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恋愛の達人  作者: 涼
15/22

天然女子の恋愛攻略

■ つのる想い


春の陽気で今にも眠りたくなるような4月。蒼井涼介はある会社の社長からプロジェクトリーダーとしてシステム開発を進めてほしいと依頼を受けていた。社員としてではなく、あくまで外注として4ヶ月という短期契約だった。その会社にいる社員達の技術力では今回のシステム開発は難しいということで、蒼井涼介がプロジェクトのリーダーとなって開発していくことになった。プロジェクトメンバーは蒼井涼介を含めて5名で作業量的には膨大なものだった。契約期間中は出向業務として作業用のパソコンとデスクが用意されていた。蒼井涼介は作業スケジュールの調整をしながらメンバーへの仕事の割り振りなど考えながらプロジェクトを進めていた。


いつものように出勤すると隣の席から「おはようございます」と元気に挨拶してきた。その隣の席にいるのは西村早緒莉という女性社員で同じプロジェクトメンバーの1人だ。西村早緒莉は3つ年下で、背丈は155cmほどのクセのある少し茶髪のロングヘアー、少し細い目に鼻筋が通っている細身の女性。少し天然が入った性格や表情、仕草がものすごく可愛らしく、一部の男性社員から人気があるようだ。蒼井涼介はそんな可愛らしい西村早緒莉を見ていると何やら元気が出る気になっていた。


「西村さん、おはよう!今日の作業も大変だけど頑張ってね!」

「はい、大丈夫です!」

「わからないことがあったらいつでも聞いてくれていいからね」

「わかりました。ありがとうございます」


出勤した時はいつもこんな感じの話をして作業をはじめる。西村早緒莉には画像処理と簡単なデザインとプログラムを担当してもらっていた。このプロジェクトメンバーの中で画像ソフトを扱えるのは蒼井涼介と西村早緒莉だけだったからだ。ところが、蒼井涼介はどちらかといえば、他のメンバーが技術的にできない作業をしていた。楽しく仕事をしていくためにも、蒼井涼介はときどき天然な性格である西村早緒莉を少しからかったり、何気ない日常会話をしたりしながら作業していた。


ある日、いつものように作業しているとプロジェクト関連の書類を落としてしまった。蒼井涼介は書類を拾おうとしてデスクの下に手を伸ばした時、西村早緒莉も同じように書類を拾おうとして手を伸ばした。その瞬間、2人の手が当たってしまった。どこかしらやわらかく小さな手の感触にドキッとした。


「あっごめんなさい」

「いや、こちらこそごめんね。ありがとう」


これまで西村早緒莉は隣の席で普通に会話していたプロジェクトメンバーの1人という意識でしかなかったが、軽く手に触れただけでドキッとしてしまったのはどういうことなんだろう。蒼井涼介は一瞬、そんなことを考えたが、ただ女性の手に触れたからというだけのものだと思った。その後は特に意識することなく作業を進めていた。


それから数日経ったある日、西村早緒莉からわからないところがあるから教えてほしいと言われたので、椅子を移動させてパソコンの画面を見ながら教えていった。肩と肩が触れて、時には手に触れることもある。こんなに近い距離で話すのははじめてなのだ。シャンプーだろうか、かすかに女性らしい匂いがする。蒼井涼介は教えながらも何やらドキドキしていた。それからというもの、西村早緒莉を意識するようになっていた。


なぜこんなに意識してしまっているのだろうか。この感情は何だろうか。いろいろ考えてみたが結論はでない。とにかく西村早緒莉を1人の女性として意識しているのは間違いない。隣の席にいる西村早緒莉をチラチラ見ていると、なんだかとても可愛く見えてきている。天然なところも、仕草も、表情もとても可愛い。そんな西村早緒莉が一部の男性社員から人気があるのはわかる気がしてきた。そんなことを思う毎日が続き、次第に蒼井涼介は西村早緒莉に恋心を抱くようになっていた。



■ 天然女性の攻略法


西村早緒莉に恋心を抱いてしまった蒼井涼介は、まずどうしたいのか考えてみた。付き合いたいといえばそれまでだが、なんとか上手く口説くのが先決だ。しかし、恋心を抱いてるといっても、まだ西村早緒莉の内面的な部分を知らない。いつも隣の席で本音で話しているのかわからないが、とても建前で話をするような器用な女性とも思えない。ただ、蒼井涼介が唯一知っているのは西村早緒莉が人の誘いに断れないタイプということだ。それであれば毎日のように誘っていろんな情報を集めるのが先決になる。攻略法はその情報を基に考えればいいのだ。蒼井涼介はまず西村早緒莉の内面的な部分を見ていくことからはじめることにした。


それから蒼井涼介は毎日のように西村早緒莉を昼食に誘った。他のプロジェクトメンバーも一緒に昼食をとることもあったが、2人になる時もあった。2人になった時、蒼井涼介は西村早緒莉の話を真剣に聞くようにしていた。次第に会社内ではできないプライベートな話までするようになった。趣味の話や休日の過ごし方などいろいろ聞き出すことができた。そうしているうちにあらゆることがわかってきた。西村早緒莉は純粋で過度の淋しがり屋であること、マンネリ化した遠距離恋愛の彼氏がいること、自分のことになると夢中に話をすること、天然で少しボケたところはそのままの姿であること。それに可愛らしいもの好きな女の子らしい一面も持っている。全体的に大人の女性というより子供の女の子といった感じだろう。ある程度の情報は集まったので次に蒼井涼介が考えるべきことは攻略法なのだ。


ある日の夜、家に帰った蒼井涼介はベッドに横たわり西村早緒莉の攻略法について考えはじめた。まず、マンネリ化した遠距離恋愛の彼氏がいるとのことだが、この際それは気にしなくてもいいだろう。いつも元気で明るく、少し天然で物事を深く考えないタイプなので、こちらも難しいことをするのは避けたほうがいい。基本はマメに気遣いをしていくのと、褒め言葉を少し加えていくことで効果はありそうだ。自分のことを話している時は夢中になるので、その時は親身になって話を聞いて受け入れていくのもいいだろう。あくまで今まで以上に優しく接していく。あとは人の誘いに断れないタイプということはこちら側でリードしていく必要がある。昼食は毎日のように誘うとして、もう少し仲良くなれば、勤務終了後にどこか誘ってみるのもありかもしれない。しかし何かが足りない。これだけだと一般的な恋愛テクニックを使っているだけなのだ。好印象になるかもしれないが、西村早緒莉が何かの魅力に惹かれなければ”ただの優しい人”になってしまう可能性も高い。西村早緒莉はどんな魅力に惹かれるんだろうか。男らしいところなのか?優しいところなのか?好きな男性のタイプを聞いておくべきだったが、おそらくそれは理想を話すだけで現実的ではない可能性が高いので参考にはならない。あの手のタイプが惹かれるもの・・・ふと、蒼井涼介は西村早緒莉が純粋で少女のようである点に注目してみた。それならば子供の頃、周りの女の子がどんな男の子に惹かれていったか考えてみた。子供の頃はカッコいい男の子、スポーツのできる男の子、勉強のできる男の子がモテていた。西村早緒莉は面食いではなく、スポーツにもあまり興味がなさそうだが、勉強といえば今で言うと仕事ができるとか技術力、知識豊富ってところだろう。知識豊富で技術力もあって仕事のできる人という印象を与えれば、おそらくそれが魅力的に感じて惹かれていく可能性はあるだろう。それを見せつけていけばいいのだ。


攻略法を考え出した蒼井涼介は、毎日のように実行していくことにした。西村早緒莉が仕事で少し困っている表情をしている時は気遣って「大丈夫?」と声をかけてみたり、わからないことがあると言った時は過度に優しくサポートしながら教えてあげたり、時には身に着けているアクセサリーを「可愛いね!すごく似合ってるよ」と言ってみたり、服装を褒めてみたりした。2人で昼食をとるときは西村早緒莉が自分のことを話せるようにして、親身なって聞いていった。あとは仕事中の会話にわざと難しい専門用語を含ませたりしていた。また、プロジェクト会議の時はいつも以上にビシッと指示を出したり技術的に難しい話を含めていった。そうしていくうちに西村早緒莉と会話をする時の距離が近くなっていることがわかった。



■ 魅力度アップ


西村早緒莉にとってかなり好印象な存在になっていることは間違いないが、あと一歩何かが足らないと感じていた。おそらく魅力という部分であろう。今までは専門用語を使って話したり、プロジェクトリーダーとしての存在を見せつけただけで、実際の行動は何もしていない。それを見せつけれる場面があればいいのだが、蒼井涼介の作業内容を西村早緒莉はよく理解していないので、説明してもわからないだろう。

そんなある日、いつものように会社に出勤すると、プロジェクトメンバーでプログラミング担当の星崎誠一と西村早緒莉が蒼井涼介の席へやって来た。


「あの、今日の作業のことなんですが、別のプロジェクトが大変なことになってまして、その・・・今日はそっちを手伝ってほしいと言われているんです」

「そんなこと言われても、こっちもスケジュールギリギリでやってるから困るんだよね」

「でも、本当に大変そうなので、今日は向こうを手伝いたいって思うんです」

「社長や上司にはそのこと伝えてあるの?」

「いえ、伝えていませんが、まずいでしょうか?」

「こっちのスケジュールのこともあるから、今日2人も抜けられると、その分どこかで埋めないとまずいんだよ」

「でも、やっぱ向こうのほうが納期が近いですし、手伝ってきます。今日の分は残業してでも埋めますので」

「残業して埋めるっていっても、一日分の作業量だから大変だよ。それに同時進行で進めてるから二人が抜けると、他のメンバーの作業も止まってしまう可能性があるんだよ」

「でも、向こうは本当にピンチらしいんですよ。だから今日は向こうの作業を手伝います」

「もういい、わかった」


蒼井涼介はわざと少し怒ったような表情をしていた。しかし、ここで2人抜けられると、いくら残業で穴埋めするといっても作業スケジュールをギリギリに進めているので、作業全体の進行が遅れてしまう可能性がある。今日の2人の作業内容を確認して考えてみる。もし、蒼井涼介がこの2人の作業を1日でこなせば、それが実際の行動の結果となり、西村早緒莉が魅力的と感じる可能性はある。蒼井涼介の作業を含めると3人分の作業量となるのだが、それは膨大なものだ。1日でそれをこなせる方法はないのか?頭を悩ませていると2人の作業内容にある共通点が見えた。この方法を使えばできるんじゃないか!?蒼井涼介は残り2人のプロジェクトメンバーを集めた。


「今日の作業について、俺は昼までちょっと違うことをするけど、2人は予定通り今日の作業をしてほしい。ただ、1つお願いがあって、昼まで集中してるので出来る限り話しかけないでほしい」

「わかりました」


そういって蒼井涼介は昼まであるものを作り出していた。そして実際にする今日の作業は午後になってからはじめた。かなり集中して時間が経っているのを忘れるぐらい作業を続けた。すっかり夜も遅くなり、3時間くらいの残業になったが見事に今日やるべき3人の作業を見事にこなした。


次の日、蒼井涼介は昨日のことを社長に報告した。社長は「それはよくないから、今後はそういうこと絶対にさせないでほしい」と言った。蒼井涼介は「昨日の2人にちょっと話させてほしいんですが、よろしいですか?」と聞くと「別に構わないよ」と言ってくれた。


昨日、別のプロジェクトを手伝った星崎誠一を会社の外に呼び出して蒼井涼介は社長の言った通り、今後は絶対にそういうことをしないように注意した。そして、次に西村早緒莉を会社の外に呼び出した。


「昨日の2人の作業だけど、俺の分も合わせて3人分を1人でこなしておいた」

「3人分をですか!?すごい・・・どうやってやりこなしたんですか?」

「2人の作業にはそれぞれ共通点があったので、その作業を自動で行うツールを作ったんだよ。それを動かしている間に、俺は自分の仕事をしてた。まあ、これはあまりいい方法ではないんだけどね」

「自動で行うツールを作るなんて、すごすぎます!」

「あとは仕事のやり方と進め方をちょっと工夫したってところかな」

「1日で3人分の作業をこなしてしまうなんて、ある意味天才ですね」

「西村さん、つまり俺が本気を出してやれば、2人の作業をこなしてしまうことだってできるんだよ。つまり、2人はプロジェクトメンバーにいなくても出来てしまうってことだよね。悔しいと思わないの?」

「正直、悔しいです・・・」

「でも、自動化ツールってのはあまりいい方法じゃないから、社長も言ってたけど、今後はこういうことしないようにね」

「わかりました。すみませんでした」

「向こうのプロジェクトが困ってるのはわかるけど、それは別の方法で向こうが何とかするべき問題だからね」

「そうですね。それにしても・・・自動化ツール作るとか、一日で三人分の作業をこなすとか、やっぱりすごいです!」


西村早緒莉はかなり驚いているようだったが、これがどう映っているのかはわからない。少なくとも神業をしてのけるくらい仕事のできる人だと思っているのは間違いなさそうだ。しばらくこういったことを続けてみるか。



■ ドライブのお誘い


いつものように出勤して攻略法通り実行している。あの別のプロジェクトを手伝った一件以来、西村早緒莉は蒼井涼介に対して尊敬の眼差しで見るようになっているようだ。おそらく「すごい人」という印象を持っているのだろう。それが魅力になっているのかはわからないが、何かしらの違った目で見るようになったのは間違いないだろう。

ある日、西村早緒莉が隣の席で困った表情をしていた。


「どうしたの?何かあった?」

「いえ、この作業なんですが、量が多くて1つ1つやっていくと時間がかかりそうなんです」

「ああーそれか。5分ほど待ってて・・・いいもの作るから!」


蒼井涼介は5分ほどであるツールを作った。


「そのファイル、こっちの共有フォルダに入れて」

「はい、入れました」


蒼井涼介はファイルを取り出してツールを動かした。


「はい、どうぞ。これで終わりでしょ?」

「え?なんですかこれ?」

「一括変換ツールだよ。それを一つ一つ修正していったら時間かかるでしょ?」

「こんなものまで作り出せるなんて、やっぱりすごいです!!」

「一応、そっちで間違ったところがないか確認だけしといてね」

「はい。ありがとうございます」


この時の西村早緒莉の目はかなり輝いていた。

もうやることはやったので、そろそろ勤務終了後に誘ってみるかと思ったが、いきなり2人でどこかに行くのも突然すぎるので、同じプロジェクトメンバーで信用できそうな日高亮を会社の外へ呼び出した。


「実は、西村さんのことなんだけど・・・」

「あっ!わかりますよ。結構気に入ってますよね?」

「どうして知ってるの?」

「見てればわかりますよ!それで僕に何か協力してほしいことでもあるんですか?」

「内密にしてほしいんだけど、明日の勤務終了後にドライブに誘おうと思ってるんだよ。それで日高君も一緒に来てくれるかな?」

「明日ですか?予定ないので別にいいですよ」

「あくまで西村さんのことは内緒にしててね」


そして次の日、蒼井涼介は車で出勤した。今日はおそらく西村早緒莉に予定はないし、作業量も大したことないので定時で帰れるはずだと睨んでいたのだ。


「西村さん、おはよう!」

「おはようございます」

「あのさ、今日は車で来たんだけど、勤務終了後に日高君と3人でドライブでも行かない?気分転換に星でも見に行くのはどうかな?」

「いいですね。いきますいきます!」

「じゃあ勤務が終わったらそこの駅の前で待っててね」

「はい!よろしくお願いします」


これで西村早緒莉を誘うことはできた。あとはいい雰囲気を作ってどうなるかが問題だが、こちらから少し迫ってみる方向で考えた。



■ 星空の下で


勤務時間が終わり、蒼井涼介は車をとりにパーキングへ向かった。さすがに駐車料金は高かったがこれも計画の1つなので仕方がない。車に乗って駅に向かうと、西村早緒莉と日高亮の2人が待っていた。日高亮は気を遣って後部座席に乗って、助手席には西村早緒莉が乗った。何気ない会話をしながら車を走らせる。蒼井涼介は都会でありながらも星がよく見える場所を知っていたので、そこに連れていくことにした。その場所は山の中腹あたりで街灯がなく、ちょっとした丘になっているところだった。今日は快晴で星もよく見えるだろう。


目的の場所に到着した。辺りは真っ暗で人通りもなく交通量もほとんどない場所だった。ペンライトを片手に3人で丘の上へと登っていった。3分も経たないうちに日高亮は「寒いから車の中に戻りますね」といって戻っていった。彼はおそらく気を遣ったのだろう。そして、蒼井涼介と西村早緒莉の二人で星空を眺めることになった。


「あーゆー仕事してると、時々こういう所に来て星空を眺めるのもいいって思うんだよ」

「たしかにそうですね。すごく星が見えて綺麗です」


しばらくの間、丘の上に座り沈黙を続けながら星空を眺める2人。雰囲気は抜群だと思った瞬間、西村早緒莉が蒼井涼介のほうに寄ってきた。肩と肩が触れ合ってるくらい近い距離だった。蒼井涼介は心臓が破裂しそうなくらいドキドキしていた。彼女が近寄ってきた理由は一体何なのかわからない。星空を眺めながら肩が触れ合い、かすかに女性の匂いがする。すると突然、西村早緒莉が蒼井涼介の肩に寄り添ってきた。もうこれは何をしてもいいというサインではないか。まさか向こうからアクションを起こしてくるとは予定外だったが、この状況はチャンスだ。蒼井涼介はそっと西村早緒莉の肩を抱いてみた。何も言わないどころか、さらに寄り添ってきている。西村早緒莉の鼓動がここまで聞こえてくる。もう恋人同士でしかないこの状況は蒼井涼介にとって喜びの頂点に達していた。沈黙の中、次なることを考えていた。いつでも実行できそうだが、いざ行動するとなると戸惑ってしまう。しかし今しかないのだ。蒼井涼介はもう一方の手で西村早緒莉の頬を優しく触れてキスをした。1秒2秒3秒と唇と唇が重なり合う。頭が真っ白になるくらい自分の感情だけをぶつけている状態だ。西村早緒莉は今どんな感情なのだろうか。顔を離していくと暗かったが照れくさそうにしている西村早緒莉の姿が見えた。その後もまだ彼女は肩に寄り添い、蒼井涼介は肩を抱いている状態が続いていた。星空を眺めてるどころか、2人とも下を向いていた。それから10分ほど経って、本当に寒くなってきた。


「そろそろ車に戻ろうか」

「はい」


車に戻る途中、西村早緒莉が話しかけてきた。


「あの・・・今日のことって・・・その・・・」

「今日のこと?」

「あっ!もういいです。1つの思い出になりましたから」

「そっか・・・」


車に戻り日高亮に「お待たせ」と言って帰っていった。

今回のことで蒼井涼介の考えた攻略法は見事に成功したといえる。その後、西村早緒莉とは普通に接していた。おそらく付き合うこともできる状態であったが、蒼井涼介の熱が急に冷め始めた。同じ会社の人間という理由もあったが、今後、蒼井涼介は別の会社に行くことが決まっていたので西村早緒莉と付き合おうとはしなかった。西村早緒莉が言っていた『1つの思い出』というのはこういうことを想定した発言だったのかもしれない。

それからシステム開発も終わり契約期間が終わった。プロジェクトが解散した後、西村早緒莉と会うことはなくなったのだが、彼女は今どこで何をしているのだろうか。

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