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スノードロップ  作者: 白崎なな
第6章、自由と平和
45/46

45。歩み寄り

戦後すぐに世界を牛耳る2つのアルタイアと龍元りゅうげんは代表として、世界に声明をだした。



"今後、人を無闇に殺すことを禁ずる。他国民が自国で法を犯した場合、殺さず捕まえよ。そして、裁判にて法の裁きをくだせ。"と。





ーーー梨那は戦争後、アルタイアに残ることを決断する。

アルタイアにいる華楽からくから連れてこられた、元スノードロップの子達を解放した。



「スノードロップの子達の自由が手に入った今、次のステップは世界の平和だと思ってて。」




「また、大層な夢…」



「たしかに、無謀かも。でも、これからも繰り返されることなく子供達の自由を守るためには必要だと思うんだよね。」



「そうかもしれないけど。」



「まず身近で、私たちができることをする。その結果が世界の平和だといいなって。」



「身近でできることが平和に結びつく…か。そんな上手くいくものか?」



「うーん、どうかな?

とりあえず、アルタイアの紛争をなくす。と言うのはどうかなって。…そのためには、何が必要だと思う?アイラン。」



「紛争を無くす、か。うーーん、そうだなぁ。…国の統一?」



「私もそう思う。」



「いやでも。そうすると、また大きな……」




梨那がフルフルと首を緩く振る。

「話し合うの。」



「は、話し合い!?無理無理!話なんて聞いてくれやしない。」



「やってもないのに分かるの?」



「いや、たしかに。…でも。もし、逆に殺されたら?」




「ふふふ。そんなこと気にしてるの?銃口向けられても簡単に死にはしないよ。…だって、私たち強いでしょ?」




「僕たち……あぁ、僕たちは強いから!」




「アイラン。でもね?私たちは力を持ってして制圧をしたいんじゃない。…だからこそ、話し合いをする方が大切だと思うの。」



「?どういうこと?」



「手をとって共に歩くの。…それが、平和。」




「?手?手をとって?平和?」



「アイラン?あなた、この戦争で学ばなかった?"私たちは犠牲の上に立っている"って。」




「…叶果きょうか…?」



「そうだね。でも、彼女だけじゃない。父親を兵士として送り出して、戻ってこない家族がたくさんいる。」




「犠牲の上に立つ、か。」



「だからこそ。力じゃなくて話をする。すぐに話を聞き入れてもらえなくてもいい。何度も話し合って、お互いに手を取れるように努めるの。それが、私たち生きている人が平和のためにできること。」




「……ぼ、僕は何をすれば?」



「この戦争で嫌と言うほど思い知った、悲しい思いを隣国に話せばいい。」



「それだけでいいのか?」



「大丈夫!きっと、分かってもらえるよ。」




「梨那。本当に………強いな。」



「なにそれ。…さっ、善は急げだよ!」




「うん。強くて、優しい。が正解だったかな。」





(1ヶ月後に行われる叶果きょうかの火葬の日に戻れるように…急がないと!


不発弾の除去をしてアルタイアの人が安心して暮らせるようにして…

隣国に話をする場を設けられるように連絡を…


思い出すと、涙が止まらないから…。むしろこのぐらい忙しい方が、良かったかも……)



自由となったら、その後はのびのびと生活を送りたかった。

それでもアルタイアが変わらなければ、また同じことが繰り返されると思ったから。

アルタイアをなんとかしようの考えた。



紛争の絶えぬアルタイアは、一日中起こっていた戦争に対しても何を理由にした戦いなのか何も思わなかった。



『また、紛争?戦争?』


『ノア皇帝が亡くなった?それなら、紫の瞳の……梨那皇帝に!梨那皇帝の誕生だ!』


そして当然のごとくアルタイアの国民は、紫の瞳をもつ梨那をすぐに皇帝に定めた。



『私のことは、皇帝と呼ばなくていいです。今まで行われていた政策は間違っている。私がアルタイアを変えたい、それだけですから!』



そうして、アルタイア大陸を統一を目指した。

平和のためにと奮闘し、3年の月日が経った。




『梨那皇帝なら、大陸統一を成し遂げてくれると思ってたんだ!私たちのことを思ってくれて、不発弾の除去をしてくれたり…。皇帝に祝福を!』




昔から不発弾があり危険とされていた広場にも家が建ち、アルタイアが大きく繁栄することになった。



そこに至るまで、何度も話をしに隣国へ赴いた。水やワインを頭からかけられることもあった。それだけなら可愛いもので、アイランが危惧していた銃口を突きつけられることも実際に起こった。




それに対しても梨那は、笑顔を忘れなかった。

『"私も自分が同じ立場にならないと理解できませんでした"ので。銃を向けるということは、相手を殺すということ。


そしてそれは、人を殺す先に残るのは悲しい未来だけ。そんなの誰も望んでいないはずです。』



梨那は、この大きな戦争でたしかにスノードロップの解散や奴隷解放することに成功した。



しかし、それ以上に失った心の穴が大きかった。


『人を殺さず?手を取りあって?そんな綺麗事。


君よりも長く生きてきて、経験を積んで私たちはここまできた。何を言われたって……仮に机に銃を置き敵意がない旨を証明したってそれは無意味だ。』




『…人を殺し、手を汚す…これは、心を殺すことと同じ。それよりも。お互いに手を取り、話をして進んでいくべきです。


……戦争は、悲しみ以外何も生み出さないのですから。経験を積んできた、あなた方なら痛いほどこの気持ちを理解できると思います。』



紛争の絶えぬ隣国の人々は、みな口を揃えた。

『何を言っている?"殺されるか殺すか"だ。それなら、自分のことを優先するだろう?』


自分自身に"殺されたくないからやるしかない"と言い聞かせていたことを思い出す。



『…私も実は、人殺しを何度もしてきました。だからこそ。その言葉は言い訳にしか過ぎないと言いきれます。確かに、話し合えばなんて綺麗事です。

……しかし、それもせずに初めからその手段を取るのは間違っていませんか?



ーーー今ならまだ、やり直せると思いませんか?』



話しを何度もしているとお互いに戦争を本当はしたくない。傷を付け合いたくない。と本音では思っていることがわかった。



紐が絡まっているときというのは、解けなくてハサミで切ってしまおうと思う。でも、切ってしまえば後悔が残る。

切った紐はもう2度と元には戻せないから。



でもそれを…人の助けを借りて紐を解いていけば、案外簡単に外れるもの。梨那は国々のやり取りにも同じことが言えると感じていた。



絡み合っていた紐は、綺麗に外れていったように感じた。



(話をすれば歩み寄ることができる。だからこそ、より一層平和を望む。……これは、いい兆しだ。)



隣国たちは、梨那の言う"平和な世の中"を実現させるべきだと。"お互いに歩み寄り手をとっていこう"と言うようになった。




そうして、3年かけてようやくアルタイア大陸を統一することができた。



紛争の絶えぬアルタイアは、隣国の油田地帯の国や工業の盛んな国も一つの国となり以前以上に豊かになった。



航空機のさらなる開発、コンピュータ技術の開発……

人々が他国とやり取りを簡単に行えるように環境を整え、この技術を惜しみなく世界に広めた。



兵士として雇っていた人々に工業や開発する人員として再雇用した。


日を経つごとに、軍の縮小させていった。



「アルタイアで開発している航空機。この技術は、世界で共有したいです。

しかし航空機は、以前同様に戦争には使わない。連絡手段や移動手段としてのみ使用しましょう。」




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