記録 2
おじい様の第一のお屋敷に出入りできるようになって。
あの時のお父様たち。
あんなにも簡単にお許しいただけるなんて。
まあ。それだけ興味がないってことなんだろうけれど。
それに、ある程度家のことは調べてるっていうのがあるのかな。
でも。
おじい様とお話する機会ができたのは儲けものだ。
月に一度のご飯でも孫の僕たちはお話する機会なんてなくて。
だから、お茶の提案は嬉しかった。
おじい様と話させていただけるのはとても有意義で。
家の事も少しずつ分かるようになっていってる。
この家の在り方も。
この家の怖さも。
当主の在り方も。
……このお屋敷はほとんど人がいない。
まあ。
おじい様しかいないから仕方ないんだろうけれど。
この家の決まりで、全部を当主が決める。
絶対君主だ。
おじい様しかいないから人がいないのはそうなんだろうけれど。
最低限か。
ダイアスポアが見つけた本も奥の方にあったから、書庫の整理に人をまわしていない。
あの子の目がいいから見つけられたもの。
あっという間に読んだけれど。
この家は外から見ると本当におかしい。
おじい様は他の兄妹と連絡を取っていた。
時には生活の支援もしていた。
それだけ、この家を出るということは違う生活になるということ。
……それもわかる気がする。
それぞれのお屋敷によって人数は違うんだろうけれど。
それぞれ、使用人はいる。
僕の家には、少なくとも7人はいる。
メイドや料理人は家のことをしている。
だから、家事なんてお母様はしたことがないだろう。
お父様もそういうのとは無縁の家の育ちのようだし。
でもその方たちを雇っているのは、この家で、おじい様だ。
当主だ。
だから外にでればとそういう人はいなくなる。
雇うこともできるけれど、今の生活を保つにはそれなりに費用がかかるだろうな。
そんなことの計算もきっと当主として必要だと思うから勉強はしているだろうけれど、それを家族のことではなく、当主として見てるだけなんだろうな。
ダイアスポアはいい子だ。
あの子がここを出るとき。
あの子が望むのならだけれど。
僕の側に置いておきたいな。
そう思うぐらいあの子は優秀だ。
おじい様が他のご兄弟のことを優秀といったように。
僕が誰を優秀かと聞かれたら、きっとダイアスポアの名前を出すだろうな。
……僕のために役に立ちたいといったけれど。
それを僕は利用するけれど。
それが罪悪感にならないように。
ちゃんと当主になるよ。
君をつかうね。