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スノードロップ  作者: 白崎なな
第1章 玉 月 杏
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8。訓練場

 軍部のビルの地下には、一街区一体に広がる訓練場がある。

 体術、銃、剣、刀とそれぞれ練習箇所が分かれている。



 ぎょくは、銃。ゆえは、刀。しんは、剣。

 とそれぞれ得意分野が分かれている。



 スノードロップは、多岐にわたる技術を身につけさせられる。全ての分野に順位がつけられた。



 順位が高位のものは、ぎょくたち3人と仕事をすることが増えたり融通を効かせてもらえる。



 スノードロップは、女の子しかなることができない。

 ”女性” というのは、街に溶け込みやすい。



 道を聞かれた時に、何も思わず答えてくれるのは圧倒的に相手が女性の時。のように不快に思われにくい。



 それだけでなく、彼女たちスノードロップは慰み者として扱われることもあった。さらには敵軍に送り込まれ、ハニートラップとし忍び込むこともできる、として女の子のみの軍となっている。



 そのため、元々は下に見られる特殊部隊であった。



 一時は、100人を超える人数がいたスノードロップだったが今はぎょくらを含め16名しかいない。

 自分が殺すか殺されるかの世界にいたために、彼女たちは強くならなければならなかった。自分の身を守るため、仲間の身を守るために。



 日々この訓練場はスノードロップの誰かが必ずいるほど訓練に勤しんでいた。

 ぎょくが来た時にも、4人の子達とすれ違った。



 訓練場は、軍部ビルの下に降りたすぐに体術の道場。その奥に銃。

 政府ビル下に手前が刀、奥に剣とエリアが分かれている。



 一街区の地下全体に広がる広さを誇る地下訓練場。エリアとエリアを繋ぐ道には、動く道が完備されスクーターなどが用意されている。




 軍部で使用する銃も何種類かあり、久しぶりなので黒のキャリーバックに詰めて来ていた。そのため、動く道で移動する。


 (久しぶりに来たし、うでが訛ってたらいやだな)



 ぎょくは、まず手慣らしに離れた的を狙うシューティングレンジで調整をしていく。軍部では基本的にアサルトライフルを使う。



 昨日は、元々聞いていた処理人数が少なかったので弾丸数の少ないリボルバーを使っていた。



 リボルバーの方が好きで愛用している人もいるが、軍部は中距離をメインとする。

 アサルトライフルをスリングで、肩から下げるスタイルを基本としている。




 ぎょくも戦場に立つ時には、そのスタイルに腰にリボルバーを2丁所持して望む。


 ジルに初めて持たされた銃がリボルバーで、彼曰く

 『原理的に故障が少ないリボルバーは必ず所持することが軍人をして当たり前』 なのだそうだ。



 (一度も故障で使えないなんてことに遭遇したことがないから本当に必要なのかな?)



 なんて思いつつも、必ず所持するようにしている。



 リボルバータイプの方が、リロードのことも意識しないと遅れをとるし本当はあまり好きではない。



 (でも大きさがリボルバーの方がコンパクトで使いやすいんだよなあ。

 ……近距離はやっぱりリボルバーかな)



 はじめにリボルバーで近距離に的をセットして打ち込む。

 ーーダンダン



 6発中6発、綺麗に中心を撃ち抜く。



 ぎょくの命中率は、100発100中と言われるほどに中心を撃ち抜くことができた。



 ぎょくは身長も低めで体重も軽いためにマズルライズを制御することが難しかった。

 なので、他の人より火力を抑えた弾丸を使用し命中率を上げ攻撃性能を上げている。




 (もっと私に筋力があれば、火力上げられるのに……)



 リボルバーをスライドさせて、ガシャンっとリロードをする。腰にフォルダーがあり、そこに戻した。



 機械を操作して、的を中距離にする。アサルトライフルで打ち込んでいく。



 ダンダンダン……

 「おお〜やってるねえ!

 さっすがぎょくだね〜。全部中心に当たってる〜」



 「いや、一発外した。中心の点から少しズレてる」

 ほらこれ、と穴の空いた紙を見せた。穴は、第三者が見ればどれも的の中心を射抜いていた。




 「うわ…… 出たそれ〜!

 心臓を狙うんじゃなくて血管を狙うイメージってやつでしょ〜。

 一般人からしたら意味わからない狙い方だからね?」



 「うーん、だってそのイメージの方が外しにくいんだよね。

 ……ところで今日はしんは、珍しく銃の練習?」



 「違うよ〜。体術の練習にぎょくに付き合ってもらおうかなって!」



 「ええ〜絶対にいや! しん力強いし加減なしでやってくるでしょ?」



 「いやいや〜だって意味ない練習したってしょうがなくない?

 さささ! あのジルと戦うならこっちの練習も絶対必要だよ〜」



 と言って、ぎょくしんに引きづられて体術の道場に連れて行かれる。



 「……ねえ、知ってる?最新の体術ランキング」



 「私がいっちば〜ん! あれ? ぎょくは?」



 「しんゆえ、私の順番ね。

もうずっとこれでしょう? しんに勝てたことないんだけど」



 「あはは! でも…… 私に勝てないなら、ジルには勝てない。違う?」



 いつもニコニコでマイペースなしんから、スッと笑顔が消え真面目な顔でぎょくを見て言った。


 (普段ニコニコしているけど。ジルに対して思うことがあるのに変わりはないもんね)




 「そうだね。ご教授お願いします」




 「もっちろ〜ん!」


 すぐに普段の表情に戻ったしんと道場に入った。



 「さ、始めようか〜」


 しんはそういうとぎょくの右腕を掴んでさらっと回って後ろに腕を回した形にして固める。

 そしてぎょくの背後をとり首後ろをトンっと叩く。


 (回避できそうでできないんだよなあ)



 「はい、一本ね。

 まだできるでしょう?さあ立って」

 しんは、手をぱんぱん叩いてぎょくを促す。


 「……はあ、鬼のコーチだ」



 ぎょくが立ち上がるとすぐに、しんの左手が真っ正面から首を狙って伸びてくる。

 それをぎょくは左手でしんの背中合わせにする形で入り込み、手首を狙うように斜め下に払い下向きになったしんのこめかみを狙う。




 そのまましんは、グルンっと体を宙返りをしてぎょくから距離をとる。



 はっとしんのほうを見た時には、みぞうちをトンっと叩かれていた。ぎょくは、うっとえずいた。

 しんは、いつでも手を抜くことはない。それは、練習中でも同じことで平気で人の急所を狙ってくる。しんいわく、 "練習から本番のような緊張感がないと意味がない" のだそうだ。



 「〜〜!容赦ないなあ〜」



 「ま、こんなもんでしょ!

 ジルとやる時に、私のやったことをそのままやってよね〜」



 「いやいや、そんな一朝一夕でできる技じゃないんだよ」



 「じゃあ、国長のところに行くまで私と特訓だね!」



リボルバー:回転式銃


リボルバータイプの銃は1マガジンで6発

オートマチックタイプ(アサルトライフルがそう)1マガジンで15発 

1マガジンを使い切ったら、リロード(銃弾を再装填すること)しなくてはならない


マズルライズ:弾を前に飛ばす反動リコイルによって銃が上に跳ねること。これを制御するには筋力が必要。

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