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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0097 PTM修行

 家に到着して、門を通って玄関に入ろうとした俺を、エレノアが魔法念話で止める。


《お待ちください、御主人様》

《どうしたの?エレノア?》

《考えてみれば、アルフレッドとキンバリーには、まだ魔法修行や、私達の偽名の事を話しておりません。

家に入ったら、私はいきなりエレノアと呼ばれてしまいます》

《そうだったね、じゃあ僕が先に入って、事情を話してくるよ》

《よろしくお願いいたします》

《うん》


「あ、皆さん、ちょっとここで待っていてください。

 先に家の者に話しておく事がありますから」

「はい、わかりました。シノブさん」


レオニーさんたちにそう言うと、俺は一足先に屋敷に入る。

家に帰ると、アルフレッドが俺を迎える。


「お帰りなさいませ、御主人様」

「ただいま、アルフレッド。

 実は今日から三人ほど、魔法の修行のために、うちに1ヶ月近く、泊まる事になるんだ。

 だけど事情があって、僕の名前はそのままだけど、エレノアはオフィーリアと名乗っているから、間違えないようにしてね」

「かしこまりました。オフィーリアさんでございますね?」

「うん、キンバリーにもエレノアと呼ばないように注意をしておいて。

 エレノアって呼ばれると、ちょっと困った事になるんだ」

「承知いたしました。

 キンバリーにも、よく言っておきます。

他に注意する事はございませんか?」

「他はないけど、これから一ヶ月近く、三人のうちの二人は、僕と一緒に激しい魔法の訓練をするはずだから、ここでは体を休めるようにしてあげてね。

あと、エレノア、いや、オフィーリアは、僕も含めて三人にその訓練の指導をするから、もっと疲れると思う」

「かしこまりました。お任せください」

「うん、よろしくね」


俺はそうアルフレッドに説明すると、再び家の外に出て、四人を招き入れる。


「はい、どうぞ、話は終わりましたから入ってください」

「はい、お邪魔いたします」


レオニーさんがそう言うと、四人がぞろぞろと屋敷に入っていく。

そこにはアルフレッドが待っていた。


「そういう訳で、この人たちを連れて来たよ。

よろしくね、アルフレッド」

「かしこまりました。

改めてお帰りなさいませ、御主人様、オフィーリアさん。

そして、皆様いらっしゃいませ。

私、当ホウジョウ家の家令で、アルフレッド・ボールドウィンと申します」


深々とお辞儀して挨拶をするアルフレッドに、レオニーさんたちも自己紹介をする。


「レオニー・メディシナーと申します。

宜しくお願いします」

「レオンハルト・メディシナーです!

お世話になります!」

「マーガレット・パターソンです。

この家の召使だと思って、どうか何でも御言いつけください」

「はい、こちらこそ宜しくお願いいたします。

しかし、メディシナー様と申しますと・・・?」

「はい、私とこの弟のレオンはメディシナー一族の者です。

今回、訳あって、こちらのオフィーリアさんに魔法を習うために参りました」

「はい、承知いたしました。どうか御緩りと滞在ください」

「まあ、自分の家だと思ってゆっくりして・・・とも言ってられないか」

「ええ、各自、荷物を部屋に置いたら、早速修行に入らせていただきます」


こうしてエレノアのPTM修行が始まった。

PTMの修行は、まず全ての治療魔法をおさらいして、連続でかける事から始まる。

PTMは複合呪文なので、それらの呪文を全て可能な事を確認する作業から始めるのだ。

エレノアが石化解除でやっていたように、2種類の治療呪文を同時に行ったり、高速呪文などの修行もした。


毎日がエレノアにしごかれて、俺も含めた3人が、その厳しい修行に悶絶する。

2・3日ほど経った時点で、レオンは音を上げ始める。


「何?これ?

これだったらレベル200の魔物と毎日戦っていた方がましなくらいだよ!」

「仕方がないでしょ!

私達はたったの一ヶ月でPTMを覚えなきゃならないのよ?」

「私もお手伝いしたいのですが、何も出来なくて申し訳ございません」


ぼやくレオンハルトさんに、叱咤激励するレオニーさん、謝るマーガレットさんに俺が笑って答える。


「はは、まあオフィーリアの修行はいつもこんな感じですから」

「いつも?あんたよく体が持つな?シノブさん?」

「シノブでいいですよ。

まあ、うちの先生の授業は厳しいですけど的確ですから・・・信用していいですよ、レオンハルトさん」

「たしかになあ・・・ところで、俺の事もレオンでいいよ、シノブ」


その厳しい修行の中、レオニーさんは俺の家の凄さを、レオンは俺との会話を、マーガレットさんはうちの珍しい食事を、驚き楽しんでいた。


「ここの屋敷の構造は本当に凄いわ!

それぞれの部屋にトイレと御風呂があるなんて信じられないわ!

毎日の修行の後に、あの御風呂に入ると、さっぱりして疲れが取れるわ!

これは絶対にメディシナーに帰ったら我が家にも・・・いいえ、診療所にも作らないと!」

「まったくなあ・・・しかもこの部屋の設計とか、ジャベックの作動部分を作ったの、シノブがやったんだろ?」

「そうだよ、レオン」


ここ数日の厳しい修行を一緒に受けた事により、俺とレオンハルトは、すでに俺、お前の仲になっていた。


「いや、本当にお前は凄いよ!

最初に子供扱いした俺が馬鹿みたいじゃねえかよ!」

「はは、まあ、実際子供なんだし、いいじゃないか?」

「それにしてもこの家の様々な食事には驚きました。

 特に菓子類の豊富さには言う言葉がございません。

 私、ここの食事や菓子類の作り方をキンバリーさんに教わって、メディシナーでも皆様に作りたいと思います」


どうやらマーガレットさんは、この家で自分のするべき事を見つけたようだ。

最近は激しい訓練の合間の休憩には、キンバリーに教わった菓子の類を作って、俺たちに振舞っている。


「ええ、確かにそれを覚えてもらえると助かるわ。

この家の食事はとても素晴らしいけど、今の私達にはそれを覚えている暇はありませんからね」

「ああ、確かに俺はあのプリンとか、饅頭とか、フレンチトーストとかが好きだな。

あれがメディシナーでも食べられたらいいな~」

「はい、承知いたしました。お任せください!

レオニー様、レオンハルト様」


マーガレットさんは、俺がキンバリーに教えた地球式の料理や菓子を、ここにいる間に覚えたいようだ。

俺も時間があったら教えたいけど、時間的にも体力的にも、とてもその余裕はない。

なんと言っても、オフィーリア先生の修行は厳しい!

せめてメディシナーに戻る時に、小豆やもち米を分けてあげよう。

あれはこの辺やメディシナーでは売ってないからね。


こんな風にして、あっという間に一ヶ月が過ぎていった。

何とか俺もレオニーさんたちも、PTMを身に着ける事が出来た。

だが、最後の仕上げで、少々困った事になった。


「しかし最後の確認は実地でしなければなりません、これは少々困りましたね」


確かにPTMを使わなければならない患者など、そうはいない。

ここでレオニーさんが提案をしてきた。


「それでしたらお任せください。

私はロナバールの治療院にも知り合いがいるので、うまく言って患者を紹介していただきますわ」

「では、よろしくお願いいたします」


こうしてロナバールの治療院で俺たちはPTMの確認をする事になった。

最初の患者は10代の少女で両足がなかった。

何でも森に行った際に、突然出現した魔物に足を食いちぎられてしまったそうで、幸いな事に近場に優秀な治療士がいたために一命は取り留めたが、無残な結果となってしまったらしい。


俺たちの一番手はレオニーさんだ。


「可愛そうに・・・今、私があなたを治してあげますからね」


レオニーさんは慈しむように少女に話しかけるが、その手は震えている。

生まれて初めて実際に大呪文を行うために、緊張しているのだ。

無理はない。


「レオニー、落ち着きなさい。

大丈夫、あなたならできます。

それに万一失敗したとしても、今ここにはまだ3人もPTMが使える者がいるのです。

安心しなさい。

気楽にやって、大丈夫ですよ」

「はい、先生」


エレノアに促されてレオニーさんがPTMを始める。

以前、ルロフスさんの娘や、ハインリヒの妹でエレノアが治療したのを見た時は何もわからなかったが、自分でもPTMを会得した今度はわかる。


PTMの治療はまずは麻酔の呪文から始まる。

これは眠りの呪文を強化した物で、それこそ手足を切っても、決して患者は何も感じない。こうして治療を始めるのだ。

患者は完全に眠りに入る。

続けてレオニーさんが欠損部分の再生の呪文を唱え始める。

唱えているうちに見る見る足が再生していくように見えるが、実はこれは正確には再生しているのではなく、魔素で模っているに過ぎない。

要はゴーレムと同じような材質構成の肉体で、欠損部分を補うのだ。

こうしてまずは形を整えておいて、実際の肉体を数日から数ヶ月かけて再生していくのだが、傍から見ると、あっという間に、完全になくなった部分が再生して見えるので、魔素で出来た物か、本物の肉体かの区別がつかない。

そして本物の肉体が完全に再生した時に魔素部分は消滅して完全回復となるが、その瞬間は本人にもわからないほどだ。

そして次はガン細胞や結石、金属等の異物排除、解毒、血流の流れの正常化、様々な過程を経て、ようやくPTMは終了する。

これらの呪文は昔から個々にあったが、それを全て組み合わせ、バラバラにではなく、全体を相互に関係して作用するように呪文を組み替えてPTMを完成した事が始祖ガレノスの偉大な功績だった。

その結果、ほぼいかなる病気や怪我でも治す事の出来るPTM、すなわち「ペルフェクタ・テラピオ・マギア」を完成させたのだった。

30分近くの呪文を唱え続け、PTMを完了したレオニーさんは無事にPTM術式を完了した。


「終わった・・・」


初めてのPTMに疲れきったのか、その場でフラリとレオニーさんは倒れそうになった。


「おっとと・・」


慌てて俺とレオンでレオニーさんを支える。


「あ、ごめんなさい」


レオニーさんは謝るが、エレノアが満足したように語り掛ける。


「大丈夫、最初は誰でもそのような物です。

術式は間違いなく成功しましたよ。

見事でした、レオニー」

「はい、ありがとうございます。オフィーリア先生」

「よっしゃ!次は俺だな!」


レオンが二人目の患者に術式をかけて、見事に成功する。


「レオンも見事でしたよ。

さすがは各地で武者修行をしただけの事はありますね」

「へへっ、どうも」


最後は俺が二人に負けじとPTMを唱え、患者の治療に成功する。


「御見事でしたよ、御主人様」

「ありがとう、オフィーリア」


こうしてレオニーさんの伝で何とか患者を紹介してもらい、3人ともPTMが完全に使える事が確認できた。

全員が術式を終了し、実際にPTMを使ったレオンが唸りを上げる。


「しっかし、本当に一ヶ月でPTMが使えるようになるとはなあ・・・

全く、信じられないや、オフィーリア先生様々だな」

「うん、俺の先生は凄いだろう?」


俺がエレノアの自慢をすると、レオンは素直にうなずく。


「ああ、全くだ、お前は凄い先生の弟子になっているな」

「今はレオンの先生でもあるんだぜ?」

「はは、そうだな・・・しかしあの人以外にこんな凄い人がいるなんてなあ・・・世の中は広いや」

「あの人って?」

「ああ、俺がPTMを習おうと思って探していた人さ、お前の先生に負けず、凄い人なんだぜ!」

「へえ・・・」


俺とレオンの会話に慌てたようにレオニーさんが二人を急かす。


「さあさあ!

次はすぐにメディシナーに戻って、全員のPTM術者登録と評議員申請ですよ」

「はい」

「おうよ」


俺たち五人は取り急ぎ、航空魔法でメディシナーへと戻った。

するとそこではドロシーさんやオーベルさんと一緒にハインリヒが待っていた。


「お待ちしておりました、皆さん

首尾の方はいかがですか?」

「ええ、大丈夫ですよ、ドロシー、心配をかけましたね?」

「ああ、俺もバッチリさ!」

「はっは、それは良かったね?レオン。

 こっちもうまくいってるよ」

「ええ、私はこの一ヶ月でレオニー様が指摘した事件の概要と証拠固めをほとんど終わりました」

「お疲れ様でした。ハインリヒ」

「いいえ、この位、あなたにしていただいた事に比べればどうという事はありません」


エレノアはうなずくと全員に声をかける。


「さあ、それでは報告に最高評議長の所へ行きましょう」

「「「「はい」」」」


俺とエレノア、それにレオニーさんとレオンは最高評議長宅へと急いだ。


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