読書感想
兄様のいうように本を呼んだ。
……正直とっても読みにくかった。
日記なのかな?
メモなのか。そんな感じで書きためたものを適当に集めて本の形にしているだけ。
そんな感じを受けた。
書きたいことを書いているだけで、まとまってないし、取り留めもない。悩みがあったとしても解決方法も結論もない。
これを本と呼んでいいのか? と思うほど。
ただ目でおって読むだけじゃあ俺には頭には入らなくて。途中から気になった言葉を書き取るようにして。そこから、みえてきたことがあった。
そうまでしないとわからないくらいぐちゃぐちゃなんだ。
その中から読み取れたことはなんとかあった。どの当主にも共通して言えることがあった。
「家を栄えさせること」
それが全てみたいだった。
だから当主に全権限があって、絶対君主なんだ。
……出ていかされる他の人たちはそれを納得させられるぐらい当主が強い人でないとだめだったんだろうな。
「だから頭の良し悪し、人格とかだけでなく。特別なものを見ることができる選ばれた人であること。それが納得の材料なんだろうね」
兄様がそういった。
俺にはわからなかった。
本当にそれで納得するのかどうか。それにおじい様の嘘について。日記には関わりについて特になかったけれど。
「出ていくことの納得材料に生活の支援があったと推察できる。この日記の人はいい生活をしていた。紙の質がそれを証明している」
……兄様は見ているところが違う。
「これを見て気づいたことをいってごらん」
兄様にうながされて、もう一度よく本を見る。
「……メモだと思った。字もなんだかバラバラで。インクの染み具合や紙の痛みが違うとは思ったし、書かれている当主の印象がたくさん受けた」
ニコニコと笑みを浮かべて、頷きながら聞いてくれている。
「これって、みんなでまわしてたのかな? 当主が代わって、出ていく人たちで。……そうなら連絡を取り合ってたはず」
「うん。だから少なくとも、これを書いた人達は関わりがあって。これがお屋敷にあったということは、おじい様が回収されたということ。最後にある方の当主は先代のことだろうから」
そういって一番後ろのページを俺に見せた。
「……兄様は時間の経過をインクのにじみや紙の傷み具合から計算しているの?」
「正確で正しい数字ではないよ。あくまで見た目だけだよ。明らかに他のものよりは新しい。それにお父様たちから聞く先代当主の様子からそうなのかなって思っただけだよ」
……兄様はご自分が持っている情報全てを使って考えて、組み立てて。
俺はそれはできない。こうして、兄様と話をしていかないと気づかないことが多いし、兄様みたいに、周りも見ていない。聞いていない。何も気に留めていないし、考えていない。
「僕と君では見ているものが違うだけで、君が見ていないわけじゃないよ。君には君にしか見えないものがある。だから教えて。君の目に写るものを」