乾いたシグナル
乾いたシグナル
うつむいたままのマテリアル
洗練されすぎて意味を失ってゆく
弱弱しいカルチャー
凄みのない場所へストンと
落ちてしまっているデザインの氾濫
二十一世紀のテクノロジーが
生み出した可能性って
こんなものでしかないのか
勿論、まだ遠く恒星には
手が届かないのは仕方ないとしても
混沌が混沌を生み出す世界
MTVから流れてくる
純度の悪いドラックのような
和製ヒップホップに悪酔いする
まるでそれはポップスの死滅を
象徴しているようだ
チャンネルを変えてみても
そこにはただリアルが抜け落ちた
がらんどうのメディアと
当たり障りのないだけの
えせモラリスト達の
百万年積み重ねても意味がない
中身もリアリティもない会話
テレビの良いところは、ただ、一つだけ
簡単に電源が切れることだ
コンピューターのサイトには
赤裸々なだけのニュース
自分の無関心な精神の反応に
自分の感覚が救いようもなく
麻痺していることを確認する夜
進むべき未来はどこにある
俺達の目の前に山積みの
破綻したカタストロフィー
新しいスタイルなんていらない
誰か明確なビジョンを示してくれ
こうして窓辺にもたれて
すべてが停滞する夜が過ぎるのを
ただ、待っていると
意識下の不確かな不穏が
まだ頭をもたげてくる
滅び 滅び 滅び 滅び 滅び 滅び 滅び
俺だけに聞こえてくる
乾いたシグナルに
精神を悩ませる夜