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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0928 アッタミ聖国での話

 一通りの調査を終えた翌日、俺たちは旅館で起きると食事をして王宮へと向かった。

一応、昨日のうちに王宮と騎士団へは面会の遣いを出していた。

もちろん、それも密かにだ。

俺たちは王宮の入口で、門番に告げる。


「ロナバールのホンダワラ商会の者です。

本日、アルデイス様に会う事になっているのですが?」

「話は聞いている、通れ」

「ありがとうございます」


門の中には案内人が待っていた。


「ああ、お前たちがリシャール様の言ってた連中か?

付いて来い」

「はい」


俺たちは待っていた騎士団の団員らしき人物に案内されて王宮内へ入る。

どうやらその騎士団員は俺たちの正体を知らないようだ。

そして案内された一室へ入ると、そこでいきなり一人の女性がエレノアに飛びついて来た!


「御師匠様!お懐かしゅうございます!」


うお!いきなりか!

話には聞いていたが凄いな!

しかしエレノアは飛んできたその人物をサッ!と避けると、その人物は後ろにいた豪雷に勢いよくぶつかる!


「きゃっ!」


その豪雷にぶつかったエルフの女性にエレノアが呆れたように話す。


「アルデイス!

いきなり何をしているのですか!

まずは御主人様方に挨拶でしょう!」


厳しく問いただすエレノアに相手の女性が悲しそうに訴える。


「そんな!御師匠様!

一体何年ぶりだと思っているのですか!

それにすぐに来ていただけると思っていたのに、こんなに日数がかかるとは・・・」

「リシャールから聞いていないのですか!

今回の件を引き受けるとなれば、こちらにも色々と準備という物があるのです!

その程度の事がわからないのならば、このまま帰りますよ!」

「ああ、待ってください!御師匠様!」


エレノアに帰ると言われて、その女性が慌てて俺たちに挨拶をする。


「皆様、遠い所をようこそおいでくださいました。

私がアッタミ四聖の一人でアッタミ騎士団団長のアルデイス・グローリーと申します」


それに対して俺も代表として挨拶をする。


青き薔薇ブルア・ローゾ団長で、アムダール帝国のシノブ・ホウジョウ子爵です。

今回はアッタミ聖国からの要請で、アースフィア広域総合組合のミッションとして参りました。

しかし先にリシャールさんにお話しした通り、まだ完全に受けると決めた訳ではありません」

「はい、わざわざ遠い所をありがとうございます。

まずは王と謁見してください」

「承知しました」


うん、どうやら話の通り、エレノアさえ絡まなければ、この人は普通のようだ。


 そして俺たちは次はアルデイスさんの案内で密かに王に謁見する。

今回は非公式な面会なので、謁見の間ではなく、小さな応接室だ。

俺が聞いた話では、現アッタミ国王はまだ20才そこそこの若い王で、実質的な政治や国内の事はほぼアッタミ聖騎士団がやっていると聞いている。

ここアッタミ聖国ではその聖騎士団が軍部だけでなく、政治や他の事も取り仕切っていると聞く、珍しい形態だ。

アルデイスさんはその団長なので、実質この国の最高実力者という訳だ。

若い王が俺たちに挨拶をする。


「ようこそアッタミ聖国へ参られた。

私が王のコーヨー・アッタミだ」

「は、青き薔薇ブルア・ローゾ団長で、アムダール帝国のシノブ・ホウジョウ子爵にございます」

「うむ、この度は我が国の要請に応じてもらってかたじけない」

「いえ、お話は通っているかと存じますが、まだ我々は今回の件を引き受けた訳ではございません」

「うん、その話は聞いている。

何でも引き受けるにはいくつか条件が必要とか?」


どうやらリシャールさんから話はきちんと通っているようなので、こちらも話しやすい。


「は、それで早速確認なのですが、国王陛下、まずはこの話は要請ミッションという事でしたが、状況からすると、アッタミ聖国からの指名ミッションとなるのでは?」


要請ミッションと指名ミッションの違いは発信元だ。

組合からの公的な要請ならば要請ミッションとなるが、それ以外の国や団体からの要請であるならば、それは指名ミッションとなる。

要請ミッションの場合はかなり強制力は高いが、指名ミッションであれば相当受け手側の自由と出来る。

俺はそれを確認した。

王もそれはわかっているようだ。


「うむ、やはりそうなるか?

致し方ない、今回はアッタミ聖国からの指名ミッションという事でお願いしたい」


その王の言葉に俺はうなずいて続きを話す。


「しかし今回の件は深くこの国の根幹にまで関わる事のようです。

本当に我らが関わって良いのでしょうか?」

「それは構わない、よろしく頼む」

「それに場合によっては他の国家との問題も生じる可能性もございますが、その場合はどういたしますか?」


これには王も承知のようだったが、かなり驚いたようだ。


「やはりそうなってしまうのか?」

「ええ、今回の話の内容からすると、その可能性は大きいと存じます」


すでに事前調査によってそれどころではない事を俺は知っていたが、王にはそれを話さずに聞いてみた。


「むむむ・・・しかしこの問題は確かに我が国にとっても大問題だ。

例え他国との問題が生じても解決しなければならないだろう・・・

アルデイスよ。

どうすれば良いか?」

「はっ、その場合は我がアッタミ聖騎士団が青き薔薇ブルア・ローゾに全面協力し、共に問題の解決に当たる所存にございます。

そして道義上、責任は全て我が聖騎士団が取る所存にございます」

「うむ、ではこの件は青き薔薇ブルア・ローゾと我が聖騎士団に任せた」

「承知しました」


どうやら国王陛下とアルデイスさんの話がついたので、俺はその事を公式に要請する。


「ではまずは、その事を公式の文書にてお願いいたします。

我々が貴国に対していかなる行動を起こしても問題はないという事。

そして他国間との問題があった場合、そちらの聖騎士団が折衝を行う事の二点です。

それも陛下とアルデイス様の連名でお願いいたします」

「うむ、それもすでに用意しておる」


そう言って横にいる書記官のような人物が俺に書類を渡す。

それには確かに今回の件に関して正式にアッタミ聖国から青き薔薇ブルア・ローゾへ解決を要請し、その方法はこちらに一任し、それに関して内政干渉するような事になっても一切問題にはしない事が書かれていた。

それにさらにもう一通、他国間とのもめごとが起こった場合も青き薔薇ブルア・ローゾに責任を持たさない旨を明記された書類もあって、その二つに国王陛下とアルデイスさんがサインをする。

その両方を受け取った俺が国王陛下に話す。


「ありがとうございます。

ではこれで正式にこの要請を我が青き薔薇ブルア・ローゾは引き受けさせていただきます。

それでは早速件に関してお話したいと存じます」

「うむ、よろしく頼む」

「まず今回の事件のあらましと、そちらの調べでは現在どうなっているのかを伺いたいです」


俺がそう言うと、アルデイスさんが話始める。


「こちらの調べではルネオイラ教会という連中がここ数年で恐ろしく勢力を伸ばして我がアッタミ聖国を揺るがすほどだという状況です。

そのために我が国の根幹が揺るぎ、大きな問題になったために、アースフィア広域総合組合に要請し、この問題の解決となりうる戦団ブリガードを考えてもらい、その結果、青き薔薇ブルア・ローゾに要請と相成ったのです」

「何故そのような事になったのですか?」

「それは・・・そのルネオイラ教会がある目的を持っていて、それをここアッタミ聖国で実施しようと考えているからです」

「その目的とは?」

「ライオネル・マッカスの名誉回復と、その地位の復帰です」


やはりそうか・・・

それはこちらの調べと一致していた。

ライオネル・マッカス、すなわちかつてのガレノス六聖の一人である彼は、ここアッタミ聖国で魔法大臣にまでなって、当時アッタミ聖国の全てを掌握していた。

しかし実はアッタミ聖国で教えていた物はウソだったとわかり、国を騙した大罪人として放逐されたのだ。


「何故、そんな事を今更?」

「それは・・・ライオネル・マッカスはその嘘が暴かれた後、当初は投獄され、国を欺いた大罪人として一時は処刑宣告までされる寸前でしたが、それを実際に命を助けられた人々や熱心な弟子たちが何とかして助けようとして運動をしましたからね。

そして彼に命が助けられた人々がいたのも事実です。

その結果、ライオネルは財産没収の上で国外追放という、比較的軽い刑罰で済んだのです。

しかしその事をライオネルとその信者たちは恨み、我がアッタミ聖国へいつかは返り咲かんと考えていたようです」

「しかしもうライオネルは遥か昔に亡くなったのでしょう?」

「確かにそうです。

しかし彼の信者や弟子の中にはまだ生存する者もいて、その者たちがライオネルの意志を継いで、アッタミ聖国へ復讐と返り咲きをしようと考えていたのです」

「しかし何故それを今?」

「ライオネル最後の地は北の小国ウトロウです。

そこは長年辺境の小国だったのですが、数年前に魔法協会へ参加する事になりました。

それで問題が起こったのです。

それまでウトロウではライオネルの開発した「劣化治療魔法」現在は魔法協会で公式にSTMと呼ばれていますが、それが最高治療魔法でした。

しかし魔法協会に所属するとなれば、最高治療魔法はガレノス様の編み出したPTMとなりました。

それ自体は問題なかったのです。

しかしメディシナーと魔法協会はその経緯を明確にするために、ライオネルの実際の行動をウトロウで教育する事を要求しました。

ウトロウではそれを受けて魔法協会に加盟しましたが、そこで問題が起こったのです」

「どうしたのですか?」

「今、御話したようにウトロウではSTMが最高の治療魔法でした。

しかしPTMとSTMの正確な歴史が伝えられた結果、STMの出所と経緯が判明し、ライオネルはその正体を暴かれたのです。

これはウトロウ国民とライオネル信者に取っては衝撃的な出来事でした。

何しろそれまでウトロウではライオネルは救国の英雄扱いでしたからね?

それまではライオネルは北の小国であるウトロウに病気で苦しんでいる人々を救うためにわざわざやって来てくれた聖人の扱いだったのです。

しかし実際には国外追放を食らった罪人で、特に我がアッタミ聖国では「うそつきライオネル」とまで言われる存在で、魔法協会の関係する場所には行く場所が無かったので、たまたま魔法協会に加盟していなかったウトロウに居付いただけです。

その話をウトロウのほとんどの人々は受け入れましたが、それを受け入れなかった集団がいたのです。

それが「ルネオイラ教団」です」

「なるほど」

「ルネオイラ教団はライオネルの信者がライオネルの死後に造った団体です。

それは生前のライオネルの弟子と信者たちが母体となった団体で、ライオネルの死後、急激にウトロウで勢力を伸ばしました。

ライオネルの聖人伝説を作ったのもこの団体です。

彼女たちはライオネルの存在を自分たちに都合よく作り変えました。

それがここ数百年でウトロウでは常識化していたのです。

しかし今回の件により、魔法協会によってそれが都合の良い嘘だった事が暴かれました。

何しろ最近ではウトウロの王ですらその話を信じていたほどでしたからね。

ウトロウ王室もライオネルの実際を知って衝撃を受けたようです。

その結果、ルネオイラ教団はかなりウトロウで強い権限を持っていたようですが、それも王に剝奪されました。

実際ライオネル聖人伝説の話を作り上げて広めていたのはルネオイラ教団の連中で、それもライオネルの死後に創作した話だったのです。

彼が生きている間はさすがにそれ以上問題が揉めるのを恐れてライオネルもおかしな話など作りませんでしたからね。

何しろ当時はそれ以上メディシナーと揉めるとライオネルも危険な状態でしたからね。

しかしライオネルの死後、その弟子たちは彼を称える話を作り上げ、それがウトロウの国全体に流布されました。

歴代の国王を含め、国民の多くもそれを信じていたのです。

しかし魔法協会に加盟するに当たって、その嘘も暴かれてしまったのです。

それはアッタミ聖国で起こった事の繰り返しでした。

それまでの功績もあり、ウトロウ国王はルネオイラ教団を追放こそしませんでしたが、その権限を全て取り上げました。

それを恨んだ連中がいます。

ルネオイラ教団の教祖と狂信者たちです。

そのために世間での現状を覆すために、我がアッタミ聖国を標的にしたようです」


それを聞いて俺はため息をついた。

俺がバタフライ効果だと思ったのはこの事だ。

あの時、俺とエレノアはメディシナーからの手紙を受けて、STMを公式に認めるのは良いが、これからは今までの経緯をウトロウでも正確に教えるべしと意見をした。

そしてそれがほぼそのままメディシナー議会を通り、魔法協会でもそれに賛同したので、ウトロウでは俺とエレノアが意見した通り、ライオネルとメディシナーの関係、PTMとSTMが出来た経緯などを正確に教える事になった。

つまりそのルネオイラ教団とやらが恨む元を作ったのは俺とエレノアの意見だとも言える。

うちでの調査の結果、それがわかったので俺とエレノアは当時の事を思い出して、そう考えたのだ。

しかしもちろんこれは逆恨みでしかない。


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