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ジム・プリマスのポテチ  作者: ジム・プリマス


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11/63

尾崎君への手紙

いろんなことがあったね

君が二度と目覚めなくなるまでに

最初に聴いたのは「十七歳の地図」だった

レコードに針を落としたとき

魂の叫びが僕を打ちのめした

鳥肌が立って背筋がゾクゾクした

その後で僕より一つ年上の先輩が

凄いやつが出てきたと興奮しながら言った

誰のことを言っているのかはすぐに分かった

「卒業」を聴いた時僕は高校の頃のことを思い出した

僕は意気地なしで喧嘩も弱かったけど

それでもいろんな鎖に縛られていることを

僕も君の歳と同じだった頃に感じていたことを

僕は思い出した

でも、その時には僕は君の言う世間と言う檻に

半分以上、はまっていたけれど

友達と一緒に酒を飲んでいた店で

雨の日の夜の街明かりに目を向けている時に

ふいに流れてきた曲が

「スクランブル・ロックン・ロール」だった

目を輝かせて半分諦めかけていた夢を語る

自分に後ろめたさを感じながら

それでも

胸の中が熱くなった

雑誌のインタビューの中で

君はビリー・ジョエルを最初に好きになったと言っていたよね

僕もビリー・ジョエルが好きだったから

何だか妙に親しみを覚えたことを

この詩を書いているあいだに思い出したよ

君は時には猛々しく

そして時には酷く繊細で

ふっとどこかに消えてしまいそうな

危なっかしいところをいつも抱えていた

麻薬騒ぎがあった時

詩が浮かばなくなったと言う理由で命を絶った

ジャック・ケルアックのことを連想して

僕は嫌な予感めいたものを感じた

でも君は立ち直った

だから僕は大丈夫だと思っていた

それから随分と長い間

君の歌を聴かなかったような気がする

君が死んだことを伝えるニュースを聞いた時

嫌な予感が当たっていたことを知った

でもその時、僕は淡い落胆しか感じなかった

でも、こうして君の歌を久しぶりに聴いていると

君が二度と目覚めなくなるまでの間に

色々な場面で

僕は君の歌を聴いていたような気がする

そんなことがリアルタイムで思い出された

こんなとりとめもないことを綴った言葉の集まりを

僕は一つの季節が終わったことの証に

ここに書いておこうと思った

君に真実がつかめたのかどうか

それは僕には分からない

でも今、ラジカセから流れてくる「シェリー」が

僕の心を熱くすることだけは確かだと

僕は感じている

君が求めていたものが

どんな真実だったのか

それはきっと僕が求めているものとは

違っていたと思う

人はみな、それぞれ、別のものを求めて

彷徨っているものだから

でも少なくとも君は

自分が何かを求めて彷徨っているんだということを

はっきり言葉に出来る

数少ない人間の一人だった

そして

それを最後まで追い続けることが出来た

数少ない人間の一人だった

自分に言い訳をしながら生きている僕は

それでも心のどこかに

少しだけでもいいから

真実を求め続ける気持ちを

残しておきたいと思っている

そして

その気持ちがかけらでも残っている間は

きっと君のことを忘れることはないだろう

だから

その時が来るまでは

「さよなら」は言わないでおくことにするよ


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