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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0787 バーゼル子爵家の決断

 確かにうちの馬車店が出来た町の馬車店はほぼ潰れてしまうだろう。

今の所は大アンジュとロナバールでしか販売はしていないが、近い将来には帝都、メディシナー、サンドロス、ショーナンでも販売をする予定だ。

そうなったらそこの馬車店はどうなるかわからない。

だからこそ、俺は懇意であるタッカー馬車店には誘いをかけて合同事業としたのだ。

幸いタッカーさんはその事に気づいてうちと提携する事になったが、そうでなければ早晩あそこも潰れていた可能性は高い。

どうやらこのままうちがジャベックを大量生産して安価で販売すれば、奴隷商館も似たような状況になるのをバーゼル子爵家でも予想したようだ。


「ええ、そこでうちもホウジョウ子爵家と提携する事を考えたのですよ。

何しろこのような事はホウジョウ子爵家以外では決して実行不可能でしょうからね。

他の貴族や商家がまねしようとしたとしても、それは無理というものでしょう。

それは承知しております」


全くその通りだ。

今回の事はいくつもの要素が絡まっている。

まず第一にはそういう発想にならなければならない。

つまり領域迷宮という場所で生産工場を作るという発想だ。

しかしこれを思いつく事はそうそうないだろう。

そもそも領域迷宮という物の存在が稀有なのだ。

しかもその存在と「時間の流れの違い」という特性を知っている人間は限られている。

そんな異常な空間で、高レベルの魔物がいる所に生産工場などという物を作ろうなどと言う発想に普通はなる訳がない。

そして仮に発想したとしても、それを実行する事は不可能だ。

何故ならばそれには途方もないレベルと技術力、そして財力が必要だからだ。

まずは領域迷宮まで行くだけの戦闘力が無ければ話にならない。

その時点ですでに大問題だが、正直ここまでならそこそこいるだろう。

しかしそこで魔物の襲撃を物ともしない安全地帯の確保と、そこで安全に目的の物を生産するための工場というか、生活の場のような物が必要だ。

そんな事をするためには途方もない労力が必要だ。

そして当然そこでジャベックを作る魔法技術、すなわち生産ジャベックを作る技術力も必要だ。

さらに最終的にはそこまでの事を全て実行できる財力が必要なのだ。

そこまでの条件を全て兼ね備えてなければこの計画は実行不可能だ。

まさに絵に描いた餅となるだろう。

かてて加えれば、それに足して自分で自由に出来る領域迷宮を持つ迷宮の存在だ。

今の所、世間一般で認知されている領域迷宮はマジェストンの迷宮と大アンジュの迷宮のみだ。

そしてマジェストンの迷宮は魔法協会の所属なので、誰かが好き勝手にする事もできない。

うちがやった事は休憩所を作った事に対する特別許可のような物だ。

そして大アンジュの迷宮はうちに所有権がある以上、俺の許可なく、そのような事は出来るはずもない。

従ってここまでの条件を全て揃えられるのは、広いアースフィアを探してもうちしかないという結果になる。

まず他の貴族や商家、いや王族でもこれが実行可能とは思えない。

そもそも俺たちがそういう物を作る以前は魔法協会と総合組合が力を合わせてマジェストンの26階層の駐在所を作るので限界だったのだ。

他の連中に同じ事が出来るとは到底思えない。

強いて言えばエルヴィンさんの小屋くらいだが、あれは一人で住むのに最低限な物を構築しただけで、とても工場などという規模ではない。

そして純粋に個人的な研究のためだけに存在している。

だから目こぼしをしてもらっているというのはある。

後はナァスの迷宮のアイアさんの社殿くらいだろう。

どちらにしてもうち以外の者にジャベック生産工場など出来る訳がない。

そういう意味でアルヌさんの言っている事は正解だ。

俺はうなずいてアルヌさんに賛成した。


「そうですね。

確かにその通りだと思います」

「ええ、ですからもしうちがジャベック店を営むとしたら、それはホウジョウ子爵家と組むのは必須だと考えたのです」

「なるほど」

「そこで取引というのはシノブさんとエレノアさんに生産ジャベックを3体ほど作っていただきたいのです」

「なるほど、生産ジャベックですか」


本気でジャベック店を経営するというのであれば、確かにそれは必要な物だろう。


「はい、それと大アンジュの迷宮の35階層の休憩所の使用権です」

「35階層の!?」


さすがにこの要望には俺も驚いた!

しかしアルヌさんは真剣な眼差しでそれを再度言ってくる。


「ええ、それをぜひお願いしたく、お話に伺ったのです」

「なるほど・・・」

「はい、そのために我がバーゼル子爵家では対価として金貨20万枚と、今後売れたジャベックの利益の1%をホウジョウ子爵家に収めようと思います」

「金貨20万枚と利益の1%ですって!」


その金額に俺は驚いた!

金貨20万枚と言えば裕福な子爵家としてもすんなりと出せる額ではない!

資産のほとんどを放出するはずだ!


「はい、これは当然の金額として算出しました。

いえ、これでも少ない位だと考えておりますので、もし御不満の場合はさらに金額を上乗せして残りを分割でお支払いしても宜しいです」

「そこまで・・・?」

「はい、我が家はこの事業に賭けておりますし、また間違いなく成功すると考えてもおります。

しかし今後我が家以外の商家などが、似たような要求をホウジョウ子爵家にしてくる事もあるかと思います。

その時のための指針にもなるかと考えました」

「なるほど・・・」


確かに今の所は領域迷宮の工場の秘密は保たれている。

しかしいずれはあちこちに知られてしまう可能性もあるだろう。

そうなった時に、うちと提携してジャベックを生産しようと考えた連中が我も我もと迷宮利用の許可を求めてきたらうちも制限をかけなければならないだろう。

そのためにはおそらく途方もない金額を要求する事になる可能性は高い。

バーゼル子爵家はその先陣を切り、今後の指針になろうと言ってくれているのだ。

どうやらアルヌさんはこの件に関して相当考えて来た様子だ。


「いかがでしょうか?」

「承知しました。

元々ジャベック事業に誘ったのは私ですし、バーゼル子爵家でしたら、私がエレノアを購入した時からお世話になっておりますし、信用もしております。

その条件で提携を承りましょう」

「ありがとうございます」

「但し、迷宮の生産工場の事と、この金額の事は内密にしておいてください。

その方が今後他の方からこの手の相談を受けた時に対応しやすいですからね」

「ごもっともです、我々もそう考えておりました」

「もっとも私もバーゼル子爵家以外ではよほどの人でもない限り、この手の事は引き受ける気はありませんがね」

「ええ、我が家としてもそれを望みます」

「そうですね」


ベルヌさんもそう言って笑った。


「そこで具体的な生産ジャベックの件なのですが、基本的にはラボロ型とサーバント型、そしてもう一体はシノブさんが囮捜査用に作った美少女型のジャベックを生産する物をお願いしたいのです」

「ほう、ラボロとサーバントと美少女ですか」

「ええ、やはり基本的には万能型の物が必要ですからね。

それとそれの発展型の魔法を使える者、そして美女型です。

もちろん美女型は魔法を使えなくても構いません」

「なるほど」

「シノブさんも御承知だと思いますが、奴隷というのも基本的に大きく分けて一般用と戦闘用、それに性奴隷に分かれますからね。

当然、ジャベックもそれに対応した物が欲しいのです。

この三つを売る事が可能であれば、ほぼその全てに対応可能でしょう」

「なるほど」


確かにその通りだ。


「後は美少女型生産ジャベックは出来れば体型や髪型、胸の大きさなどをある程度は変更可能なようにしていただきたいのです」


それももっともな意見だ。


「承知しました」


そして俺とエレノアは少々大アンジュの領域迷宮に籠もり、希望通りの生産ジャベックを造り、それをアルヌさんに見せた。

一緒にそれぞれが生産したジャベックもだ。

バーゼル子爵家使用のラボロはうちのラボロよりも少々痩せ型になっていて、胸の部分にバーゼル家の紋章が入っている。

美少女型の方も俺とアンジュが造ったマイヤやエレクトラなど、うちの盗賊囮用のプレアデスジャベック群を参考にして造り、多少の顔の造詣の他、身長、体型、髪型と色、胸の大きさなどを変更可能とした。

アルヌさんとベルヌさんがそれで満足をしたので、それを一旦35階層で大量生産した後で、その後は基本的には大アンジュの31階層において生産をさせた。

35階層ではうち以外では行くのが困難だが、31階層ならうちの許可さえあれば安全に行く事が可能だからだ。

それでも通常の5倍の速度でジャベックを生産可能なので、アルヌさんはそれで満足したようだ。


 そして1ヵ月後には「バーゼル奴隷商館」は「バーゼル労働商館」と名前を変えて大々的にジャベックを売り出す事となった。

ロナバールの奴隷商館やジャベック屋は、ロナバールでの最大奴隷商館がいよいよジャベック販売にも手を出したかと驚いたが、その真意を知る者は少ない。



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