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スノードロップ  作者: 白崎なな
第1章 玉 月 杏
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7。同盟関係

 「アルタイアに赴き、食事会にルーク皇帝をお誘いするというのはいかがでしょう? おそらくそこにジルたちの組織も連れてくるのではないでしょうか。


 来なかった場合でも、向こうで私たちも動けますし」




 「しかし、向こうに誘われたから赴くなら。

 はなしがわかる……

 こちらが誘ったのであれば、華楽からくで行うのが普通ですよね。その案はとても良いのですが」

 2人で頭を悩ませていたら、扉をノックする音が響いた。



 コンコンッ

 『ゆえです。失礼致します。』



 ボディーガードの二人が扉を開ける。ぎょくはたが、扉に視線を送る。



 ささっと入ってきて軍部の最敬礼をはたゆえは、当たり前といった表情でした。

 「お話中に申し訳ございません」



 

 「ここでは、軍部での挨拶はやめてください!

 以前にも、そう言っていたと思います。そんなにかしこまられると、改革同盟という関係性がおかしくなってしまいます」



 眉を下げ困った表情でゆえに再度、 ”頭をあげてください” と言った。


 はたぎょくゆえしんの四人は軍部の縮小とスノードロップの解体をする、という同じ目標を持っている。



 今の軍部社会の華楽からくを変えたい! ということで改革同盟を結んでいる。結んでいるといっても、口頭だけで言っているだけだ。



 立場上、国長のはたぎょくたち3人では上下関係はある。はたとしては、同じ立場で接してほしいようだ。

 頭を下げないでほしい、とか私たち3人に対して話す時には敬語を使って話をする。



 ぎょくたち3人は17年もの時間を軍部で過ごしてきたため、軍部の最敬礼での挨拶が癖になってしまっている。



 「癖というものはなかなか抜けなくて、申し訳ございません」


 姿勢を戻して、いつものツンとした顔でゆえはたを見る。



 「ジルとニーナの件で伺いました。合同軍事練習を持ち掛けるのはいかがでしょうか。

 華楽からくにももちろん地下に訓練場を設けていますが、合同となると難しいでしょう。

 でしたら、アルタイアでとはなりませんか?」




 「合同なんて今までに二、三度しかしてきていないですよね。

 私に国長が変わってまだ半年ですし、信頼関係がまだ出来上がっていないので承諾してもらえるか……」



 「ええ、ですので龍元りゅうげんとも合同軍事練習をするのです。

 その後、アルタイアに以前もしたことがあると思いますが……と提案をしてみるのはいかがかと」



 「私もゆえのその意見に賛成です。ニーナやジルとことは華楽からくにいては、調べられません。

 このまま待っているだけでしたら、何も変わることができかねます。」



 「……」



 「……国長くにおさという立場上、多方面から心配ごとを潰してから動きたいと考えるのは至極当たり前のことです。

 しかし、決断を下すのは早い方がいい時も大いにあります。


 私とぎょくの意見も参考にお考えください。

 ーーまた、明日の朝にでも意向をお聞かせください」



 「……わかりました。本日の夕方までに回答を用意しておきます」



 ゆえぎょくの顔をチラッと見た。この視線だけで、ぎょくゆえの言いたいことを理解した。

 「「また夕方に参ります。失礼致します。」」



 ボディーガードの二人にキィ……っと扉を開けられ、国長くにおさの部屋を後にする。



 「……ねえ、入室のタイミング測ったでしょう?」



 ぎょくゆえを見ているのに対して、ゆえはまっすぐ前を見据えている。

 「ぎょくがそう思うなら、そうなのかも」



 「にしても、ゆえは頭がいいなあ。

戦法を考えるのもいつもゆえだもんね。 ……軍師様?」

 ふふふっ。と笑ってゆえをみる。それに対して、ゆえは深くため息をついていた。



 「いやだってば、軍師なんて。誰も考えないし、しょうがなくだから」



 「まあ。それでも今まで、そのおかげで乗り越えてきたんだから。

 スノードロップの軍師って呼ばれるのも、悪くないんじゃないの?」




 そう話しながら、渡り廊下を歩き事務所の部屋に戻ってきた。



 ピピピッと鍵を開錠する。毎回開錠を中からか、外からかしなくてはいけない。


 扉が開き、中からしんが慌ててこちらに駆け寄ってきた。


 「〜!!! ちょっと〜〜〜!!

 二人でどこに行ってたのさ! 私だけ除け者にして〜」



 「国長くにおさの部屋」


 「うわ、それは除け者してくれてよかった〜」



 「またそんなこと言って。同盟組んだ仲なのに。それにこれまでの国長と畑国長はたくにおさは違うのは明白でしょう?

 それに、最近の仲じゃないじゃない」



 「違うんだよ〜あの部屋がいやなの!」



 「ゆえの言いたいことも、しんの言いたいことも。私は痛いぐらいよくわかるよ。」



 そう言って、ぎょくは二人まとめて抱きしめる。しんは、うわぁと少し驚いた声をあげていた。



 「あと少しってところかな。ねぇ。 ……私にゆえしんももう少し。もう少しだけついて来てくれる?」



 「ぎょく …あ 「あったりまえじゃん!!」

 ……少しと言わずどこまでも3人でやり遂げよう」




 「ふふふ……ありがと。」



 もう少しこのままでいたい。2人から離れたく無い。そう思った。2人の人肌のあたたかさで、心が温まる。

 そんな気がした。

 ぎょくは、ガバッと顔をあげた。この温かさに浸っていたら、動けなくなると思った。無理にでもからだを動かそう、そう思っての行動だった。


 「さっ! 仕事に戻ろうか!」



 (もう少し、そう思うと頑張れる気がする。)



 下から上がってきたそれぞれの街での報告書に目を通したり、訓練場での報告に返事を書いたり。

 書類仕事だけでもたくさんある。机に貼り付け状態で、時間だけが過ぎていく。



 政治面での報告書もなぜだかこちらに回ってくるようになったので、デスクの上は大きなパソコン2台に書類の山といった状態だ。パソコンも、データを記入できる程度であまり使い物になっていないのが現状だ。

 しかし、無いよりマシというやつで置いてある。



 (今日の夕方に国長くにおさのところに行くなら、その後はできないだろうから……。

 さっさと終わらせて、久しぶりに訓練場で練習でもしようかな)




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