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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0072 患者の行列整理方法

 俺は最近考えていた。

この無料診療所に勤め始めていた時から思っていたのだが、ここはあまりにも色々と効率が悪すぎる。

俺は別に効率至上主義という訳でもないのだが、いくら何でもこの世界の順番効率は悪すぎる。

中世の世界だから仕方がないと言えばそれまでなのだが、俺は患者のためにも、治療士のためにも双方のためになんとかしたいと考えていた。


例えば順番待ちだ。

無料診療所なので、たくさん人が来るのはわかる。

しかし、その並び方があまりにも雑然としているのだ。

だから割り込みなども横行し、すぐに喧嘩や騒ぎになる。

それを収めるために診療所の人員を割かれる事も度々ある。

並んでいる方も、病人や老人が多いから、それほどの大事にはなっていないが、これが若い血の気の多い者同士なら、もっと大事になるだろう。

これでは並んでいる内に、患者の病状がさらに悪化してしまう事だってあるだろう。


また、暇潰しの似非えせ患者も問題だ。

これが意外にもかなり多く、その対応のために時間を食われ、他の診療の妨げになる。

所長以下、魔法治療士たちも、これには閉口しているらしく、何とかできない物かと頭を抱えている。

しかしこれまた、実際に話をするまでは、本当の患者なのか、暇潰しなのかわからないのだ。

もっとも簡単な対策法として料金を取るのが一番なのだが、それでは無料診療所ではなくなってしまう。

それにもし下手に金を払わせれば、それこそ払った分は話を聞けと言い出しかねない。

解決策の一つとして、ただ話したいなら、そういう人たちがお互いに集まって話せば良いのではないかと思ったのだが、それもダメなようだ。

こういった人々は、人の話を聞く気はなく、自分が話したいだけだからだ。

結果、無料診療所に通う事になる。


他にもあるが、この2つを緩和するだけでも、運営面での負担が大きく変わるだろう。



俺は混雑対応の手段として、真っ先に整理券を配る事を考えたのだが、それはいきなり二つの理由で却下された。

それも診療所の人たちに話す前のエレノアに話した時点でだ。


その理由の一つは、診療所へ来る患者たちが文字を読めるとは限らないからだ

恐ろしく単純で明快な理由だった。

ここは無料診療所だけあって、訪れるのは社会的に平均以下の稼ぎの人間が多い。

義務教育のないこの世界では、当然の事ながら学校に通ってない人間も多い。

従って、ここへ来る患者が全員字が読めるとは限らないのだ。

詳しく調べた訳ではないが、俺の感じた限りでは、識字率は六割から八割の間くらいだろう。

つまり少なくとも患者の二割以上が字を読めないのだ。

字が読めない人間がそれだけいては、整理券は役に立たない。

色や形で作ってみようかとも思ったのだが、10やそこらならともかく、やはり3桁を超える数となると、どうしても数字が必要なのだ。

仮に色や形で区別する方法があったとしても、おそらくそれは複雑で、とても字が読めない人達には理解不能だろう。

それを説明するためには説明書が必要になるだろうが、それでは缶詰の中の缶切りだ。

そもそも、そんな複雑な方法を説明する位ならば、数を教えてしまった方が、よほど早い。


そしてもう一つの却下の理由、それはこの世界では紙が高いと言う事だった。

もちろん高いといっても、たかが知れてはいるのだが、さすがに単なる使い捨ての道具として、一日に何百枚も使うのでは話にならないとエレノアに言われて、俺も納得せざるをえなかった。


俺がその事に考えを巡らせていると、エレノアが声をかけてきた。


「何をお考えですか?御主人様?」

「うん、例の診療所の行列と似非患者の件を考えていたんだ。

何とか出来ない物かと思ってね」

「それは昔からここの悩みの種です。

しかし、どうしても効果的な方法はありませんでした。

結局、混んで来たら整理係として、雑用奴隷を何人か出す程度しか方法はありません」

「しかし、他に方法はない物かな?」

「今の所、これと言った方法は誰も思いついていませんね。

色の付いた石を持たせてみたり、割符を持たせてみたりもした事はあったのですが、

やはりどうしても20か、30を超える数には対応できませんでした」


それはわかる。

この診療所で裁ききれる一日の人数はだいたい120から150人位だ。

やはり数の多い物にはどうしても数字を使うしかないのだ。

それはここに勤めてこの問題を考えてから、すぐに俺は結論した。

しかし、数字は使えないのだから矛盾している。

この矛盾を整合させなければこの問題は解決しないのだ。

ふと、俺は考えた事をエレノアに聞いてみた。


「ねえ、エレノア、タロスやジャベック同士って、通信つまり、魔法念話のやり取りみたいな物は出来るの?」

「ええ、それほど、距離が遠くなく、複雑でない内容なら可能です。

事実、高度な魔法ジャベックなどはタロスを作成する事が可能で、エルフィールなどは御覧になった通り、タロスを作成して操る事も可能です。

術式書に書いてはありませんが、あれはそういったやり取りをしている訳ですから」


そうだった、迷宮でエルフィールはタロスも出して、魔物を攻撃した事もあったっけ。

ではジャベックとジャベック、あるいはジャベックとタロス同士なら簡単な内容のやり取りは可能な訳だ。

う~ん、それならば・・・


「エレノア、こういった物は可能かな?」


俺はノートに鉛筆で、将棋の升目のような10×10の絵を書いて、そこの升目に番号を振っていってみた。


「こういった升目の板みたいな物をジャベックで作って、片方の枡を押すと、もう片方の同じ升目の場所が光るジャベックというのは作れるよね?」

「はい、それはもちろん可能です」

「では、それと同時に手のひらほどの大きさの番号付きのタロスを作って、ジャベックの升目を押したら、同じ番号のタロスの札が光るというのは?」

「それも可能です。もちろん両方ともそれほど距離が無ければの話ですが」

「どれ位?」

「そうですね・・・普通に作れば、300メルほどでしたらギリギリ届くかと思います。

通信部分を強化すれば、おそらく10カルメルほどでも可能だと思いますが・・・」

「ならば、この診療所の敷地内位なら余裕だね?」

「そうですね。この診療所は広いですが、東西南北どちらの方向にも200メル以上の長さの場所はありませんから」

「では、そのジャベックを作って、番号のついたタロスを患者に渡して、順番が来たらもう片方のジャベックの同じ番号の部分と、同じ番号のタロスを光らせる事は可能だよね?

あのゴーレム街で見たタロスのチラシみたいに?」

「はい、それは可能です。

なるほど、確かにそれなら列が崩れても、番号のついたタロスさえ持っていれば、順番がわかりますね?」

「うん、そう思って考えたんだ」

「しかし、そのタロスを朝と昼、そして夕方と夜の分と、毎回作るのに、かなりの魔法力を消耗するはずです。

そこが心配ですね」

「どの位の魔法力が必要になるかな?」

「そうですね・・・そのタロスは患者数に合わせる訳ですよね?」

「そうだね」

「すると、ここには大体午前と午後に、それぞれ120から150人ほどの患者がやってきますから、それに見合ったタロスが必要です。

大目に考えておいて、仮に200個作るとして、それに必要な魔法力は約12000です。

それだと平均的な魔道士でレベル65は必要ですが、他の余裕を考えて、レベル80は欲しい所です。

それですと、余程高位の魔道士か、魔法学士水準になってしまいます。

それを一日二回か三回も作成するとなると、そのタロスを作るだけで、魔法学士級が最低でも二人以上必要になってしまいます。

この診療所で、その水準の人間を二人以上増やすのは残念ながら無理ですね」

「でも僕たちだったら、一人でそれも可能だろう?」


今やレベル200以上となった俺の魔法力は50万以上ある。

レベルが700近いエレノアに至っては250万以上だ。

一日にタロスの200どころか、1000でも1万でも大丈夫だ。


「確かに私達ならそれも可能ですが、それでは私達がここにいる間でしか、そのタロスを使う事が出来ません。

この方法は画期的だとは思いますが、それではいずれ現在の状態に戻るのが目に見えています」

「うん、だからそれを魔法ジャベックで作ってみたらどうかな?

その番号札を毎回作るジャベックを作るんだ。

我々がいる間に見本を一つ作ってみて、それを実際に試してうまくいったら、僕たちがいる間に作れるだけそれを作っておくんだ。

ある程度作っておけば、メディシナーにも高位の魔法ジャベック使いは何人かはいるだろうし、見本と術式があれば、複製を作るのは可能だと思う」

「なるほど、それなら上手く行くかも知れません。

確かにレベル80以上の魔法ジャベックを作成する人間は少ないですが、私達ならもちろん作成可能です。

そして見本が何体かあれば、他の高位魔道士が作成する事も可能でしょう。

御主人様、早速試してみましょう」

「うん」


こうして次の自由日と休日を使って、俺とエレノアは患者整列用のジャベックの製作に勤しんだ。

要は電光表示板とポケベル連携のゴーレム版だ。

実際に作ってみると、それは中々上手く作動した。

最初は番号板ジャベックと番号タロスを作るジャベックを別々にしていたが、改良した結果、番号板ジャベックに番号タロスを生成する能力を与えたので、三体あったジャベックは親機と掲示用の子機の二体で済むようになった。

もっともそのおかげで親機の魔法使用量が大きくなり、核に魔結晶を2つ使う贅沢なジャベックになってしまった。

俺たちは自前の魔結晶で作ったから構わないが、もしこれを売るとしたら最低でも金貨50枚以上、おそらくは70枚以上になってしまうだろう。

そこが難点といえば難点かもしれないが、俺はある方法を考えた。

とにもかくにも、俺の考案した患者整列用ジャベックは完成したので、いよいよお披露目だ!


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