A-Ⅰ:買って、初期設定するだけ
沢山改行してるとこは時間の経過を表してます。なんかいい方法あったら教えてください
ふっふっふ、ついに買ってしまった。長く苦しい高校生活から解放され、この最新のVRセットを入手してしまったー!いーや高い!
「お客さん、その最新機種いいですよね。デザインがより良くなってるのに性能も凄く上がってて。お客さんは何をプレイするんですか?」
「何ってこの…あれ?」
右手に持ってるはずのゲームがない。いやまさかな、まさかそんなはずはない
「もしかして、買い忘れました?」
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「お買い上げ、ありがとうございましたー!」
まさか大学生にもなってこんな恥ずかしいミスをするとは、俺は小学生か!まぁいい、俺の初のフルダイブVRのゲームはこれしかないと思っていた。
『Savage Difearth』
(巷では鮫disとか呼ばれている)
このゲームはフルダイブVR技術が確立されてから頭角を現した企業、Sonorise社が開発したゲームで、オープンワールドのMMORPGだ。フルダイブだからこそできる要素を詰め込み、更になんか凄い技術でリアルに限りなく近い動きを可能にしてるとかなんとか…詳しいことはよう知らん
「よーし部屋に着いたぜ、では早速こいつをダイナミック、ではなく慎重に開封。」
俺はゲームの箱やら説明書は綺麗に取っておく派なんだ。説明書ももちろん読むぜ。鮫disのパッケージも開けて中のソフトをVRゴーグルにセットする。後は手袋と膝あてをつけてっと
「スポドリよし!携帯食料よし!ゴーグルのプラグをコンセントにプラグイン!よーしでは早速…」
ティロリン
「あ?」
通知音を聞きスマホを見やる
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〈 爆弾魔
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<ねぇ鮫dis買った?
<買ったよねぇ?今日だもんねぇ?
<早くプレイしな?
<早く早く
<遅いなぁ
<そうかそうか、君はそんなにトロイやつだったんだな
<はよsay!はよsay!
<平成!平成!
[スタンプ]
[スタンプ]
[スタンプ]
[スタンプ]
[スタンプ]
─────────────────────
「…だっっっる」
初のフルダイブをこれ!と勧めてきたのはこいつだが…まぁええわ、こういうのは既読無視に限る。
VRゴーグルが光と共に起動した。
よし、後はゴーグルを被って寝っ転がる。そして最後にスイッチオン!
-フルダイブを開始します。手と指は下に向け、仰向けのまま動かないでください。では、フルダイブを開始します。3、2、1、start-
あれ、そういえば普通にVRゴーグルって言ってるけど形状的にどっちかと言うとこれヘルメットのようn
意識が暗転する。目が覚めるとそこには青くて暗い深海のような世界が広がっている
-バイタルチェック、クリア。脳波、異常なし。検査、完了しました。では、良きVR体験を-
瞬間、世界が青白く変化する
「眩し…くないな」
暗いとこから明るいとこに出たはずなのに不思議と眩しく感じない。そんな事がここがリアルではないと実感させてくれる。
「ようこそラブ〜。僕はサポートAIのインディフィっていうラブ!気軽にインディ君って呼んで欲しいラブ!」
クリオネみたいな無機物がこっちに飛んできた。なんだその語尾は、AI→あい→愛でラブってことか?てかその喋り方デフォなのか?
「あーインディ君、よろしく」
「よろしくラブ〜。今このバーチャルワールドにはご主人様のデータが記録されてるラブ。ご主人様と僕のコミュニケーションを円滑に進めるためにご主人様のお名前を教えて欲しいラブ!なんて言うラブか?発音までしっかりお願いするラブ!」
「んーそうだな、とりあえずKで、Kって呼んでくれ」
「K様ラブね!そんな短い名前で大丈ラブか?」
なんか今、ネットミームっぽい感じで言ったような。
「一応聞いときたいんだけど、後で名前変えられるよね?」
「もちろんラブ!」
「じゃ、とりあえずOKで」
「それじゃ、僕は一旦失礼するラブ。説明が欲しい時、僕の見た目を変えたい時、設定を変えたい時はこのホームで呼んでくれればいつでも駆けつけるラブ!」
「おうまたな、それじゃ早速始めるとしますかね」
メニューは…これか、それでゲームを選択するのがこれで…なるほどなるほど、かなり直感的に操作出来る。で、これが鮫disか
俺はメニューをひょひょいっと操作し、鮫disを開く。
「さぁ、ゲームスタートだ!」