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スノードロップ  作者: 白崎なな
第4章、瞳と血
25/46

25。情報

船着場の近くの鳳凰木の森林に船を停泊させた。

まだ6月で、青色をしている。



ぎょくは、青々とした鳳凰木を見上げた。


(紫に染まるのは、まだ4ヶ月も先…。

美しい姿のまま10月を迎えられるだろうか?)



3人で動けば勘繰る人がでてもおかしくないということで、それぞれ別行動をここからしていくことにした。



先に、ゆえが図書館を目指して歩いて行った。

つぎにしん。最後にぎょく




ぎょくは、まず軍部の書籍庫へ向かった。

アルタイアの図書館は、一般的に流通している書籍を取り扱っている。

ぎょくが今目指している書籍庫は、軍に関する書物とアルタイア政府の書籍が保管されている。



アルタイアの図書館も書籍庫も一般開放をされており、どんな人でも自由に出入りが可能だった。



(こんなに誰でも自由に出入りができるなんて、誰が情報を持ち出すか分からないのに…)



アルタイア政府としては、自分たちに歯向かうなんて命知らずだ。という意見だそうだ。

何かを持ち出されたとしても痛くも痒くもないと考えているらしい。



その書籍庫には、昔の軍の方針から最近の軍の練習方法まで書籍が置かれている。



色々なことが最新の物を使っているアルタイアでも、写真というのは貴重なもののようで図や絵が描かれている。




昔の書籍の情報は華楽からくの新たな戦術にも使えるだろうが、そのようなことを見ている時間はない。




(今の情報が載っている書籍は……これかな?

わぁ。最新の書籍には、写真が何枚も貼られている。さすがは、アルタイア。)




真新しい紙でできたものだった。

読書スペースの席につきページを開くと、ページがくっついている。


おそらく版画で印刷をされた後、誰も開いていない。




ーーー

軍情報

 華楽からく軍と龍元りゅうげん軍の衝突

アルタイアは、華楽からくと共にある。

華楽からくより依頼があった場合のみ軍を進軍させる。


また、龍元りゅうげんは奇病により人員確保が難しく華楽からくの勝利間違いなし。


華楽からくのスノードロップには、紫の瞳をもつ人物。

龍元りゅうげん娘娘にゃんにゃんも紫の瞳をもつ人物。


神の血を分つものが、皇帝意外に2人存在する。

どちらか神の血が本当の神の血か。

ーーー





(ここにも神の血の表記がある…普通ここの文章、どちらが本当の神の子か。とかならわかるけど…

"血"というのがキーワードになるの?



……それより、なぜ衝突?…華楽からくと共にあるって…何か軍事面で助けてもらっていることはないはず、だけど?)


新しい情報はこの書籍にしか載っていなさそうなので、書籍庫を後にした。


そして、軍の公開練習場へ向かった。

ちょうど今は華楽からくからのお客様をお出迎えということで、軍部はパレードに出ている。



公開練習場にいるのは、パレードに出ない訓練生や訓練生の上官達だ。



ぎょくのことを知っている人もいる可能性があるため、物陰から様子を伺った。


覗いた時間はちょうど休憩時間だったらしく、訓練生は輪になって話をしている様子が見てとれた。




『今、軍部は華楽からくのお客様が来てるんだって〜。なんでも神の血をもつひとが来るらしいよ。』



(ここでも、神の血のはなし。)


『それは、煌びやかなお出迎えなんだろうなぁ』



『神の血って言うけど、穢れた血が混ざっているんだぜ?』



(穢れた血??それが混ざっている?)


『おい、声が大きいぞ!上官に聞かれたらお前殺されるぞ!!』



(ころ、される?もしかして、秘密にされている情報?)



『……そんなに大きかったか?悪いなあ。

貴族とか皇帝なのに、"穢れた"なんてイメージ悪くなるからなあ。

ーーああ、そういえば航空機の話聞いたか?』



(イメージ問題?なだけ?)


『航空機のはなしな!今軍部の中で話題だろ?』



『俺も聞いたぞ!禁止されているけど"紫の瞳を守る為に使用するなら問題ないだろう。"ってやつだろ?』


(ん?)


『そうそう。でも、戦争で航空機を使うなんて国同士の決め事を破ってもいいのか?』



『それは、ノア皇帝のご意向だ。俺らがとやかくいうことじゃない。』


(え?どういうこと?)


『言えてるな!…上官がこっちをチラチラ見てるぞ、そろそろ練習やるか!』




(航空機を使う???国同士の決め事を破る…そんなこと許されるの?ただの戦争では無くなる。

3つの国が無くなるかもしれない大きな戦争になりかねない。)




国同士の決め事として、航空機は戦争で使用しない。

連絡手段や移動手段として利用すること。と、決められていた。



戦闘機を造り出すというのは、危険だとして空路を開発されてた当初に制定された。




(どこかに、戦闘機があるっていうの?

あったとして……それを急にぶっつけ本番で動かすなんてできないはずだから、練習をしていてもおかしくないはず。


ーとりあえず、そろそろ船着場に戻って2人に今の話をしないと!)



ぎょくは、音がしないよう抜き足差し足でその場をあとにする。



船着場に着くと、もうすでに2人は戻って来ていた。


ぎょく〜戻るの遅くて心配だったよ〜

何か情報手に入れれた〜?」



「あぁ、うん。とんでもないことを知ったよ。」



「とんでもない?」


船の中に入り3人はぎゅっと固まりコソコソと話をし始めた。



「まず、紫の瞳は穢れた血が混ざっているって話を聞いたんだ。書籍庫にも、神の血をって"血"の部分が強調されている書き方がされていたの。図書館には、そういうこと書かれている書籍はなかった?」




「…神の血は、華楽からくで見たことと同じことしか書いてなかった。

でも、忘れていたんだけど…最下層の瞳の色は、赤。この赤は穢れた血を意味するの。」



「ということは、絵の具の考え方?

紫の瞳を産むには、赤色と青色?それで紫の瞳は、神である鳳凰木と穢れた血の子。

”神の血”ってこと?」




「なるほど。紫を作りたいんだよね〜?そうすると、紫と青とか紫と赤だと、どっちかに寄った紫になっちゃうのかな?でも、赤の瞳の人なんて見たことないよ〜?」



「最下層の人間は、どう扱うかは皇帝次第ということでしょ。

その辺りには、いないんじゃないかな?」



「じゃあ。皇室に行けばどこかの部屋にいるかもしれないね。」




ぎょくもう一つあるの?」



「そうなの。訓練生が話していたことだからどうか…わからないけど。

航空機を使って戦争をって聞いた。ーー戦闘機がどこかにあって、練習をしている可能性もあるかも。」




「実は、私も軍部でニーナがいないか調べていた時にその話聞いたよ〜。

戦闘機もだけど、へりこぷたあってやつも開発をしていて実用的になりそうって。」



「へ、へり?なにそれ?」



「街の掲示板でそれ見た。へりこぷたあってやつは、航空機と違ってそのまま上に上がって降りて来れるらしいいの。だから、滑走路を用意せず飛び上がれるらしいの。」




「そんな物がどこに…」



「ニーナは、見つからなかったんだけど。へりこぷたあは、見たよ!

戦闘機はそこには無かったんだけど。軍部の武器庫に並んでたの!3台がドーンって!」




「え、本当にそんな物が存在するの。」



「軍部の武器庫……実は私の父が特殊部隊にいて、武器庫爆発テロで来ていてその帰りに亡くなっていて。

その後から新しく武器庫が建てられて…そこからへりこぷたあを開発していたら?


かなり性能が良くても不思議じゃない。こちらは、連絡手段用でしか使わない。

飛距離だって、華楽からく龍元りゅうげんを行くのがギリギリだし。

………今からそれに対応できるよう作り始めたとしても、間に合わない。」



「…ど、どうしようか。」



「戦闘機を使わせる前にここで叩く?」



「国長に相談してからじゃないと…でも、何かあればトリガーを引いてもって言ってたよね。」



「もう少し様子を見ながらの方がいいよね。」




「うーん、様子見をしている暇なんてないかもしれない。ニーナは、ジルの場所に居るみたい。軍部にはいないらしい。

そっちで何をしているか、分からないよ。」



「……そうだね、先先手必勝だよね。

それよりも!へりこぷたあ、私もどんなのか絵でもいいから見てみたい。

どうやって上に上がるんだろう。スナイパーで、エンジンにダメージ入れたらなんとかなる物でもないでしょ?」



ぎょくは、エアで空を狙って打つような仕草を見せた。



「それはどうだろう?本物は見てないけど。航空機の大破の原因は、エンジンの穴とかエネルギーを入れる場所の穴による引火なんだよ。穴を開ける場所によっては?」



「実際に見たけど……航空機の羽が無くて、その代わりに上にプロペラがあって〜。それ以外はそんなに違わないように見えたかな〜」



「それなら、航空機のエネルギーを入れる場所とかを狙うか。そのプロペラを狙うのが良さそう。

でも私みたいに技術がないと難しいはなしだよね。


それに私だとしても、どれぐらい上空に上がるかによっては技術の問題じゃ無くなるし。

現実的なやり方じゃないね。」



「まあ。戦闘機とへりこぷたあを使わせる前に終わらせよう。」



(穢れた血に、紫の瞳。私のお母さんとお父さんの瞳の色は赤と青?それとも紫?)




「……それと、図書館で面白い書籍を見つけたの。

………ルーク前皇帝の妻エマと、ニーナは双子。

二人とも紫と赤の瞳を持って産まれたそうよ。」




「前皇帝ルークは、たしかに青色の瞳だったから。

赤色の瞳が欲しいのよね。でも皇帝の弟エイダンも青色の瞳のはず。兄弟で…に普通はなるんじゃないの?」



「……エイダンは青色だけど、ジルは何色だったか覚えてる?」




「ハッ!黄色の瞳!ジルの方がくらいが上になるってこと??皇族よりも?」


「シー!しん、静かに!!」



「あっ、ごめんごめん!」



2人のやりとりにゆえが、ゆるく首を振った。


「その場合は皇族が上なのに変わりはない。

でも、エイダンとジルは幼馴染。エイダンはジルのことを愛していたみたい。今でもそばに置くのは、そういう事らしいの。」



「そういうこと。セルジオとアイランは、2人とも黒色だったね。色が混ざり過ぎたのかな。」



「それもあるかもしれない。でも隔世遺伝って可能性もあるし、一概には言えないけど。」





(なるほど…それで、ジルがアルタイアでも力があってニーナもやりたいことをやれるのか。)




「思ったよりも早く欲しい情報以上のものが手に入ったね。明日の朝早めに船だして、合流しようか?」




「少しでも早い方がいいね、そうしよう!」




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