0596 シノブたちの組合復帰
俺たちはアースフィア広域総合組合に到着すると、まずは総合受付にいたアレクシアさんたちに挨拶をした。
「こんにちは、アレクシアさん、イザベラさん、ルシールさん」
「まあ、シノブさん、今回は卒業の報告ですか?」
「ご無沙汰してます」
「お久しぶりです」
俺は挨拶する3人に対してうなずいて話す。
「ええ、お蔭様で無事に魔法学校も卒業できました。
それで今日はこうしてお世話になった方々に報告がてら挨拶に回っているのですよ。
今日はグレゴールさんはいらっしゃいますか?」
「ええ、今日は一日いらっしゃるはずですよ」
俺たちは組合事務室へ向かうと、グレゴールさんに会いに行った。
「御無沙汰しております、グレゴール組合長。
先日はどうもありがとうございました」
「これはシノブさん!
そうですか、無事に御卒業なされたのですね?」
「はい、そうなのですが、それを報告に来たのと、今回は少々「青き薔薇」の活動休止期間を延長させていただこうかと思いましてね」
「延長ですか?」
「ええ、卒業はしたものの御存知の通り、私はこの3年間で子爵で自治領主になってしまった上に、大アンジュという本拠地が出来てしまって、当分はそちらの方の開発に力を入れようと考えているので、もう一年ほど活動期間の休止を延長させていただこうかと思いまして」
「なるほど、確かにそれは大変ですな。
しかし組合を辞めるという事はないのですか?」
心配そうに尋ねるグレゴールさんに俺は答える。
「はい、少なくとも当分はこちらを辞める気はないです。
確かに領主としての仕事は大変ですが、こちらの仕事はこちらの仕事で気に入っておりますのでね。
ただ以前のようにあまり頻繁には仕事を請けられないでしょうが」
その俺の答えにグレゴールさんはもっともだという感じでうなずいて答える。
「そうでしょうなあ・・・
組合としては継続していただけるだけでもありがたいので、嬉しいですよ。
何しろ青き薔薇のような戦団は他にないですからな。
ところで随分と人数が増えたようですが、こちらの皆さんは全員「青き薔薇」の皆様とみなしてよろしいのですか?」
言われてみれば、確かに随分と俺たちの人数は増えている。
「あ、いえ、そちらのエトワールさんとシャルルとポリーナは違いますが、その3人以外はまあ登録するかどうかはわかりませんが、青き薔薇の一員とみなしていただいて構いません。
みんな、一応自己紹介をしてみて」
俺がうながすとまずは新参の4人が簡単に自己紹介をする。
「アレクサンダー・ヒンデンブルクと申します」
「フリッツ・ボートです」
「ライマー・ザクセンです」
「ニコラス・カーサライネンです。
よろしくお願いいたします」
「こちらこそ!
しかし・・・苗字に聞き覚えのある方ばかりですが、ひょっとして皆さん、全員帝国貴族の子弟の方でらっしゃいますか?」
そのグレゴールさんの質問にアレックが答える。
「はい、確かにその通りですが、そのような事と関係なく、我ら4人はホウジョウ様に仕え、色々と学ぶ所存です」
「なるほど、承知いたしました」
そして俺は残るライラを促す。
「ほら、ライラも挨拶をして」
「天竜のライラだよ。よろしくね」
その簡単な挨拶にグレゴールさんが軽く驚く。
「は?天竜?」
「ええ、そうなんです」
そういや、グレゴールさんにライラを会わせるのは初めてだったな。
そりゃ驚くか?
「え?天竜とはあのライレーン女王の率いる天竜ですか?」
その反応にライラが笑いながら答える。
「やだな~組合長さんも!
女王だなんて・・・うちの母さん、そんなんじゃないよ!
ただの天竜の長だって!」
そのライラの答えにグレゴールさんはさらに驚いて尋ねる。
「母さん?!まさかこのライラさんはライレーン女王の娘さんなのですか?」
グレゴールさんの質問に俺がうなずいて答える。
「ええ、実はそうなんです。
たまたまエレノアがライレーンさんと友達で、その関係からライラをうちで預かる事になったのですが、いつの間にやらうちの一員になってしまって・・・」
「ライレーン女王が友人ですか・・・
さすがにエレノアさんの交友関係は凄まじいですね・・・」
「ええ、私もそう思います」
「それでそのライラさんもうちの組合員になっていただけると?」
しかしここでエレノアがグレゴールさんの質問に答える。
「いえ、この娘は御主人様が少々預かっているだけですので、組合員登録はしない方針です」
「そうですか。惜しいですなぁ」
「申し訳ありませんが・・・」
ひとしきり驚くと、グレゴールさんは話を続ける。
「まあ、何しろ天竜ですからね、仕方ありませんな・・・しかし休止期間を延長ですか?
正直、これは少々困りましたな」
「どうしたのですか?」
「ええ、実はシノブさんたちが卒業したら義務ミッションの事でお話してお願いしようと考えていた事があったのですが、さらに一年間活動休止となると、正直弱りますな」
「え?義務ミッションの事で?」
「ええ、そうなのですよ。
実は義務ミッション関連で「青い薔薇」にしていただきたい事が3つほどありましてね」
はて?俺たちは2年は義務ミッションなしになったのではないだろうか?
確かに3年活動休止届けを出していたが、その間はカウントされないはずだ。
不思議に思った俺はグレゴールさんに聞いてみた。
「え?三つも?しかし義務ミッションは年間1つと決まっているのではありませんか?
それに確か我々は義務ミッションは2年間免除になったはずでは?」
「その通りです。
しかし組合としてはこの3つはどうしてもやっておきたい課題でしてね。
まあ、その内の一つはそれほど急ぎではないのですが・・・他の二つが中々問題なのです。
特に一つはどうしても青き薔薇でないと頼めない件でしてね。
そしてアンジュさんの件があります」
「アンジュの?」
「はい、実はアンジュさんはまだ1回も義務ミッションをこなしておりません。
最初の年も登録してすぐに皆さんと一緒に活動休止届けを出してしまったので、その時の分と、活動を再開するならばその年の分と、義務ミッションが2回分溜まっているのです。
何しろまだアンジュさんは正式に「青き薔薇」の団員に登録もされておりませんのでね。
今の所、個人の組合員扱いです」
「あ・・・!」
そう言えばそうだ!
アンジュは登録してから、まだ一回も義務ミッションをしていない!
俺たちと一緒に昇降機を作った訳でもないので、免除にもなっていないのだ!
しかもあの時はまだなったばかりだったので、見習いという事にして、ただの組合員として登録したので「青き薔薇」の団員としては登録をしていないのだった!
だからアンジュは活動再開すれば、義務ミッションが2回分溜まっている事になる。
俺が驚いているとグレゴールさんはさらに説明をする。
「しかしそれとは別に青き薔薇が行動を再開したら説明しようと考えていたのですが、実は組合が加盟している国家で爵位を持っている組合員の場合は、その人物が団長となって率いる戦団は義務ミッションを免除される規定があるのです」
「え?義務ミッションの免除?」
それは初耳だ。
爵位持ちの貴族になると義務ミッションをしなくても良いのだろうか?
貴族の方がより義務感が増すような気もするのだが・・・
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