0062 屋敷の風呂
エルフィールの完成と共に、ついに屋敷の改装も終わった。
基本設計をした自分で言うのも何だが、我ながらとても良い感じに仕上がった。
特に風呂だ!
そう、俺は風呂にはこだわったのだ!
いよいよ今日、最後まで改造に時間がかかっていた、その風呂もついに完成した!
元いた世界とこの世界の風呂屋や、エレノアと泊まったホテルのスイートルームの風呂などを参考にして、理想的な風呂を作り上げたのだ!
俺は喜び勇んで裸になると、風呂に入っていった。
「うわあ~」
風呂の中を一望して俺は歓声を上げる。
もちろん自分で設計したし、作る間も何回も見ていたので、内部構造は完全にわかっているのだが、やはりこうしていざ入る段階で見てみると違って見える。
浴槽は満々と湯を湛え、湯気が立っている。
湯口からはライオンっぽい顔の口からジャバジャバと湯が出ている。
うん、これは高級そうな風呂には必須だよね?
浴槽は大小三つに分かれていて、それぞれ熱い湯や、ぬるめ、水風呂、薬草風呂など、その日の気分によって、変えられるようにした。
屋根は全面透明金属アレナックで出来ていて、採光は抜群だ。
もちろんガラスでも作れたのだが、この世界のガラスはもろいので、何かの拍子に割れそうだったからだ。
アレナックなら鋼の数百倍も強靭なので、極端な話、魔物に攻撃されようとも平気だ。
ついでに壁全体も色つきアレナックで作っているので、この風呂はうちの屋敷で一番頑丈な作りとなった。
この風呂を作る時に、エレノアを初め、大工や風呂技師も含めて全員が驚いた物だった。
何しろ、風呂の建造費で、他の部分の改造費、全て以上の金がかかった位なのだ。
だが、俺は後悔していない。
この風呂の出来は最高だ!
真鍮で造られたカランは鈍い金色に光って、中々風情を出している。
木で作った椅子や風呂桶も中々良い。
ちなみに真鍮で作った椅子と風呂桶も作ってあり、今後使い心地を試してみて、どっちを大量に作るか検討する予定だ。
「エレノアも早く入っておいでよ~」
「はい、ただいま」
あはははーー
エッレッノッアッと一緒に風呂に入れる~♪
もちろん、毎日先に作り終えた客室用の風呂には使い心地を確かめるためにも入ってみた。
それもアルフレッドたちの部屋以外の全室だ!
その時もエレノアと一緒だったが、他の部屋の風呂は、少々広いユニットバス程度の広さだったので、エレノアと二人で入るには少々無理があった。
しかし今日はついに待望のこの広い風呂にエレノアと二人で入れるのだ!
期待に胸が高鳴る俺の前に、いよいよエレノアが風呂の中へと入ってくる。
「お待たせいたしました、御主人様」
そう言ってエレノアがタオルを一枚だけ持ち、前を隠して入ってきた。
まだ夕方には早いので、湯気の中でもその姿はよく見える。
うっひょ~
やっぱりエレノアっていいな~
俺がエレノアに見とれていると、エレノアが話しかけてくる。
「では御主人様、早速お背中を流しましょう」
「うん」
俺は椅子に座り、エレノアが俺の体を洗い始める。
エレノアが俺の体を隅々まで洗い終わると、今度は俺が声をかける。
「じゃあ、次はエレノアの番だね?
僕がエレノアの体を洗うよ」
「え?御主人様が私をですか?」
「うん、そう」
実はまだ俺はエレノアの体に触れた事はあっても、洗った事はない。
宿屋では一方的に体を拭いてもらっていただけだったし、風呂屋では男女別々なので、もちろん無理だった。
ホテルの風呂ではエレノアにまかせっきりだったので、俺は何もしていない。
この屋敷に来てからも、少々狭かったので、まだエレノアの体を洗った事はなかった。
しかし、これだけ広い風呂が手に入ったのだ!
当然、エレノアさんの体を洗わせていただきますよ?
感謝の意も込めてね?
まあ、別にいやらしい気持ちがないとは言わないけどね?
でも、ちょっとだけだよ?
多分ね?
しかしエレノアは戸惑っている。
「あの、奴隷である、私をわざわざ御主人様が洗わなくとも・・・」
「いーや、洗わしていただきます!是非とも」
「では、お願いいたします」
エレノアが納得したので、俺はエレノアの体を洗い始める。
・・・・・・・・うん、全身くまなく洗ったな・・・・
ふ~満足です。
あ、そうだ忘れていた。
「エルフィール、入っておいで」
エルフィールは護衛として風呂の外で待機していたのだ。
しかし、ここで誰かが襲って来るとは思えない。
壁も天井もアレナックだしね。
「はい、承知いたしました」
そう言うとエルフィールが風呂に入ってくる。
しかし戦闘服を着たままだ。
「何か御用でしょうか?御主人様」
「いや、単に一緒に御風呂に入るだけだよ」
「御風呂でございますか?」
ジャベックを一緒に風呂に入れると聞いて、エレノアは少々驚いた様子だ。
「エルフィールも一緒に御風呂にいれるのですか?」
「うん、だってジャベックだって、体は汚れるでしょう?
服や装備は洗濯するけど、体も洗って綺麗にした方がいいでしょう?」
「そうですね、ではエルフィール、裸になって入ってきなさい」
「かしこまりました」
一旦引っ込んだエルフィールが衣服を全て脱ぐと、再び風呂の中に入ってくる。
ジャベックなので、恥じらいも無く、堂々とどこも隠すことなく、スッポンポンのままで入ってきた!
うっひょ~すっげ~!
「じゃあ、エルフィールも僕が洗うからそこに座って」
「はい」
エルフィールは素直に座るが、エレノアが戸惑う。
「え?エルフィールまで御主人様が洗うのですか?
その程度の機能はもちろんエルフィールにはついておりますが?」
「いや、単に僕が洗いたいだけだから」
「かしこまりました」
またもやエレノアも納得したので、俺はエルフィールを洗い始める。
しっかし、凄いな~
こうして洗っていると分かるけど、エルフィールの体はさっきのエレノアと全く変わりがない。
なまじ、全てのサイズが同じだけに、おそらく目を瞑って二人を洗ったら区別がわからないに違いない。
俺がエルフィールを洗い終わるとエレノアが俺に話す。
「もうすぐ夕飯の時刻の筈です。
お楽しみはまた後と言う事にして、今の所はそろそろ上がりますか?」
「うん、そうだね」
俺もとりあえず取り合えず完成した風呂に入ってみたかっただけなので、素直にエレノアの言葉にうなずく。
さあ、新しい風呂も堪能したし、いよいよ明日は二人が遊びに来る日だ!
何を用意しておこうかな?