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スノードロップ  作者: 白崎なな
第4章、瞳と血
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26。皇室

朝方に船を動かし通常の船着場に動かした。


「…もう紫の瞳をまた人間が来るってことも。

それがぎょくってこともここでは知られているんだし。カラーコンタクトつけるのやめたら?視界も悪くなるんでしょ?」



「え?ああ、これね。毎日のことで何も考えてなかった。でも、紫の瞳の人間がくることが知れていたとしても外していいのかな。

”私を狙ってください”って感じじゃない?」



「狙われてやられることはないでしょ。もはや、堂々としてた方がいいかも。」



「うん……まぁ、そうだね。そしたら、このまま行く。」



隠すようになってからはじめてぎょくは、紫の瞳のまま外に出た。


3人は、スノードロップの黒のワンピースの軍服に着替えた。


「さぁ、行こうか。」




船からぎょくを先頭に降りていく。


ダッターン、ダダッター

3人の姿が現れた途端に待ってましたとばかりに、たくさんの楽器で演奏して出迎えられた。



船に伸ばされた渡り板を渡りきると歓迎の曲が止まった。


そして、ジルが音楽隊の合間をぬってやって来た。



『とても久しぶりだね。……ぎょく、君はその紫の瞳をオープンにするようにしたんだね。本当に綺麗ないろだ。…神の血が入ってるお陰で、さらに君はとても魅力的になった。…あぁ、忘れてたよ。』



華楽からくの言葉で話をしてジルは右膝をついて頭を下げた。

ーー華楽からくの軍部での最敬礼だった。


アルタイアでは、膝をつくことはしない。

目上の人と握手を交わし、握手した手をおでこに当たる。



「3人の御公明はかねがね承っております。」



(なんと、わざとらしい。今の部分だけ、アルタイアの言葉で話すなんて。"私たちなことを大切にしている"ってアピールをしたいの?)




そう言い終わって、手招きされた。

軍部のある方ではなく、皇室へ連れて行かれた。



「君たちに会いたがってる人がいるんだ。」



「……私たちに会いたい人ですか?」



(皇室ってことは、現皇帝のノア?とか?)



「久しぶりに会うから、向こうも楽しみにしているようだよ。ささ、中に入って。」


扉が開いたままになった応接間に通された。

長テーブルを椅子が囲むように並んでいる。



1番上座に座るよう指示を受け、部屋の扉から遠い席に座った。



(何かあった時は、後ろの窓を割って逃げる?

扉から攻められたら、そうするしかないよね。)



ジルが扉の前から指示を出し、そのまま止まっていた。


誰も何も話さない静かな空間が流れ、かなりの時間を待ったと思う。


静か過ぎて居心地の悪さからそう感じたのか、部屋にいる4人は瞬き以外の動きをせずずっと背筋を伸ばし"会いたがっている人"を待った。




ドン…ドンッーー



「待たせたようだ。久しぶりだ。私のことを覚えているかい?ぎょくゆえ。」




「み、水本、元国長……?」



「何故、あなたがこちらにいらっしゃるのですか?」




「久しぶりだというのに。矢継ぎ早に質問をするのかい?……ゆっくり話をしようか。さあ、座るんだ。」




水本の顔を見た瞬間にぎょくゆえは、立ち上がってしまった。


しんは、直接会ったことがなくぎょくが名前を言ったときにはじめて知った。




「私たちは、あなたに話すことは何もありません。」




「まあまあ。いろいろと水面下で動いているそうじゃないか。何を知ったのか教えてくれるかい?」




「……何も知らないです。教えてくださるなら、話を聞きましょう。」




「何も知らないなんてことはないだろ?それとも、ジルに席を外してもらおうか?」




「……水本元国長は、何がおっしゃりたいのでしょうか?端的に述べてもらえますか?…私たちも練習に参加しなくてはなりませんので。」


(本来なら、私が言わなくちゃいけないのに。

ゆえが代わりを担ってくれてる……

…話さないと、私が受け答え、しないと。)




「…ゆえ、君は私に言うようになったんだな。もう私は政府の人間じゃないからってことか?」



「いえ。と否定したいところですが、"元国長"ですから。私たちの権限は、もうありませんね?」




ゆえはそう言っているが……ぎょくは、そんな事なさそうだな。


しんは、はじめて会うが君は何も言わないのか?私の顔を見て立ち上がりもせず、失礼だと教育は受けなかったのか?」




「…水本元国長をお目にかかるは、はじめてで…

失礼いたしました。」




「……私の瞳の色の話でしょうか?」




「君の瞳の話、ね。それもある。

そもそもスノードロップを作った話、だとか。君たちの境遇に対して、だとか。」




「私たちの境遇ですか?」



「ああ、そうだ。スノードロップに所属している子達の同じ特徴があるが、気づいているか?」



「……親がいません。」



「そう。親がおらず、君たちの戸籍も抹消されている。だから、新たな名前で生活するように命じた。


ぎょくならあの夜に、"高松梨那は、死んだ"もう存在しないんだ。」





「戸籍が無い…だから、簡単に命を奪ったりしていたのですか!」



「何を言っている。君たちは人間ではない。」




(はぁ、嫌だ。いやだ。いやだ。この人は私たちにその言葉をまだ言うの?…胸が、苦しい。息づまって、上手く呼吸をとれない。)



「……殺人兵器だ。兵器の家族が増えて良かったなぁ。」




「兵器…、では、ありません。」




「何を言っている?スノードロップは、死を意味する花。その花のように、君たちが現れたら殺されるんだ。

殺しの集団、スノードロップだ。兵器じゃないならなんだというんだ。」




「……私たちにはココロがあります。人です。」



「国の駒の軍部の人間、の方がまだマシな言い方ですね。」



「そうです兵器に家族という概念はありません。人にしかないか感覚です!」




「ほほう。まあ、そこはいいだろう。少し過去の話をしようか。」


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