A-V:グッバイ宣言(物理)
まぁなんだ、あんな大見得は切ったが装備0、耐久無振りの俺からしたらこのゴリラの攻撃は全てが即死級!つまりだ、このゴリラ戦は一発の被弾も許されない。
「グロォォォラ!」
ゴリラが渾身の右ストレートを繰り出す。それをスカローは右に躱す。しかし避けた先には既に左掌によるビンタが迫っている。
これをかわすなら上か?前か?
「いいやここは下だろ!」
即座に伏せると、上をギリギリで通り抜けたビンタが伸びてるゴリラの右腕に当たり静止する。ここから反撃するには…
「丁度いい!新スキルのお試しといこうか!」
右に転がった後、前向きにダッシュ、上にあるゴリラの左腕の毛を掴む。そしてスキル〈野人の跳躍〉発動!
スキル〈野人の跳躍〉:ある程度勢いがついてる、かつ空中にいる、かつ前か上に掴めるものがある or 何かを掴んでいる時任意のベクトルに加速する(最初に進んでる方向から角度があればあるほど発動までに時間がかかる)
発動条件のテキストが長くてめんどいな!要するに近くに掴めるもんがあれば大ジャンプできるってことよ!
今更だが皆さんお気づきの通りこのゲーム、リアルすぎてダメージに慣性が乗る。
「つまり速ければ速いほどつえぇってことだ!」
インベントリから2本目の斧を取り出し、勢いに乗せて2本の斧で首を切りつける
「やべ!これじゃ抜けねぇぞ!」
斧を深く突き立てすぎて抜けなくなってしまった。
「一旦退避!」
このままでは反撃が来るので斧は諦め、背中を駆けてケツの方に走る。インベントリから別の斧を2本取り出し今度は深すぎないようにケツを切る
「しゃオラァ!」
「ウゴォォォオオ!グルルルォォオ!」
ゴリラは切られた痛みからかその場でのたうち回る。
「さて、残りは5割、5回切りつけてこれか。まぁ上出来と言ったとこ、ろ…ん?」
ゴリラがドラミングを始める。するとみるみるうちに白かった肌は黒く染っていき、体の刺青が全て赤色に染まっていく。
「第2ラウンドってことか」
「グウゥゥゥ、ラァァッ!」
「はっはっは!もっと叫んどけ。今日でてめぇの最後の雄叫びになるんだからな!」
偶然5割ピッタリくらいになったと思ってたがシステム的に1回HPが5割で止まる仕様みたいだな。
「〈砂ぶ台地返し〉グゥゥ、ウォンッ!」
「あぁん?ちゃぶ台返し?!」
てかこいつ流暢に喋っただけじゃなくてスキルエフェクト纏ってるんだが!?
ゴリラが指を地面に刺す。そしてちゃぶ台返しの要領で土をスカローの方向に飛ばす
「うーんこれはヤバそうだ」
ただの目くらましかとも思ったがどうにもそうじゃないらしい。土塊一つ一つがデカすぎるしなんなら岩まで混ざってる。つまり喰らえば大ダメージ。あるかも分からんがノーダメのトロフィーが欲しいんで、出来れば被弾はしたくない。ということで悪いが
「捌かせてもらうぜ。」
このちゃぶ台返し、範囲は凄いが後隙がデカすぎるな。つまりここで選ぶべき選択肢は一択。逃げでもなく守りでもなく
「攻め一択だ!」
前方に駆け出す。正面に飛んでくる土塊をスライディングでかわす。しかし
「おいおい、まじか」
滑り込んだことで偶然見えたが上から小さめの岩が降ってきている。それにもう一個の岩が左前方からこちらに迫っている。今の体勢からでは避けるのは難しいか。ただ
「CTは十分だ!」
右腕の石斧を小岩の方に投げ、インベントリからもう1つの石斧を取り出す。そして迫る岩に流水を発動、両斧で岩を受け流す。受け流した時の衝撃でバキッと左の斧が壊れる
「おいおいまじか」
元々耐久減ってたけど今壊れるか。空気の読めんやつだまったく
スライディングから立ち上がり前方にジャンプする。そして先程小岩を弾くために投げておいた斧をキャッチする。
投擲術の効果で耐久が減ってない。今日はついてるな
「さて、どんくらいダメージが入るかな。おらよっと!」
斧を両方ともゴリラ目掛けてぶん投げる。投げた斧が空を切りながら両目玉に向かう。ゴリラは目を閉じたが見事に突き刺さりポリゴンが飛び出す。ゴリラは刺さった斧を抜き、それぞれ左右に投げ飛ばす
「グオォォォァァァア!」
「おいおい、もちっと丁寧に扱ってくれよ。壊れちまうだろ?」
まぁしかしHPは残り3割、やっぱ目は効くな!
元々それくらいダメージが入るのか第2形態で防御力が下がってんのかは知らんがとにかくデカいダメージが出たことで今はもうハイテンションだ。ただこういう時に油断してるとやらかすからな、改めて気ぃ引き締めてくか
「グラ!グゥラァァア!」
ゴリラが泣くような声で叫びながら拳を地面に振り下ろす。ただしそれはスカローがいる所とはまったく違う所に振り下ろされる。
「ちょっと可哀想だな。今楽にしてやるよ」
ゴリラのケツに向かって駆ける。そして最後の石斧をインベントリから取り出しケツを切りつける。そこにゴリラが左腕を振って反撃するが、それをバックステップで避ける。が、ここで痛恨のミスをした
「やべ、斧落とした」
落とした斧はゴリラの左腕によって見事に遥か彼方へ飛んで行った
気ぃ引き締めてくか(気を引きしめるとは言ってない)