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スノードロップ  作者: 白崎なな
第1章 玉 月 杏
10/46

10。誕生日

 それから、合同訓練に向けて溜まっている書類と睨めっこをして急いで片付けた。


 そして丸一日を訓練場で練習をした。


 銃撃では、以前できなかった本格的な練習を重点的に行なった。

 頭上にネットがあったり、模擬建物や扉が開く部屋があり自動で的がスッと現れては消える。

 それに銃口を向ける。というかなり実践的な練習法だった。



 午後には、ゆえしんと体術の練習をした。初めてぎょくは、しんから一本を取ることができた。



 「おお〜今のは手も足も出なかったよ〜! 習得が本当に早いね〜」



 (ーーそうやってしんは言ってくれたけど、もしかしたら彼女の優しさで取らせてくれたのかも)



 なんて呑気なことを考えていた。



 ゆえしんは顔を見合わせて頷いていたことに気が付かなかった。



 「さあ、ぎょく。寮に戻ろう。明日が合同練習だからね」



「そうそう! さ、シャワー浴びて寮にもっどろう〜」



 「……? もう? 早い気がするけど……?」



 二人に腕を引かれて道場を出ざる終えなくなった。二人ともぎょくよりをも身長も高く力も強いので、こうなると抗えない。



 (もう、大人しくついていくかあ)



 道場前にシャワー室がある。そこでさっとシャワーを浴びて、寮に3人で戻る。



 「なぁんか、3人でこうやって寮に戻るのって久しぶりだね」



 「それぞれやる仕事が違うから、どうしてもそうなるよね」



 「事務所で泊まることも多いし」



 そのままなぜだかゆえしんは、ぎょくが部屋に入る後ろを付いてきた。



 「「お邪魔します」」



 「いやいや、何ナチュラルにお邪魔してるの」



 「梨那りな、今日はなんの日?」



 「え? 5月10日……あ。私の誕生日か……」




 「おっめでとう〜!!」


 しん……もとい叶果きょうかはケーキの箱を顔に近づけ笑っている。


 (そうか、もうあれから何も進展せず一年が経ったのか)



 「そんな顔しないで。今ぐらい、梨那でいいんだよ」



 「ありがと、あずさゆえじゃなくっていいんだよ」



 (久しぶりの自分の名前。自分の名前なのに違和感があるなあ)



 「〜〜もう! 梓も今そんなこと話さなくていいでしょう?

 ささ早く、ろうそくをふーしよ!」



 「叶果きょうかは、ケーキ食べたいだけでしょ」



 梨那は自分の誕生日にいい思い出がない。それを知っている彼女たちは、 ”楽しい思い出で塗り替えよう” と言って

 どんなことがあっても必ずこうしてお祝いをしてくれる。



 龍元りゅうげんでは15歳からお酒が飲めるので、龍元りゅうげんの地酒を開けてお祝いをしてくれたこともあった。

 華楽からくでは、25歳以上と趣向品に対して厳しい法律がある。

 ちなみにアルタイアでは、20歳から飲酒ができる。



 バースデーソングを歌ってもらい、ろうそくをフッと消した。三等分にホールケーキを梓が切り分け、それぞれの前にケーキと紅茶が置かれる。



 「梨那、20歳になったでしょ〜?

 アルタイアのお酒もついに飲めるね! 私去年飲めるようになって飲んだけど、アルタイアのはスッキリめで美味しかったよ〜」



 「今年で叶果きょうかが21歳で、梓が24歳だったよね!

 叶果の誕生日の7月には、終わってて落ち着いてお祝いがしたいね。去年、 ”来年の誕生日こそは” とか言って叶わなかったからなあ。」




 「でも一歩ぐらい進んだでしょ? 明日から久しぶりの龍元りゅうげんでの訓練だよ。しっかり引き締めていこ」




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― 新着の感想 ―
[良い点] 玉、月、杏の3人がスノードロップという部隊をなくすために動くこの物語、3人の仲の良さがうかがえて、更にそれぞれ得意なことが違うのも興味深いのじゃ。梨那の誕生日で、3人の年齢がわかって、スノ…
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