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第4話 異世界勇者筆頭ヤマダ・タカシ

「三劣…ゴブリンの為に、我ら自由魔族が剣を取るだと…!?」

 馬鹿な、あり得ない、そんな言葉を漏らしながら顔を見合わせる魔兵士たち。

 彼がそう思うのも仕方の無い事だろう。

 何故なら彼らは自由魔族階級の者だからだ。

 自由魔族とは、普通から中級の魔族を指す言葉で、彼らは魔征域(ませいいき)全土を支配している魔族の帝国、ルードレファス帝国の市民権を得ており、魔族であっても民と認めてもらっていない、三劣魔族の一つゴブリンよりは、国の中の立場は当然上、いや立場以前に同じ魔族とも思ってないのだろう。

 彼らにとって三劣は話が分かる魔獣、もしくは喋る家畜…その程度の認識なのだ。

 それほど自由魔族と三劣魔族の間には深い格差がある。

 ちなみに彼らが自身の事を自由魔族と呼んでいる訳は、普通もしくは中級魔族である彼らは、上級魔族たちに対する配慮として、自身の事に対し上や高を意味する言葉を使ってはいけない事になっている。

 それでも三劣より上を示したい事から、三劣より権利と自由が許された存在…自由魔族と、自分たちの事を呼んでいる訳だ。

 このように魔族の社会は、身分の上下関係に対する認識はかなり厳しい。

 だから自分より格下と思ってるゴブリンの集落を守る為に戦う事など、自由魔族である彼らにはあり得ない事で、例え私のような、皇族の上級魔族が命令する事でも受け入れ難い物になっているのだろう。

 しかし今の私はただの魔族では無い。

 天下万民が安んずる国を作る、その正義の志の元、あまたの戦場を駆け抜けたきた劉備玄徳、その記憶を思い出した魔族なのだ。

 私が言う天下万民の民に差別は無い。

 ゴブリンであっても、私を頼り救いを求めるならば、それが誰であっても私は救いたい。

 そう感じた私は、魔兵士の隊長にこう言葉をかけた。

「魔兵士の隊長よ、ゴブリンの村に集結してる冒険者たちを撃退する…ただちに城内の兵士に武装を整えさせ、広場に集めさせよ」

「は…はぁ、し…しかし本当にゴブリンごときを助ける為に、我らが動くのですか?」

「これは決定事項だ。急げ!」

「は…はっ!」

 少し強引に言うと、魔兵士の隊長は慌てて部屋を出て行く。

 身分の差が絶対、それが魔族の慣わし。

 力的な実力の無い私でも、魔帝の息子、つまり皇族である以上、身分は上級魔族以上、その私が強く言えば彼は従うしか無いだろう。

 嫌がってるのを無理矢理やらせるのは、忍びなく思うが、この際仕方あるまい…さて。

 そこまで考えると、貴族の娘、エゥリィラに向き直り声をかけた。

「と言う事で、申し訳ないがエゥリィラ殿、この首取る事、しばらくお待ち頂いてよろしいかな?」

 そう言うと、首をピシャリと叩く。

「…上手い事言ってそのまま逃げる気じゃないでしょうね…」

「そんな事をする気は無い…が、戦場で死んでしまったら、その時は其方に殺されてやる事はできないかも知れんな…まあ、そうならないよう、なるべく冒険者との戦いに勝利し、其方に首を斬られるよう努力はしよう」

「…首を斬られる為の努力ってなんかおかしく無い?」

「おかしい? おかしいと言う事は首を斬らなくても良いのか?」

「そうは言ってないわよ!」

 一喝するように言うエゥリィラ。

「とにかく…この目で見てない戦場の生死なんてどうにでも出来るんだから、貴方が死んだふりして逃げたらそれでおしまいでしょ? それは狡いわ」

「狡い…と言われても…」

 だが確かに、これはただの口約束で確証のある物では無い。

 彼女が疑うのも無理からぬ事だし、これでは彼女してしまった事に対し、反省かつ誠意ある態度を示す事が出来ないのでは無いだろうか?

 彼女にそう感じさせてしまったら、とても申し訳ない…何か良い方法無いだろうか。

 そんな事を考えてた時、言葉に詰まった私をみて、返す言葉が無い事を察したのか、エゥリィラは呆れ気味にこんな事を言ってきた。

「…まあ、私は貴方のファントムスレイドに支配されて逆らえないし、いちいちこちらの了解を得なくても、命令すれば? って思うけど…」

 彼女はお手上げのポーズをして顔を横にふっていた。

 露骨に、大袈裟に、やれやれと言う態度をこちらに見せつけてくる。

 確かに彼女の言う通り、ファントムスレイドを使って命令すれば彼女は従わざるを得ない。

 私が先ほど、自分より下の身分の魔族に命令し従わせたように…。

 だが、例えそれしか方法が無くても、それを彼女にやるのは間違いだろう。

 魔族は私の配下であり、主君が決めた事には従う義務はある…しかし彼女は違う。

 彼女が私の部下で無い事は当然だが、何より、私は彼女に対し、邪神の魂を融合させてしまうと言う、死にも等しい非道をしてしまったのだ。

 罪人がその罪も許されてないのに、被害者に頼み事が出来ようものか? 答えは否である。

 だから無理矢理従わせるような真似だけは彼女にしたくないのだ。

 虫のいい話かも知れないが、彼女に対する頼み事は、彼女が本当にそうしても良いと感じた時しかさせたくはない。

 しかし今のままでは、到底そこまでの信頼を得る事はできない。

 信頼が得られないなら、彼女が信ずるに値する信用を用意できれば良いが、自分の命に足る代価は何かあっただろうか? それを預けられれば彼女も納得するだろうが…なにも思いつかん。

 一応大切な物なら、自身の母の絵を入れたロケットがある。

 レヴィルは外道皇子で性格は捻くれていたが、母親だけは家族としての愛情を感じていた。

 母親の名はマリアル・アグレイス。

 魔族と人間の半魔であるレヴィルの人間方の親で、魔帝グロリアスの気まぐれで妾にした元々は愛玩用の奴隷だった人だ。

 幼少の頃はその母親と二人で暮らしていたが、その記憶は陽だまりの中、彼女に優しく包まれるような…深い愛情の中過ごした優しい思い出がある。

 そんな彼女とは、私が皇子として認められた時に引き離されてしまい、その後人づてに死んだ事を聞かされた。

 死んだ理由は、私と別れた後、後宮から追い出されれてしまい、それでもなんとか人間の国に帰る事が出来たらしいが、そこにいた人間に魔族と通じたと言う事で迫害され、殺されたらしい。

 その時感じた『理不尽』は、レヴィルを外道皇子にした一因になったのは間違いないが、外道になっても、母親を敬愛する心は消えなかった。

 だからレヴィルに取っては、この唯一の母親の思い出であり形見のロケットは、自身の命に足る大切な物である事は間違いないが…あの外道のレヴィルがいきなりこんな話をしても信用はしては…もらえないだろうな。

 そうなれば一体どうすれば、ファントムスレイドを使わず、被害者の彼女に頼み事を聞いてもらえる信用を得る事を出来るのか…ファントムスレイドを使わずに…ファントムスレイド…ん?

 そうだホリザリからまたファントムスレイドの首輪を貰って、それをエゥリィラにつけて貰えば、今度は彼女が私をファントムスレイドで支配し必ず従わせる事が出来るようになるから、それで信用して貰えるんじゃないだろうか? うむ、これは良い案だ。

 そう思った私は、今度はホリザリに向き直り声をかけた。

「ホリザリよ、ファントムスレイドの首輪を一つ出してくれないか?」

「ファントムスレイドの? ヒトカス貴族にはもうハメてあるでしょう? 2個つけても何かバージョンアップするような事はないさね」

「違う違う、エゥリィラ殿が私に付けるのだ」

「はぁ〜〜〜?」

 間の抜けた声を上げるホリザリ。

 エゥリィラも口をポカンと開けていた。

 そんな二人の様子を見て、言ってる意味が良く伝わらなかったのかと思い、もう一度説明するように言葉をかけた。

「いや、だから私がエゥリィラ殿にファントムスレイドで支配されれば、必ずここに戻ってくるようになるだろう?」

「いや…それは分かりますがね…だからって普通やりますか? 馬鹿じゃないの?」

「私はどんな時も…いや、これからは常に誠実に生きていきたいと思うってるからそうしたいのだ。…それでファントムスレイドはあるのか?」

 そう聞くと、ホリザリは一つ大きな溜息を吐き、こう答えた。

「忘れたんですか? あんたが私にかけた奴が最後の一個だって言いましたよね? もう無いさね」

 ホリザリは、自身の首に刻まれたファントムスレイドのスペルコードを、指でトントンしながらそう言っていた。

 そう言えば、そんな事を言ってたような…。

魂を材料に悪魔の錬魄師(れんぱくし)に作らせた魔呪錬具だったか…確かに錬魄(れんぱく)技術は、魂を扱う事に長けた悪魔だけに伝わる独自の製錬技法な上に、悪魔でもなり手になれるのはごく僅かな事から、必然的に錬魄で作られた魔呪錬具は市場での流通は極小数の超希少品となっている。

 心の槌で魂を打つ…だったか、ある崇高な悪魔の錬魄師が錬魄のやり方を問われてそう言ったらしいが、いかなる意味だったのか、その謎は今も解けてはいない。

 ともあれそれだけ希少価値の高い代物なら、そう数ある物で無い事は頷ける。

 しかし、それならばどうやってエゥリィラ殿の信用を得れば良いのか。

 顎をつまみ、何か無いか思案する。

 するとそんな様子を見たホリザリがあきれるように言ってきた。

「…と言うか、いちいちファントムスレイドを使わなくても、そいつが貴族娘に殺される覚悟がある事は証明できるさね、と言うかもう証明されてるさね」

ホリザリは突如、私がエゥリィラに、命をかけて贖罪する意思がある事は既に証明されている、そんな突拍子も無い事は言い出すのだった。

 それに驚いたが、私が驚き口を開く前にエゥリィラが訝しげな顔をして、ホリザリに疑問を投げかけていた。

「はぁ? 一体いつそんな事が証明されてたのかしら? 適当な事言ってると許さないわよ?」

「お前の妹」

「はぁ?」

 唐突に妹と言う言葉を呟くホリザリ。

 その意味が分からずエゥリィラは首を傾げていると、ホリザリは小馬鹿にするように後に続く言葉を語った。

「お前の妹…領主の命乞いをしてたのに、領主が命令したら押し黙ってただろう?」

「それがどうした?」

「最後まで黙って聞きな…良いかいファントムスレイドでの支配は、支配側がそうして欲しいって心で思えば口にしなくても支配されてる側は無意識にやってしまうもんなんだ…キーはその支配側が思えばってところだ…さっきゴブリンがこの部屋に入ってくる前の事を思い出しな」

「ゴブリンが…入ってくる前だと?」

要領の得ないホリザリの言葉に、エゥリィラは考えるようにしてると、ホリザリはこめかみに人差し指を当ててこう言葉を続けてきた。

「よく思い出しな、あんたは光剣でそいつの首を切ろうとしてた…そして首皮一枚まで切る事が出来た…それはそこまで害を及ぼす事を心の中で許してた事になる。それはつまり心の底からお前さんに首を斬られたいと思っている証になるさね…信じられないけどね」

 そのホリザリの言葉に、一瞬エゥリィラは得心が行ったような顔をしたが、しかしすぐにキッと厳しい顔をして反論を返していた。

「そ、そんなの…ファントムスレイド自体貴女が作った物だし、何も分からない私が、そんな事言われたところで分かる訳ないじゃない!」

「はぁ…馬鹿は繰り返し味合わせないと理解できないのかね…ほれ」

「え?」

 ホリザリがそう言うと、エゥリィラは自分のスカートをたくし上げ、その中にある白い物を丸見えにさせていた。

「は? え…………い、いやぁぁぁぁああぁぁぁーーーーっっっ!!」

 突然の事に絶叫に近い形で叫ぶエゥリィラ。

「ほらアタシが思っただけであんたは無意識に体を動かしてしまうだろう?」

「そんな事思うなぁ! ちょ…ちょっと下ろさせてよ!」

「なんだい…女同士なんだから別に良いさね」

「良くない! と言うか男ならいるでしょ!」

 そうエゥリィラは言うと、キッとした目つきで私を睨んでくる。

「パンツくらい…減るもんじゃ無し見せてやれば良いさね」

「パンツって言うなぁ!」

 そう怒声を上げるとエゥリィラはホリザリに向かって手を上げるがそこでピタリと止まってしまう。

 くっ…と悔しそうな顔をすると、今度は私の方へと振り向いたかと思うと、思いっきり頬に平手打ちを入れてきた。

「あんたもいつまでも見てるんじゃ無いわよ!」

 響き渡る甲高い渇いた音、ジンジンした感覚が頬に広がる中、私の思考にあった物は、何故私だけ? ただそれだけだった。

 そしてその答え合わせはホリザリがしてくれた。

「ほら…アタシはヒトカス如きに叩かれたく無いからアンタは叩け無くなってたけど、領主は叩けたさね。分かった? あの時皮膚一枚とは言え、害を及ぼす事を許してたって事は、領主は、あんたの気が晴れるなら殺されても良いって心の底から思っているって言う証拠さね」

 なるほどホリザリは、自身が言うファントムスレイドの効果をエゥリィラに分からせる為に実体験させていたと言う訳か。

 いきなりエゥリィラに下着をはだけさせ、何なのかと思ったが、最終的にこの話に繋げてるところに、魔学者らしい頭の良さが伺える。

 …しかしそれにしても妙だ。

 今もそうだが、何故ホリザリは私が殺されそうになると助けようとするんだ?

 最初の時も、私が死ねば、私がホリザリにかけたファントムスレイドが解ける、そうなればホリザリは自由になり、ホリザリがエゥリィラたちにかけたファントムスレイドだけが残り、エゥリィラたちは再びホリザリの奴隷に戻る…ホリザリが得する結果しか無いのに、何故それをバラしてエゥリィラが私を殺す事を止めた?

 私は騙し討ちでホリザリにファントムスレイドをかけた相手…殺したいほど憎いはずなのに…一体何故…。

 ホリザリの真意が分からず考え込んでいると、それを遮るように不意にホリザリが声を上げた。

「ほら、こんなところでくだらない押し問答してるんだったら、その腹空かしたヒトカスのガキに餌でも食わせた方が良いんじゃないか?」

 そう言われてホリザリが声をかけた方を見ると、邪神兵の実験体にしてしまった幼い少女たちが、指を咥えてお腹の音を鳴らしていた。

 そうだ…この子たちは私が外道なレヴィルだった頃、ロクな物を食べさせて無かったから、すぐにちゃんとした食事を取らせようと思っていたのだった。

「おお…そうだった、お前たち待たせてすまなかったな…今すぐ上にある食堂に行こう…そこで好きなだけ食べるが良い」

 そう声をかけると、子供達は沈んだ顔からパッと嬉しそうな笑顔をする。

「…エゥリィラ殿もとりあえず良いかな? 今は子供達に食事を取らせてあげるのを先にしよう」

「………分かった、確かに、子供たちにこれ以上辛い思いをさせたくないわ…けど勘違いしないで! ゴブリンの村を救ったら必ず私に首を斬られに戻るのよ! 分かったわね!」

 こちらに指を刺してそう言うエゥリィラ。

 それに「ありがとう」と言い深々と頭を下げると、ふん、と鼻を鳴らす音が聞こえた。

 とりあえず場が収まったので、早速彼女たちを食堂に案内して食事を取らせたいところだが、今はすぐにでも、冒険者が取り囲んでいると言うゴブリンの村を助けにいかねばならない。

 代わりに誰か案内させるしか無いが、人間に差別的な意思を持ってる魔族の事だ。見てないとちゃんと案内をしないかも知れないし、それに食堂の料理人も私が直に言わないと食事を出さない可能性もある。

 一分一秒を争う切羽詰まった状況だが、子供達にもこれ以上ひもじい思いをさせる訳にもいかない…一体どうすれば…ん?

 どうしようかと考えてた時、ホリザリの姿が目に入る。

 そうだこやつにファントムスレイドで命令して、それをやらせれば良いでは無いか。

 そう思った私は早速ホリザリに声をかける。

「ホリザリよ…すまんが、彼女たちを食堂に案内して料理人に食事を出すように言ってくれるかな?」

「は? 何でアタシが…ってはいはい、分かりましたよ…どうせファントムスレイドで逆らえないし、言う通りにしますさね…ほらヒトカスのガキどもとっとと行くよ!」

 ホリザリはそう言うとズカズカと不機嫌な足音を立て、先導するように扉の外へと向かっていった。

 それにエゥリィラとフィリア、それに残りの子供たちついて行っていた。

 良しこれで子供たちの食事に関しては一安心だな。

 その姿を見送り大丈夫そうだと確信した私は、次にゴブリンへと声をかけた。

「よし…ではゴブリンの子供よ、早速お前の村へと向かう事にしよう」

「わ…分かっただ!」

 ゴブリンがそう返事を返した後、お互い頷き合いながら、地下の実験室を後にするのだった。




 実験室を出た後は、出兵前の兵士が集まってる正門入り口前へと真っ直ぐ向かった。

 そこには一応に出撃に備えた兵装をした魔兵士たちがいたが、きちんとした兵装をし整然した佇まいをしていたのはラファルド直轄の部下だけで、そのほとんどが着崩したり、勝手に座ったり喋ったり、挙句酒を飲んでる者がいた事につい目を細めてしまう。

 この兵の質の悪さは、つい先ごろ、天下万民が平和に安んじられる国作りをしようと思う、この劉備玄徳の考えについていけない魔族の兵士に対し、正しき行いとは言え、元々正義とは真逆に生きて来た魔族に、その考えを無理矢理押し付けるのもまた違うと感じた私は、その理想の元戦えない者には、いくらかの金を渡し魔征域本土への帰還を許したところ、まともな兵士…魔征域本国、ルードレファス魔帝国から、形上、皇子である私の兵としてついて来ていた者たちは、ほとんどがその選択を選び…ここから去って行った。

 彼らがその選択を選んだのは、単に私の能力不足が原因だ。

 私は一応魔帝グロリアスの息子ではあるが、片側、つまり私の母親の種族は人間であり、その混血である私は本来の魔族より魔力は低く弱い存在だ。

それに対し母親が魔族、しかも名門一族、さらにその中で最も実力者が母親であった、我が姉上である七皇魔王姫と比べ、その実力は、私が地を這う虫なら、姉上はそれを照らす太陽…もしくは月と言ったところか。

 魔族社会は、徹底的な力と身分だけが物を言う上位史上主義。

 上の物だけがただひたすらに敬われ、下の者は蔑まされる…そんな社会。

 幸い私にはその片方の身分、魔帝グロリアスの皇子と言う肩書きがあったから、それなりに兵を引き連れていたが、その兵のほとんどは、私の実力の無さから、自らの意思で支えていたと言う者はほとんどいなかった。

 だからほとんど去っていた。

 そんな中残った魔兵士も、私を慕ってる訳では無く、本土に帰っても大した仕事がもらえない、魔帝国民でも下層の者か、もしくは死刑ほどまではいかないくらいの犯罪を犯した…いわゆるゴロツキたちだ。

 彼らは私がデスメソルの領主な就任する前からここにいる古株で、私が劉備玄徳の記憶が戻る前の外道なレヴィルだった頃も、身分の高い自分が、そんな格下の者と口を聞くのもあり得ないと言う考えがあり、その事からやらせたい事などは部下に命じていたのでまともに口を聞いた事が無いのが現状だ。

 そんな彼らが直接命令をして聞いてくれるかは難しいところだろうが、哀れなゴブリンの親子を助ける為、ここは頼みを聞いてくれるよう努力するしか無い。

 そんな事を考えながら古株の魔兵士たちの顔ぶれを、端から一通り見終えた後だった。

 その中にあの戦災奴隷のメイドの姿があり、そこに引っかかる物を感じ視線を止めた。

 これから戦場に出撃する場に何故メイドまでいる?

 その違和感に首を傾げていると、旧友でここの副領主と言っても良いラファルドが一歩前に出て、残念な表情を浮かべてこう言って来た。

「レヴィル…悪いけど道楽はここまでだ。ゴブリンの村に派兵は出来ない」

「何?」

 道楽と言う言葉が引っかかったが、今はそれよりも突然何でそんな事を言い出したのか。

「…どう言う事だ? ゴブリンの村に攻めに来る冒険者なんか、初心者がランク上げの為に徒党を組んでやって来てるくらいだろう? 手強いのがいても中級冒険者がせいぜい関の山だ。今の兵力でどうにかならない相手では無いだろう?」

 今のデスメソルは、多くの魔兵士が出て行ってしまった為、城の防衛もままならないほどの戦力しか無いが、たかだか数名の冒険者から村を守るくらいの戦力はあると思う。

 しかしそれは、次に言ったラファルドの言葉で、その根底が覆される事になってしまう。

「今ゴブリンの村に集結してる人数はたかだかじゃ無い…4〜5000はいる…これは確実に拠点獲得の為の軍事行動だ…」

「何!?」

「マレーゼ…説明してくれるかな?」

「は…」

 ラファルドがそう言うと、銀色の髪に赤目が特徴の女兵士が出てくる。

 全てがそうでは無いが、銀髪紅眼の身体的特徴を持つ魔族は、爵鬼族出身の吸血鬼が多く、彼女はまさにその吸血鬼だ。

 確か…彼女はラファルドの直轄の部下であるが、ラファルドの実家である、皇魔族の中でも、名門ネグロヴィア家に代々支えている戦闘使用人だったか…。

 戦闘使用人と呼ばれるだけあり当然戦闘面に優れているが、何より暗殺術に長けている。

 その事から隠密による情報収集、いわゆる間者をするのが主な任務だったと思うが…そうか5000の人間が集結しているのは彼女が探って来た情報と言う訳か、兵の召集をかけてから1時間も経ってないのにそこまで情報を集めてくるとは…外道のレヴィルの時でも彼女の能力には素直に驚いていたが、劉備玄徳の記憶が戻った今では、さらに尊敬の念を感じるところだ。

 そんな優秀な間者である彼女が持って来た情報だ…恐らく5000人と言う大軍は間違い無いだろう。

 それだけで今の戦力ではゴブリンの村防衛…、いや…彼らの目的が本当に魔征域侵攻の足がかりを作る為、その拠点作りを目的とした戦争ならば、このデスメソルも危うい。

 ここ数十年、人間にそんな動きは無かったのにいきなり何故?

 とになく絶望的な状況。

「…報告にはまだ続きがあります」

 ここまで絶望的な状況なのに、優秀な間者であるマレーゼはまだ報告する事があるらしく、私はそれをこれ以上状況が悪くならない事を祈りつつ、固唾をゴクリと飲みながら耳を傾けた。

「兵の構成ですが、冒険者や雇われ傭兵が多いですが、中にはファルラルド王国正規兵もいました…集結してる兵士はその複合編成軍かと思われます」

 なんと…正規兵まで混じってるとは…だが拠点争奪戦なら魔征服域に近いファルラルド王国が来ること当然か…。

「そしてここが一番重要ですが…勇者連合筆頭ヤマダ・タカシの存在も確認しました」

 マレーゼがそう言うと、そこらから「勇者連合!?」「あのヤマダ・タカシだと?」「そんな…まさか…」などなど、明らかに動揺する声が辺りから上がっていた。

 無理も無い、勇者連合…正式名ブレイブガーディアン、これは勇者…つまり異世界転生か召喚された稀人たちで構成された特殊な冒険者ギルドだ。

 稀人のみの組織だけあって、冒険者のギルドはもちろん、王国の軍勢でも数人で壊滅出来るほど規格外の強さを持っており、その事からギルドより上と認識された組織…それがブレイブガーディアン…通称勇者連合だ。

 その中でもヤマダ・タカシは組織筆頭と言うだけあって、唯一七皇魔王姫(しちこうまおうき)に迫るか同等の力を持つと噂されている存在だ。

 直接会った事は無いからその真意のほどは分からんが、火のないところに煙は立たない、私の想像を遥か上をいく強さなのだろう。

「これで分かっただろ? レヴィル…さっき話した事が早速役に立ったな! さあ一緒にナルフェルンに亡命しよう」

 そう言ったのはラファルド。

 なるほど5000の兵に勇者筆頭ヤマダ・タカシ…ゴブリンの村防衛を諦めようと言った訳はこう言う事か…。

 確かに数十名の兵でどうにか出来るような話では無いし、彼らの目的が本当にここ、魔征域と神領域の最前線である放逐領域の拠点獲得ならば、確実にここデスメソルに攻めてくるだろう。

 ならば勝てる術が無い我らは、ここデスメソルを捨て、ラファルドが言う通りナルフェルンに亡命するしかあるまい…なるほど城を放棄する為、非戦闘員であるメイドもここに連れて来たと言う訳か…だが何故メイドだけなのだ?

 少し違和感を感じたが今はそれどころでは無い。

「話は分かった…すぐにナルフェルンへ亡命しよう。ラファルドよ、すぐに城内の者全員に城から退去出来るよう準備をさせよ」

 そうラファルドに声をかけた。

 しかしラファルドからの返答は無く「…ラファルド?」ともう一度問いかけると、彼は神妙な面持ちになってこう返して来た。

「…残念だけどレヴィル…逃げるのは今ここにいる僕たちだけだ」

「…どう言う事だ? ホリザリは…邪神兵にしてしまった娘たちはどうするつもりだ?」

「ホリザリや…邪神兵を失うのは少し勿体無いけど…僕に取って重要なのは君が生きてる事なんだ…他は必要無い…だから僕たちだけで逃げるんだ」

 どうやらラファルドは親友の私の身を案じ、少しでも生存率を上げる為、少しでも戦場から遠ざかる時間を稼ごうとそう言ってるのだろう。

 私を慮っての事なのはありがたい。

 だがしかし…。

「私には領主としてそこに住む者の命を守る義務がある…城の者を誰一人見捨てる気も無いし…ゴブリンの母親も助ける…その決定を変える気は無い」

 劉備玄徳としての記憶が戻った以上、自分の民はただ一人も見捨てない…一人でも救う為にその努力を止める事はしない。

「…城の者はともかく、ゴブリンの村はどうやっても無理だろう…たかだか数十人の兵で、どうやって5000の兵…しかも戦略兵魔級の勇者を止めるって言うんだ? ゴブリンの子供が生まれるまで食い止める? 1秒だって持たないぞ?」

 大袈裟に身振り手振りしてそう言うラファルド。

「確かに兵力では全く相手にはならないな」

「だったら…」

「力で敵わないなら…この私が話し合いをし、ゴブリンの子供と城内の者が、ナルフェルンまで逃れる時間くらいは稼げるようにしよう」

「はあ!? 相手は人間だぞ? 魔族の話なんか聞く訳ないじゃ無いか!」

「大丈夫だ私に考えがある」

 そう言ってラファルドを押し黙らせる。

 確かに人間と魔族、基本的に仇敵の間柄、そんな者同士が開戦一歩手前の状態になって、今更講和など出来ようはずも無い。

 だがやりようは無いわけでは無い。

 それは兵の中に勇者連合がいる事だ。

 彼らは異世界人、皆共通して同じ世界から来ていると聞く。

 そして私も魔族だが転生者だ。

 種族は変わってしまったが、同じ異世界人だ、その同郷のよしみで話を聞いてもらえるかも知れない。

 この絶望的状況から、少しでも多くの民の命を救う方法は、もはやそれに賭けるしかないだろう。

 その賭けに勝つ為に、まずそのヤマダ・タカシの情報が知りたいところだ。

 こちらを同じ世界から来た転生者と分かってもらう為、まずその世界の共通の事が分からないといけない。

 …しかしヤマダ・タカシとは…あまり聞かない名だが…姓はヤマ、名はダ、字はタカシ…と言ったところか…一体どこの出身の者だろうか?

 漢帝国が治めていた周辺地域には、そんな姓の者は耳にした事が無かったし、一体どう言う漢字で書くのかすら分からない。

 分かればどの地方の出身か少しは分かる手助けとなり、共通の話題が出来よう物だが、分からなければそれも無理か…。

 そこで優秀な間者であるマレーゼの存在を思い出す。

 彼女なら少しはヤマダ・タカシなる人物像が分かる情報を持っているかも知れない…そう思い聞いてみる事にした。

「マレーゼよ」

「…は、如何なさいましたレヴィル様」

「其方の事だ…ヤマダ・タカシの事は少し調べ上げてるのだろう? その情報が知りたい…知ってる事を教えてくれないだろうか」

「は…はあ、ヤマダ・タカシの事ですか? 分かりました」

 マレーゼはそう言うと、一呼吸おいてから話だした。

「ヤマダ・タカシ、異世界召喚者、リーヴェリゼ王国で召喚されて10年…年齢は召喚当時は15才だったので今現在25才、召喚当時から稀人特有の脅威的な能力を活かし、弱小国だったリーヴェリゼ王国を大国まで押し上げた功績を買われ、第3王女と結婚し2人姉弟の子供がいます。婚姻によりリーヴェリゼ王族になりましたが、約7年前、異世界に召喚もしくは転生者の権利を守る名目上で作られた…勇者連合ブレイブガーディアンに入る為、家族と一緒に脱国…以降勇者連合で活動しており、現在の戦闘力は、直近で冒険者ギルドが無理だと判断した、異常繁殖したワイバーンの群数十匹の討伐を、まるで魔獣狩りの如く、楽しみながら駆逐してたとの事…」

 魔獣狩りとは、前の世界で言えば、鹿狩り…そう巻狩りのような物で、魔帝国の貴族が遊びでやる狩りの事だ。

 その遊びの感覚でワイバーン数十匹を倒すとは…下位の竜とは言えドラゴンはドラゴン…普通なら1匹でも遊びで倒すような相手では無い。

 元の世界で言えば、獲物を鹿では無く虎にした巻狩りと言ったところか…流石勇者筆頭だ。

 だがその強さは既に分かりきったところ、知りたいところはそこで無く、彼がこちらの世界に来る前の人物像だ。

「…そこまで情報を集めてくるとは…いつもながら流石だ」

 そう言うと、マレーゼはキリッと引き締めていた顔を一瞬緩ませ、少し呆けた顔になっていた。

「どうした?」

「あ…いえ、レヴィル様にお褒めのお言葉をいただいたのは初めてで…そ、その驚いてしまい申し訳ありません」

 そう言うマレーゼ。

 確かに劉備玄徳の記憶が戻る前、外道のレヴィルはだった時は、部下を労う事などしてなかったから驚いて当然だろう。

「すまん…以前は言い出しづらかったのだが、其方の能力は素晴らしい物だと感じていた…これからも頑張って欲しい」

「え? あ…その皇魔族の方にそう思われて、こ、光栄に思います」

「うむ…それでもう少し聞きたい事があるのだが…」

「は、なんでございましょうか?」

「ヤマダ・タカシの強さについては私もよく知っている…だが私が知りたいのは彼が異世界にいた時の…その人物像が知りたい」

「異世界…と言うとあちら側の世界で暮らしていた時の事でしょうか?」

「そうだ」

「そ…そうですね」

 そう聞くとマレーゼは深く考えるように俯いてしまう。

 流石にこの世界で優秀な間者でも、異世界の事まで分からないか…。

「何でも良い…異世界にいた時どこに住んでいたとか…断片的でも構わないから何か知ってる事は無いか?」

「えっとそれでしたら…」

「分かるのか!?」

 正直分からなくても仕方ないと思ってたので、何か知ってる事だけでも驚くところだ。

 少しでもヤマダ・タカシが異世界…私が元々いた世界にいた時の共通項につながる事が分かれば、私が同じ異世界人と信じてもらえる材料になる、それが少しでも分かればと期待を込めマレーゼが言う言葉に耳を傾けた。

「これは各地の情報家が、対象が会話してる時に、口にしていた知らない言葉を集めて予想しただけの曖昧な物で信憑性のかける物ですが…それでよろしければ」

「それで十分だ…でヤマダ・タカシについて何が分かる?」

「はい…ヤマダ・タカシはこの世界に来る前は、ニッポンと言う国のトーキョーと言う都市で学生をしていたらしいです」

 ニッポン? トーキョー? …はてそんな地名の州や都はあっただろうか? もしかして西域か…もしくは東の…海を越えた女が治めてる島国の者だろうか? それに学生という事は儒学生みたいな物だろうか…うーむ、これだけではまるで分からないな。

「他には何か分からんか?」

「はい…後ゲームやアニメェなる異世界文化が向こうにいた時好きだったらしく…」

「ゲーム…アニメェ?」

 …な、何だそれは…見た事も聞いた事も無いぞ。

「ほ、他は?」

「はい…えっと後はサンゴクスィーと言う物語の信仰者らしいです」

「サンゴクスィー?」

「はい…サンゴクスィーです…何でも異世界で大昔にあった戦史の事で、彼はその中の将であるリュウビ…なる人物を大変尊敬しているらしいです」

「リュウビ? それはただのリュウビか? その後にアザナ…いや何か名前は続かんのか?」

「も…申し訳ありません、私も又聞きなのでもしかしたらあったかも知れませんが…残念ながら分かりません」

「そうか…」

 リュウビと聞いてもしや私を慕ってくれている民の一人かと思ったが…。

 それに大昔の戦史と言う事は、高祖劉邦の時代に、たまたま私と同じ姓名の劉備と言う武将がいて、それを尊敬していたと言う話かも知れない。

 とは言え、定かでは無いが、私の中で覚えがある言葉があったのは大きな収穫だ。

 サンゴクスィーはよく分からないが、そのリュウビと言う言葉が、私が考えてる通り、高祖劉邦の時代に関する言葉なら、それを知ってる私を、同じ同郷の異世界転生者だと信じてもらえるかも知れない。

「分かった…他には無いのか?」

「申し訳ありません…私が知る限りではそれ以上はございません」

「ふむ…」

 これ以上は無しか、だがこの情報で何とか勇者連合に取り入る事が出来れば、この絶望的戦況を変え、講和の道も見えてくるかも知れない。

 ゴブリンの母子を救う為にも、デスメソル城内に残された者たちを守る為にも、この話し合いは必ず成功させねば…。

 そう意気込んだ瞬間だった。

「そんな事知って…一体何が出来るって言うんだい?」

 そう言葉にしたのはラファルドだった。

 その表情はいつもの穏やかな雰囲気は消え厳しい物に変わっていた。

 私が異世界の転生者だから、例え魔族でも同じ異世界人の勇者連合たちとは対話が出来るかも知れない。

 これは100%で無いにしろ、全然可能性はある話だ。

 しかしそう思えるのは、私が異世界転生者と分かっている事が前提の話。

 私が彼に異世界転生者である事を隠している以上、言ってる事が全く理解出来なくて当然だ。

 とは言え今私が異世界転生者である事を明かし、このやり方に可能性がある事を証明するのは、私が魔族でありながら人間の心を持っている事を同時に教えてしまう事になる。

 人間を下等な存在と思っている魔族に、その事を伝えたら、確実に私の言う事など誰も聞かなくなるだろう。

 今はデスメソルが滅亡するかどうか危機的状況…今は一丸となって結束する必要がある。

 だから今は明かす事は出来ない。

 しかしそれでは、私を死なせたく無いラファルドは納得しないだろう。

 一体どう言えば、私が転生者だと知られずラファルドを納得させられるだろうか?

 …悠長に考えてる時間も無い、ここはとにかく話を…。

 そう思い口を開きかけた時だった。

「もう良い」

 ラファルドは私の言葉を遮るようにそう言うと、指をパチンと鳴らした。

 その瞬間、マレーゼの姿が消えるようにその場から一瞬で居なくなる。

 その状況に一瞬驚いたが、すぐにメイドがいた方から「ヒッ!」と言う小さい悲鳴が聞こえ、その方へと視線を移動させると、マレーゼがメイドの首筋に剣を当てていた。

「な…! ラファルドこれは一体どう言う事だ」

「レヴィル…これから君は、僕たちと一緒にナルフェルンに向かってもらう…全てを捨ててね」

「く…そんな事は」

「悪いが君に拒否権は無い」

 そうラファルドが言うと、マレーゼはメイドの首筋を少し切った

 その瞬間、軽く血が噴き出すと白い首筋に鮮血が流れる。

「あぐ!」

 悲痛な叫びを上げるメイド。

「な…や、やめよ! ラファルドこれは一体何の真似だ!!」

「…今でも信じられなけど、本当にこの人間に入れ込んでるみたいだね…とにかくこれは殺されたく無ければって話だ…分かるだろう?」

「…ラファルド…貴様」

 親友と思っていた者の突然の暴挙に、睨め付けながらその名を呼ぶのだった。

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