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A-Ⅶ: 初の街、そして初フレンド

ベールが消えるのを待ちながらSPを振っていると、消えていくベールの後ろに橋を渡ってる男性アバターが見えた。


半透明だったのに、ベールが消えるまで外のプレイヤーが見えなかったな、そういうシステムか。名前は「ウーサーラビッドラゴン」か、いいセンスだ。初期装備だし、俺と同じ初攻略組かな。せっかくだし話しかけてみるか。こういうとこで交友作っとくと思いもよらんとこで役立ったりするんだよね。にしても歩くの遅いな


「あの、すいませーん」


「ひゃ、ひゃいぃ!?」


走りながら話しかけたら前方へ派手にずっこけた


「あの大丈夫ですか?」


「は、はい。ありがとうございます…あれ、女の子?」


「ん?女の子?普通に男ですけ…ど…」


何故だろう。なぜ見落としていたのだろう


「このゲームボイチェンないやん!」


ウッキウキで最高に可愛いアバター作ってたけどボイチェン無かったやん!しかも今の俺客観的に見たら下着姿で話しかけてる変態だよ!他に見てる人いないよな?セーフ!いやアウト!しかも話しかけた相手がよりによって女性…ん?女性?


「あれ?もしかして中身女性ですか?」


「え?!じゃなくてん゛っん゛ん゛!勘違いさせてしまったら申し訳ない。驚いて少し高い声が出てしまったようだ。私は見た目通り男だ安心してくれ」


いや、低い声出しても誤魔化せてないから。でもこの手の話題に触れるのはやめておこう。俺も当事者ではあるしな。うんうん


「あーそうだったんですね。そういえばなんであんなゆっくり歩いてたんですか?AGIが低いとか?」


それでも通常通りの歩く速度は出ると思うんだが…もしかしてリアルで足がない人だったりしたか?!それは考えすぎか?いやしかし…


「じ、実は高い所が苦手で足がすくんじゃって…ゲームの中だから死ぬことはないって分かってるのにおかしいですよね、はは…」


そうだったのか。良かった〜


「いや、そんなことは無いですよ。もしリアルで怖いものはゲームの中でなら誰しもが大丈夫だったとします、そうだったとしたらホラーゲームみたいなスリルを味わうゲームは売れませんよ。気にする事は無いです」


そもそもこのゲームリアルすぎてな。意識して橋の下見てみると確かに怖い


「良かったらおぶって行きましょうか。渡りきるまでの間は目をつぶるなり、落ちないようにお経唱えるなりしといてください」


「い、いいんですか?」


「大丈夫、鍛えてますから。さ、乗って乗って」


「はい…」


ついでにさっき振ったAGIでどれくらい速くなったか試したくてな


首に腕をかけたのを確認して膝裏の少し上を持ち上げる


「それじゃ、トップスピードで行きますよぉ!」


「え、トップスピード?」


「離さないでくださいね!」


そう言うと俺は言葉通りトップスピードで走り出す


「きゃぁぁぁぁあ!?」


「うっ苦じ、くはないんだけど…強く締めずぎ強く締めすぎ!」


ダッシュしてるとウーサーさんが恐怖からか目いっぱいに首を絞めてくる。まぁ俺のせいなんだけど




さて、ゴールはすぐそこだ


「っし、着いたぁ」


「うぅ、は、速すぎですよぉ…」


「いやーすいませんやり過ぎました。反省はしてます。後悔はしてません」


「な、何ですかそれぇ…」


そう言うとウーサーさんはへなへなとそのまま座り込んでしまった。いつの間にか演技の低い声もやめてるし


「大丈夫ですか?立てます?」


「はいぃ…」


スカローが手を差し伸べるとウーサーはその手を掴む。そしてスカローはウーサーの手を引き、立ち上がらせた。


「ほら、ウーサーさん。あそこに街が見えますよ!」


俺が指さした方向には壁で囲われた街が見える。遠くから見えるほどの大きさだ


「わぁーすごい!トスタルファよりも大きいですね!」


「トスタルファ?」


「あれ、も、もしかしてトスタルファ行ってません?」


「そうなんですよね。初期位置を森にして直接ボス倒しに行ったんで」


「あ、なら第2の街の名前も知らないのでは?第2の街はベクスタと言って砂丘と森の中間に位置してるんです」


「ほぉ〜とりあえず街まで行きながら話しましょうか」


「で、ですね!」


--------------------


そして第2の街「ベクスタ」についた


ウーサーさんが歩きながら教えてくれたのだが、ベクスタは砂漠と森のいいとこ取りな街らしい。そして砂丘では魚が取れるとか。どゆこっちゃ


「着きましたね!」


「そ、そうですね!」


「色々教えてくれて助かりました!」


「いえ、そんな、大したことはないですよ。そ、それに橋のお礼です」


街の近くになると人が増えてきて、このゲームが世間で神ゲーだと祭り上げられてるということを再認識させられる。森みたいな狩場ではチャンネルを分散させて混雑しないようにしていたのだろう。さて、こんな人の多い場所で下着姿の変態と一緒にいたら変な目で見られてしまうだろう。ウーサーさんとはここでお別れだ


「ウーサーさん、それじゃこの辺でお別れとしましょう。またいつか会ったらその時はよろしくお願いします」


「みみ、短い間でしたがありがとうございました!」


「こちらこそ!」


「ま、まま待ってください!あの、その…」


お別れして街に走り出そうとしたところをウーサーさんに呼び止められた


「?」


「えっと、フレンドになってもらうのって、だ、大丈夫ですか?その、迷惑だったら全然断って貰っても…」


「フレンド!いいですね、なりましょなりましょ!」


「あ、ありがとうございます!」


-「ウーサーラビッドラゴン」からフレンド申請が来ました。承認しますか?


  ▷はい   いいえ


もちろん「はい」だ。俺の初フレンド!ありがたやありがたや


「そ、それでは、またの時に…」


「うん!またね!」


俺は門をくぐり抜け、第2の街へと繰り出した

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