉声は聞こえないかもしれないが、中庭で何かをやっている、あるいはやっていたらしい、という情報が噂として流れたら、クチコミになるのではないか?
オレはカイに案を伝え、試験が終わる最終日の午後、生徒達が一番気が抜けているタイミングを発表の日に選んだ。
次話、サラサが全校生徒の前に立つ




