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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0075 持ち込まれた猫

 ある日、俺は珍しく昼前に患者が途切れたので食堂へ向かう事にした。

エレノアはまだ患者を診ているので、声をかけて、先に行く事にした。


「僕は先に食堂へ行っているね」

「はい、承知しました」


俺は食堂へ向かったが、途中の受付で何やらもめているのを見つける。

どうやら女の子が猫を持ち込んできたようだ。

受付のお姉さんと、10歳位の女の子が激しく問答をしている。


「お願いです!

うちのペロンを診てあげてください!

今朝から苦しんでいるんです!」

「残念ながらここでは犬や猫は受け付けていないのよ」

「でも、普通のお医者さんに行ってもだめだったし、犬や猫を診てくれるお医者さんに行ってもだめだったんです!

どっちに行っても診てもらえなかったから、もうここしかないんです!

お願いですからペロンを診てあげてください!」

「そうは言われてもだめな物はだめなのよ」


なるほど、女の子が近くに寝かせている猫を見ると、グッタリとしている。

しかし、ずいぶんと大きな虎猫だ。

猫なのに中型の犬ほどもある。

しかもなぜか後ろ足に濃い朱色の長靴を履いている。

どこかの童話じゃないけど、まさに「長靴をはいた猫」だ。

この女の子が猫に長靴をはかせたんだろうか?

どちらにしても、この大きな猫を女の子が担いでくるのは、さぞかし大変だった事だろう

重かったろうに、一生懸命に担いできたんだな。

必死に訴える女の子がかわいそうになった俺は、その女の子に声をかけてみた。


「どうしたの?」


俺の白衣姿を見て、魔法治療士だと思ったのだろう。

女の子は俺に頼み込み始めた。


「あっ、魔法治療士の先生ですか?」

「そうだけど、どうしたのかな?」

「お願いです!

うちのペロンが病気なんです。

グッタリして返事もしないんです。 

どうか治してあげてください」

「そうか・・・」


俺もこの無料診療所では犬猫は診ないという事は聞いている。

しかし、この女の子もこんなに重そうな猫をここまで一生懸命運んできたのだ。

俺は自分が個人的に治すのは構わないだろうと考えて、猫の診療を快諾した。


「わかったよ、僕が君のペロンを診てあげよう」

「本当ですか?」

「ああ、治せるかどうかはわからないけどね」

「お願いします!」


俺の返事に女の子は大喜びだ。

しかし、受付のお姉さんが慌てて俺を止める。


「あっ、ダメです!

 シノブ治療士!

猫はいけません!」

「いいよ、僕が個人的にする事だから・・・」

「ダメですって!」

「いいから、いいから・・・」

「ああ・・・!」


そう言って俺はその猫、ペロンとやらに治療魔法をかける。

受付のお姉さんは、あたふたとどこかへ走っていった。

魔法をかけている間も、女の子は俺に話しかけてくる。


「お願いします!

 ペロンは私の大切なお友達なんです!

毎日、おはようって挨拶して、いつもたくさんお話しているのに、今日はなぜか朝の散歩から帰ってきたら、グッタリとしていて、一言も話せないんです!

どうかペロンを元気にしてあげてください!」


そうか、毎日話しているのか・・・

まあ、小さい女の子だから猫がニャーニャー鳴いているのを適当に人間の言葉だと思って聞いているんだろうな。

それにしてもそれほど大切にしている猫なら早く治してあげないとな。

俺は治療魔法をかけ終わるが、どこかまだ様子が変だ。

どうやら毒にもやられている様子だ。

と、言うか、これは毒で体力が無くなったのか?


「これはどうやら毒にもやられているらしい・・・

今毒消しもするから待っていてね」

「はい、お願いします!」


俺が毒消しを終える頃、受付のお姉さんがステファニー部長を連れて戻ってくる。

二人は俺が治療を終えているのを診て愕然とする。


「ああっ!遅かったです!」

「シノブ治療士!猫を治療してしまったのですか?」

「はい、規則で犬や猫を治療してはいけないのは知っていましたが、個人的に治すので問題ないかと思いまして・・・」

「そういう問題ではないのです」


頭を抱えるステファニー部長に俺が不思議そうに質問をする。


「え?猫を治すのがそんなにいけなかったのですか?」

「ダメです!

猫や犬を治しては・・・」


俺は不思議そうにしていると、そこへ治療を終えたエレノアもやってくる。


「どうしたのですか?」

「ああ、オフィーリア治療士!

今、シノブ治療士が猫を治療してしまったのです!」

「え?猫を?」


エレノアも愕然とした表情をする。

え?そんなに猫を治したのがまずかったの?


「御主人様、ここの規則にも、犬や猫を治してしまってはいけないと書いてあったはずですが?」

「うん、それは知っていたけど、僕が個人的に治すのは構わないと思って・・・」

「そういう問題ではないのです・・・」


エレノアもステファニーさんと同じ事を言って、困ったようにしている。

すると突然、俺が治療した猫が伸びをしてスクッ!と立ち上がる。

おや、この猫?

本当に長靴をはいて立ったぞ?

何か特別な訓練でもしているのか?

俺がそう考えていると、驚いた事に、その猫が突然しゃべり始めたのだ!


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