表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
613/1050

0593 イルズーコとチケコーセ

 イルズーコはすでに100歳を超えてその日暮らしをしていた。

オクトバの町で何かしら安い仕事を毎日見つけて、夜になると安い酒場で安酒を煽り、安宿に泊まって寝るのだった。

オクトバの町はアムダール帝国のはずれにある町だったが、それなりに大きな町で魔法協会の分所やアースフィア広域総合組合の支部もあり、えり好みをしなければ仕事にあぶれる事もまずなかった。

そしてイルズーコは魔法などは使えなかったが、組合に登録してあって、六級の組合員だったので、そう困る事もなかった。

しかしもはや大きな儲けをしようなどという覇気や夢もなく、ただその日暮らしをしていたのだった。


そんなある日、イルズーコはいつもの安酒場で不思議な男から話しかけられた。


「お前がイルズーコか?」

「そうだが?」

「もう何十年もこの町で暮らしていると聞いたが本当か?」

「ああ、別にこの町に愛着があるって訳じゃないが、単に他の町へ行っても変わらないし、慣れたこの町の方がましだからただいるだけさ」

「ふむ、そんなお前に良い稼ぎ口があるんだが、やってみるか?」

「あん?良い稼ぎ口だって?」

「ああ、不定期だが一回につき、金貨1枚は儲けられる」

「金貨1枚だって!」

「ああ、そうだ」


イルズーコは現在大体一日銀貨5枚前後で暮らしていた。

それが金貨1枚となれば、20日分の稼ぎだ!

思わず飛びつきたくなる金額だったが、長年の苦労がそれを止めた。


「そりゃそんな儲け話は乗ってみたいが、危険な事や、犯罪関係ならごめんだぜ。

一応これでも六級の組合員なんだ。

下手な事をやって除名されたら仕事が出来なくなっちまう」

「大丈夫だ、そんな事はないと保証してやる。

危ない仕事でもないし、犯罪になる訳でもない。

簡単な仕事だ。

正直、お前以外の誰でもいいんだが、たまたまお前がこの町が長いという話を聞いて、話を持ちかけただけだ」

「一体何の仕事だ?」

「お前はロナバールや帝都へは行った事があるか?」

「そりゃ俺だって若い頃は都会に憧れてどっちにも一応行った事はあるがね」

「ならばもちろん組合の総本部や帝都支部の場所はわかるな?」

「ああ、もちろんだ」


イルズーコがうなずいて返事をすると男は仕事の話を始めた。


「仕事というのは簡単だ。

一つはこれからお前を不定期に訪ねて来る奴らがいる。

それは毎日来るかも知れないし、半年に一回しか来ないかも知れない。

その連中をある場所に案内する事。

その時にそいつらから金貨1枚をもらえる。

それと帝都かロナバールの組合掲示板に、半年かそこら毎に定期的にある張り紙をするだけ。

もっともこっちはお前の自費だがね。

その二つだけだ。

そしてやめたければいつこの仕事をやめても良い」


その話にイルズーコは驚いた。

道案内と張り紙を半年に一回するだけで、それだけの収入が得られるのならば御の字だ。


「何?それだけで一回金貨1枚をもらえるのか?」

「ああ、そうだ、間違いない」

「それならやらせてくれ!」

「ではまずは案内する場所を教えよう。

ああ、それとこれは契約の証にお前にあげよう」


そう言ってその男はイルズーコに金貨1枚をくれた。

あまりにもあっさりと金貨をもらったのでイルズーコは驚いた。


「いいのか?」

「ああ、その代わり仕事をしっかり頼むぞ」

「ああ、任せてくれ」

「ではこちらだ」


男はイルズーコを連れて町を出た。

そして何もない方向へとイルズーコを連れて行く。


「こちらには村も何もないはずだが」

「安心してついてこい」

「ああ」


しかし歩くに連れてイルズーコは少々不安になってきた。

何故この男はこんな何もない方へ自分を連れていくのだろうか?

ひょっとしてこいつは自分を人知れずな場所へ連れて行って身包みを剥ぐつもりなのではないだろうか?

しかしイルズーコは頭を振ってその自分の考えを否定した。

100歳を過ぎてその日暮らしな自分など、自慢ではないが身包みを剥いでも全部で大銀貨1枚にもならない。

奴隷として売りさばくにしても年を取りすぎて大した値段にはなるまい。

そんなイルズーコの不安を見抜いたかのように男が話しかけてくる。


「オクトバの町から3カルメルほどだから、あと1カルメルほどだな。

目印が何もないから方向を間違えるなよ」

「ああ、大丈夫だ」


そして国境である川を渡った。

この辺はもはやアムダール帝国の外のはずだ。

そしてその先にあった森を少々進むと、そこには立派な屋敷のような建物があった。

いや、それは屋敷というよりも小城か、砦のようだった。

どこかの川からか運河を掘って水を引いて来ていて、その建物の周囲には幅10メルはありそうな堀が掘られている。

イルズーコはこんな場所に何故こんな堅固な建物があるのかと驚いた。

そしてイルズーコは男と共にそこにかかった橋を渡ると、小城の中へ入っていく。

この小城というか、砦はまた頑丈そうで、それこそ戦でもあって攻められたとしても問題が無さそうなほどだ。


「ずいぶんと立派な建物だな。

こりゃ戦争で攻められても大丈夫そうな位だ」

「ああ、実際そういう前提でこの小型要塞は出来ている」

「小型要塞だって!

一体この場所は何なんだ!?」

「雲の旅団の根拠地の一つだ」


その男の説明を聞いてイルズーコは驚いた。


「雲の旅団だって!」

「おや、知っているのか?」

「ああ、名前と噂くらいはね」

「どんな噂だ?」

「何でも途方もなく強いが、仕事を滅多に引き受けず、引き受ける時はべらぼうな金額を要求する集団だって話だ。

しかも勝手にその名を名乗ると、人知れず殺されるって話だ!

あんた、その「雲の旅団」の一員なのか?」

「ああ、その通りだ。

私は「雲の旅団」の13号と言う。

ちなみにお前の聞いたその噂は大体合っているな。

但し、別に我々の名を名乗ったからとて、殺される事などない。

少なくとも我々にはな。

もっとも勝手に偽名を名乗れば、その名乗った相手にはどうされるか我々は知らぬがな」

「そりゃそうだ」

「どうした?我々の名を知って怖くなったか?

今だったら先ほどの金貨1枚を返せば仕事をやめても良いぞ?」

「いや・・・やらせてもらう」


確かにこれが本物の雲の旅団なら関係するのは少々怖かったが、人をここに案内するだけならば、危険はないだろう。

そう、それ以外の余計な事には首を突っ込まない事だ。

イルズーコはそう考えて仕事を引き受ける事にした。


「賢明だな」


男はそう言ってうなずくと小城の中を先へと進む。


「さあ、ここだ。

ここまで客を案内するのがお前の役目だ。

それ以外は別にしなくとも良い」

「おや、13号、そいつが案内係かい?」

「ああ、そうだ案内係りのイルズーコという」

「そうか、私は雲の旅団の15号だ。

よろしくな」

「へえ、よろしく」


よろしくと言っても相手は怪しげな灰色の頭巾と装束を被っていて、正体は知れない。


「掲示用の紙を作ってくれ」

「ああ、わかった」


少々待つと15号とやらが何枚かの紙を持ってくる。


「そら、さし当たってはこんなもんで良いだろう」

「ああ、ありがとう。

では案内はここまでとして、次は掲示板の方の説明をしよう。

ロナバールへ行くぞ」

「え?これからですかい?」


イルズーコは驚いた。


「ああ、今すぐだ」


13号は外に出ると航空輸送魔法を唱え、イルズーコと一緒にロナバールへと向かう。

馬車で行けばオクトバからロナバールまでは10日ほどかかるはずだが、イルズーコたちは1時間もかからず到着した。


(こいつは相当腕の良い魔道士のようだ。

いや、ひょっとしたら魔法学士かも知れんな)


イルズーコは13号をそう値踏みした。

もっとも雲の旅団というのは噂で聞いた限りでは相当強い連中と聞いている。

その一員となればその程度の実力はあっても不思議はないかも知れない。

13号は先ほどの掲示用の紙を取り出すと、それをイルズーコに渡す。


「さあ、これを掲示窓口に持っていって、半年ほど掲示するように手続きをしてこい。

最初の掲示料だけは出してやるが、次からはお前の自費だぞ」

「へい」


そう言って13号はイルズーコに大銀貨6枚を渡す。

組合の掲示板の使用料金はその面積と期間で決まる。

この紙の大きさだと一ヶ月が大銀貨1枚のようだ。

イルズーコは窓口に行ってその紙を貼ってもらった。

それにはこう書いてあった。


”雲の旅団に用事がある者はオクトバの町に住んでいるイルズーコという男を探せ

その男に金貨1枚を支払えば、雲の旅団の秘密要塞へ案内してもらえる”


張られた紙を見てイルズーコは思った。


(なるほど、これを見た連中がオクトバの町へ来て俺が案内するという訳か?)


「よし、用事は終わった。

これでオクトバへ帰るぞ」

「へい、しかし13号の旦那、この紙には俺の探し方が書いてないんですが、それでいいんですかい?」

「構わぬ、その程度の事が出来ない連中の仕事など我々は引き受けない」

「はあ・・」


何とも上から目線な連中だとは思ったイルズーコだったが、雇われている身としては何とも言えない。

そして二人は再び航空魔法でオクトバの町へ戻ると、最後に13号がイルズーコに忠告をする。


「では話した通り、案内はお前に任せる。

半年後にあの掲示板を継続しないと、案内の仕事が出来なくなるから注意をしろよ。

その時にロナバールに行く金がなくとも我々は融通したりはしないからな」

「へい、わかりました」

「ではさらばだ。

おそらく私とお前が会う事はもうないだろう」


そう言うと13号は去って行った。


 次の日からイルズーコの生活は変わった!

案内をするのはまだ当分先の事だろうと思っていたのに、夜にいつもの安酒場で飲んでいたイルズーコに、早くも話しかけて来た者がいたのだ!


(やれやれ俺も貧乏性かな?

せっかく金貨1枚があるのだから今日くらいはもう少し高い酒場に行っても良かったな)


そんな事を考えながら安酒を飲んでいたイルズーコに見ず知らずの男が話しかけてくる。


「おい、イルズーコというのはあんたか?」

「あ?そうだが?」

「金貨1枚で雲の旅団の場所へ案内するってのは本当か?」


それを聞いたイルズーコは来るべき物が来たと思って答えた。


「ああ、本当だ。

しかし今日はもう遅いし、俺も酒が入っちまってる。

案内は明日にしてくれないか?」

「わかった」


翌日、その男を雲の旅団の要塞まで案内してイルズーコは金貨1枚をもらった。


(やった!こんな事だけで金貨1枚をもらえるとは!)


イルズーコはこれほどうまい儲け話をもらって大喜びだった。

それからも案内は2週に一度位は入ったし、多い時などは三日連続の時まであった。

半年経つと掲示板の更新のためにイルズーコはロナバールへ向かった。

無事に掲示板の更新は出来てイルズーコは案内の仕事を続けた。

しかしその回数は段々と減っていた。

イルズーコは少々不安になって来た。

そしてある偶然の切っ掛けでイルズーコは飛んでもない事を知った。

それはイルズーコがある酒場で飲んでいる時に近くである会話が聞こえたのだ。


「おい、チケコーセと言うのはお前か?」

「ああ、そうだよ」

「お前が金貨1枚で雲の旅団に案内するというのは本当か?」

「ああ、だが今日はもう夜も遅いし、俺は酒も入っちまっている。

案内は明日にしてくれ」

「わかった、では明日の朝、この酒場の前で待っていればいいか?」

「ああ、それでいいさ」


その聞いた事のある会話にイルズーコは驚いた!

自分以外にあそこへ案内している奴がいたとは!

思わずここで問い詰めてやろうかと思ったイルズーコだったが、明日の朝を待つ事にした。

果たして翌朝に酒場の前で待っていると、案内を頼んだ男とチケコーセという男がやって来た。


「では案内を頼む」


そう言って男は金貨1枚をチケコーセに渡した。


「ああ、任せておけ」


イルズーコが二人の後をつけていくと、チケコーセはまさにいつもイルズーコが案内している通りに、その男を雲の旅団の要塞へと案内していた。

イルズーコはチケコーセが要塞から出てくるのを待って、帰り道に問い詰めた。


「やいやい!てめえ、何だって俺の仕事を勝手に取ってやがるんだ!」

「あ?何の事だ?」

「とぼけんな!最近仕事が減ってきたと思っていたら、てめえの仕業だったのか!」

「何を言ってるんだ?お前?」

「雲の旅団の客の案内をするのは俺の仕事だって言ってるんだよ!」

「何!お前が案内をしていたのか!」

「当然だ!」

「畜生!最近案内の仕事が減ったと思ったら、テメエのせいだったのか!」

「それはこっちのセリフよ!

こっちは雲の旅団の13号の旦那に直接仕事をもらってやってるんだ!

それを横取りしやがって!」

「は?何を言ってやがる!

俺は雲の旅団の17号さんに正式に契約して仕事をもらっているんだ!

勝手にやっているお前とは訳が違うぞ!」

「え?」

「あ?」

「17号?」

「13号って・・?」


お互いに何か誤解をしていると知った二人が話し合う。


「・・・ちょっと中に入って聞いてみるか?」

「そうだな」


要塞の中へ入ると、そこには受付担当の団員がいて頭巾には18と書かれていた。


「あの、すまんが俺は雲の旅団の案内役のイルズーコだが」

「俺はチケコーセだが・・・」

「おや?二人ともどうしましたか?」

「こいつもここの案内役なんですかい?18号さん」

「そうですよ」

「ではこいつも?」

「ええ、そうです。

イルズーコさんもチケコーセさんも、うちの案内役で雇ったはずですが、それが何か?」

「いや、最近案内の客が少ないんで、俺はこいつが勝手に案内をしているのかと思って」

「俺もこいつが勝手にしているんだと思って」

「いえ、二人とも間違いなく、うちで正式に雇った案内人ですよ。

最近案内するお客が少ないのは、単純にうちが法外な金額を取るという話が広まったからでしょう」

「そんな・・・」

「・・・そうだったのか」


二人は愕然とし、オクトバの町へと戻ったのだった。


当小説を面白いと思った方は、ブックマーク、高評価、いいね、などをお願いします!

ブックマーク、高評価、いいねをしていただくと、作者もやる気が出てきますので是非お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ