第二話 真面目な食事係
第二話 真面目な食事係
食堂に着くと顔の半分を機械に覆われた少女がやって来た。
「ゲンにソウシ、お仕事お疲れ様。」
はにかみながら駆け寄ってくる少女は機械の腕でトレーを持っている。
トレーを二人に手渡す。
「ありがとう。今日はニコは配膳?」
「ううん、今日はアルが配膳。ウチはお手伝い。」
「アル配膳苦手だったよね。」
そうして厨房に目をやると真剣な顔をしたアルが汁物を秤に乗せて一つずつ測っている。
「真面目すぎるのも難ありだよね。」
ニコはそう言うとソウシの方を向く。ソウシはその目線に気付き咄嗟にゲンの服の裾を掴む。
ニコはその様子を見てにへらと笑う。
「またソウシに怯えられちった。」
「逃げてないだけマシだよ。ソウシちゃんとお礼言いな。」
「...りがと。」
「うんうん。どういたしまして。」
ニコはパッと笑顔が明るくなる。その時厨房から睨む目線に気付き冷や汗を垂らしながら手伝いに戻っていった。
「ご飯とろうか。」
こくりと頷くソウシを連れてアルの前まで行く。
「二つお願いします。」
「はーい。」
秤を睨みつけながら二人分の汁物とご飯を計り取るアル。真面目なのはいいことだが真面目すぎてかなり時間がかかる。
「少なめでもいいよ。」
「でも」
「大丈夫だって。ソウシもそうだよね。」
「...ん。」
まだ納得していないのか難しい表情をしていたが、そのままよそった汁物とご飯を渡すアル。
自分の皿をトレーに乗せた後、ゲンはソウシのトレーにも皿を乗っけてやる。
それを難しい顔でアルは見つめる。
「どうしたの?」
「ねえゲンそれやめなよ。」
「なんで?」
「ソウシももっと自分でやるべきだと思う。さっきは...その言い過ぎたけど...。」
目をキョロキョロさせながら居心地悪そうにアルは話す。心配そうな顔をするソウシの頭を撫でながらゲンは答える。
「僕は兄だから弟を守らないといけないんだ。」
少し悲しそうな顔をしたゲンはソウシを見て微笑む。ソウシはどうしたいいかわからずトレーを持ちゲンの服の裾を引っ張る。
「ああ、そうだね。席まで持って行こうか。」
優しく笑ったゲンはソウシとテーブルまでトレーを持っていく。
色々な感情が入り乱れた顔をしたアルはその背中をじっと見つめていた。