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第六話 準備

ソウシはいつもより早く目が覚めた。


(目覚めが悪い。)


隣のベッドを見るとゲンはまだ寝ている。

先ほどの夢を思い出して頭が痛くなる。

モゾモゾと布団から出ようと動いてると、音に気づいたゲンが目を覚ます。


「おはよう、ソウシ。今日は早いね。」

「…ん。」


いつもと同じ掠れ気味の声しか出ない。そんなソウシのことを気にせずにゲンは微笑む。


「早起きは三文の徳だからね。」

「…サンモン?」

「東方の国の言葉だよ。早起きするといいことがあるってことだね。」


そう言いながら素早く布団とシーツを畳むゲン。

真似をして畳むが上手く畳めない上に時間がかかる。


「ソウシ、今日は頑張ってるね。」


ゲンは感動しながらそう言って頭を撫でる。


(ゲン兄ならもっと上手くできるのに…。)


そう思いながら少し不貞腐れる。


「今日はどうしたの?」

「…別に。」

「そっか。あ、今日は白坊主たちが来るから準備しないと。」


そう言って部屋を出て行こうとするゲンの手を掴む。


「どうしたの?」

「…僕もする。」


少し困った顔で笑うゲン。


「ソウシもやりたいのか…。」


顎に手を当てて少し考える。


「あ、キリにご飯を持って行ってくれない?」

「…キリ?」

「そうそう。昨日もご飯の時いなかったでしょ?だから部屋まで届けて欲しいんだ。」


与えられた仕事に満足したソウシはゲンと共に部屋を出る。

一階に降りるとあくびをしながら掃除をしているニコがいた。


「あ、おはよう二人とも。」

「おはよう。」

「...はよ。」


挨拶が帰ってきて笑顔になるニコ。


「君たちも白坊主が来るから準備してるの?」

「そうだよ。ソウシも仕事するんだよね?」


ソウシはそう言われて頷く。

ゲンが我が子でも見るような目でソウシを見つめる。


「さあ急がないと白坊主が来るよ!」


ニコがそう言って二人の背中を叩く。ゲンはソウシを引っ張って食堂に向かった。

食堂にはアルとアヤがいた。


「あ、そうしたらオーブンが...。」

「え、もっと早く言ってって!」


慌てながら食堂で黒い煙を作っている。

口元を押さえながら食堂に入るとはアヤこちらに気がついた。


「ソウシ!?あ、朝早いね。」

「...白坊主くるから。」

「そ、そっか。」


少し顔が赤くなりながら話すアヤをソウシはじっと見つめる。それに気付いてさらに慌てるアヤを横目にアルが話す。


「すすをつくってるんだ」今日は白坊主が来るからね。」

「なるほどね。」


顎に手を当てて返答するゲンを見てアヤは少しムッとした表情をする。


「なんだよ、先週ゲンも作ってただろ?」

「そうだね。でも僕は窓を開けて作ってたよ。」


そう言って窓を見るとピッタリと閉められている。アヤが急いで窓を開ける。

息を切らしながらアヤはゲンを見る。


「直接言ってくれたらいいじゃない。」

「傷つけないように気をつけたんだよ。」

「逆に傷つきます!」

「それはごめんね。」


そう言い合う二人をソウシはぼーっと見つめる。


「で、ソウシは何しに来たの?」

「ソウシはキリにご飯届けるんだもんね?」


そう問いかけられてソウシはゆっくりと頷く。

アヤは急いで厨房の奥に行って何かを探している。

パタパタと急いで帰ってきたアヤの手にはトレーがあり、その上には美味しそうな食事が乗っている。


「はい、これキリの。」


そうしてソウシに手渡たす。

ソウシはそれを持ってゆっくりと歩く。


「溢さないように気をつけてね。」

「重かったら手伝うからね。」


過保護な声援を受けながらソウシはゆっくり階段を登って行った。




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