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スノードロップ  作者: 白崎なな
第4章、瞳と血
23/46

23。アルタイア

「神の血に対しては、また私が愛藍あいらんに聞いてみましょう。

答えてくれるかどうか、ですが。」




畑国長はたくにおさ、彼の話によるとアルタイアは華楽からくと戦争をする気はないそうです。


ということは、華楽からくから水銀を輸出させて龍元りゅうげんとの戦争を起こさせようとしているのではないかと推測されます。


彼は、アルタイアの人間です。国籍も偽っていたぐらいです。全てを信じないでくださいね。」



「そうですね。私より、ゆえが尋問したほうが効率がいいかもしれませんね。」




「いえ、そのようなことはありません。

……それと…ひとつ思い出して欲しいことがあります。」


「?…なんでしょう?」



「私たちが華楽からくに帰国したときに、彼が待ち構えていて"水本さん""酒井さん"とさんづけで呼んでいたことを。」



「それは、私も疑問に思っていました。

何故、国長という立場のひとに対してさん付けなのかと。水銀の件と何か関係があるのでしょうか。」



「それも調べなくてはいけないですね。

華楽からくの人間であれば水銀が体に悪く薬になることは無いと理解しています。


それをわざわざ輸入して、再輸出する理由がありません。」



「誰かが、わざと…」




「また、書庫で見つかった書類のようなものが他に無いか、探さなければなりませんね。そこに示されていることもあると思います。

それより、アルタイアから我々とも軍事練習をしましょう。と連絡が来ました。


龍元りゅうげんから戻ったばかりですが、アルタイアに向かいましょう。

今度は1週間後に、こちらを出発します。


きっとアルタイアで有益な情報を得られると思います。」




「「「御意」」」




(ついに、アルタイアで直接調べることができる。

紫の瞳についても、もっと詳しくわかるかも知らないし。なにより皇帝に何かあったとして……


神の血を持つものだからアルタイアを引っ張っていけ、とか言われたらどうしよう。)




アルタイアは、自分の子供に継がせる。

男性でなければ継ぐことができない。



そのため、男児が産まれないと産めなかった女性を切り捨て別の女性に変えられる。



アルタイアは、女性の腹の中で性別が変わると信じられていて男児が産めない皇帝の妃は必要ないのだ。



華楽からくでは、男性側が性別を決めていることが知られている。

だから万が一男児が産まれないとなった場合、男性に魚や肉を食べるように指示する。



確約はできないが、可能性は少しは上がると考えられている。

人間の身体は食べたものでできているという考え方で、全て身体の基礎のひとつとしている。



一部の名医の中では、これも意味がなく欲しい性別を産むのは困難だ、という。




なおかつアルタイアでは、男児であり瞳の色が紫、黄、青のどれかであること。という。




(これだけ厳しい条件を潜り抜けるのは、難しい。

そろそろこの条件を変えてやっていかないと、国が成り立たなくなるんじゃないかな。)



アルタイアに向かう1週間の間に愛藍あいらんに聞き出したいことを尋問したり、水銀のことを示された書を探しで過ごした。


はたではなかなかうまく聞けず、最終的にやはり適任はゆえだということになった。



『アイランは、ジルとニーナに言われて華楽からくに?』 



『どうかな?違うかもしれないしそうかもしれない。――ああそういえば、水本さんに会いたいんだけど。久しぶりに話がしたい。』



『水本…元国長?水本元国長とアルタイアと今でもやりとりをしているの?』


『いや、それは無い。僕と彼とは仲がいいんだ。

気が合う友達というのは、年齢や地位に関係なくできるものだろ。』




『ここに入れるのは現国長のみで、辞めた人間は入ることができない。』



『…そうか、友に会えないとは。

……あとゆえは、何が聞きたい。』


『紫の瞳について。紫の瞳を持つものは神の血を引くもの。ということが分かった。

その紫の瞳を持つ人間を探す理由。それはなぜ。』




『おお、ようやくそこまで来たのか。

調べたらすぐわかるものなのに、やっと分かったのか。ーーそれで?探す理由?それは、僕にも分からない。母さんなら知っているから、本人に聞いたらいいだろ。

アルタイアに行くことになったんだろ。』




『ーーあなたは私達がいない間に何を知ったの?』




『あっはははははは。何を知った?僕は何も知らないよ。』



『そう。でもあなたが連絡をしたから華楽からくとアルタイアの合同練習が始まるのでしょう?』




ゆえが相手だと嫌だな。質問をどんどんされて困るよ。……それで?連絡したのか?って?

それぐらいしたって何も困らないだろ。


逆に?感謝して欲しいぐらいだ。アルタイアに行きたがってたんじゃないのか?』



『…私も嫌よ。こんなよく分からない回答しかしない人とのやりとりなんて。

じゃあ、そこは感謝しておくわ。』



と言った具合に特に大きなことを聞き出すことができなかった。



そして、書類についても見つからずいた。

(明日、出発するというのになんの収穫もなし。か。)



ぎょくは下の子達の訓練内容や、第三部隊の街の報告書に目を通しながら考えていた。


(前の書類は書庫。他に隠しておけそうなところ…国長の部屋?それともアイランがいた部屋?

アイランから聞き出せないならせめて、書類だけでも見つけ出したい。

……そもそも存在しないのかもしれないけど。)




――ピピッ

そう考えていたら部屋の扉が開きはたが入室してきた。



そして、書類を手にしていたーー


「それは!もしかして、探していたものですか!」



「水銀のことではないが、探している書類の一枚で間違いなさそうですよ。」




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