0590 ハーベイ村名誉村長
俺たちへの拍手が小さくなって終わると、再びゾンデルが話し始める。
「それでは次にもう一人、ハーベイ村の大恩人と言うべき御方を紹介させていただきたいと思います。
前の御二方もそうですが、この御方がいらっしゃらなければ、現在のハーベイ村は無かったと言っても過言ではありません!
それは前ハーベイ村村長の御息女ミルキィ様です!
ミルキィ様は怠惰で無謀な生活をしていた私たちを叱咤し、目を覚まさせてくれた恩人であり、まさに我々にとっては聖女とも言えるお方です!
村民一同、それを感謝してミルキィ様にはハーベイ村名誉村長の称号をお送りしたいと思います!
ミルキィ様、どうぞこちらまでいらしてください」
俺たちは前日にこの話を聞いていた。
ゾンデルたちから是非ミルキィを名誉村長にしたいので、本人と母親であるミルファ、そして主人である俺の許可が欲しいと頼み込まれたのだ。
俺とミルファは別に問題ないと思ったのだが、ミルキィが渋った。
すでに族長であった父は亡くなり、自分も村を去った身で名誉村長になるなどおこがましいし、恐れ多いと。
しかしゾンデルたちはあのミルキィの演説がなければ未だに村はあのままだっただろうし、近い将来破滅するのは間違いなかった、それを救ったのはミルキィだと説得されて、俺もそれに賛成してミルキィも渋々と納得した。
そして今回の式典に合わせて、ミルキィは白狼族の祭事の衣装である白い巫女服のような物を着て待機していた。
ちなみに俺やエレノアたちも今回はそれぞれ貴族とその家臣らしい服装をしている。
そしてゾンデルの言葉に巫女服姿のミルキィが前へ進み出ると、観衆からも感嘆の声が聞こえる。
「おお・・・あれが・・」
「美しい・・」
「聖女と言うのもわかる」
うん、ミルキィは元々美人だし、清楚で素敵だからね!
みんなが見とれるもの無理は無い。
でもミルキィは俺の物だからね!
誰にも渡さないよ!
そしてミルキィが目の前に来ると、ゾンデルが改めて感謝の言葉を述べる。
「ミルキィ様、あの時は私たちを叱咤し、愚かだった我々の眼を覚まさせていただきありがとうございました。
村民一同感謝をしております。
おかげでここまでのこの村の発展がありました」
「いいえ、私は自分の思う事をしたまでです。
それがこの村の発展に繋がったのであれば、こんなに嬉しい事はありません」
「ありがとうございます。
我々はここでミルキィ様に名誉村長の称号をお送りさせていただきたいと思います。
どうかお受け取りください」
そう言ってゾンデルはそばに控えていた女性が持っていた、何やら杓杖のような物をミルキィに渡す。
どうやらそれが名誉村長の証のようだ。
ミルキィはそれを恭しく受け取る。
「ありがとうございます。
私もこれからのハーベイ村の発展をお祈りしております」
そしてゾンデルが再び観衆に向けて話し始める。
「さて、皆様ここでお知らせしたい事がございます!
実は我らが名誉村長ミルキィ様を記念して製作した物がございます!
ただいまからそれの除幕式をさせていただきます!
皆様、どうぞあちらを御覧ください!」
そう言ってゾンデルは村の広場の中央にあった白い布を被せてある塔のような物に注目する。
それは俺も今回村に来た時から少々気になっていたのだが、中身を見せてもらえなかった。
どうやらいよいよそれをお披露目するようだ。
「この像はこれからこのハーベイ村の守り神として、また愚かな我々に対する戒めとしてここに鎮座する事となります!
それでは除幕してください!」
ゾンデルの言葉と共に、その塔のような物に被せてあった白い布がススス・・・と厳かに取り除かれる。
そこに出てきたのは何とミルキィ等身大の銅像だった!
2メートルほどの高さの台座の上にミルキィが立っていた。
今のミルキィの巫女服と同じ格好をして、凛とした感じのミルキィが右手には剣を、左手には天秤を持って吊り下げている。
その天秤の左右の皿には何か乗っているようだ。
「おお~・・・」
「あれは・・・」
そして銅像の説明をゾンデルが始める。
「これは一年前に我々を叱咤した時のミルキィ様をイメージした銅像でございます!
右手には戒めのための剣を、そして左手には御覧の通り、天秤を持ち、その左右の皿にはそれぞれ金貨とドングリが乗っております。
ミルキィ様はあの時に我々に対して金貨を取るか、ドングリを取るかを迫られました。
それはすなわち贅沢で怠惰な生活を送るか、それとも清貧であっても誇り高き道を進むかという判断を迫った時でした!
我々はドングリを選び、そのおかげで今のこの村の繁栄があります。
そしてその事を気づかせてくれたミルキィ様を記念してこの銅像を製作いたしました!
また、台座にはその時の経緯と状況を説明して彫り込んでございます!
この銅像はこの村が繁栄している限り、ここで我々を見守ってくれる事でしょう!
そして我々は今ではほとんどドングリを食べなくなりましたが、これからも年に一度のこの祭りの日には必ず村民はドングリ焼きを食べて、村の将来を考える事を誓う事にしております。
本日の屋台にはドングリ焼きの屋台は無料で出ておりますので、是非、皆様も我々がかつて味わっていたドングリ焼きを食べてみてください。
但し!まずいですよぉ~」
最後の一言を笑って話すゾンデルに観客たちもドッと笑った。
そして銅像の除幕式が終わると、そそくさとミルキィは俺たちの場所へと戻ってきた。
俺は笑顔でミルキィに話した。
「良かったじゃないか?ミルキィ」
「でも、あんなの恥ずかしいです!
これからアレがずっとあそこにあるなんて・・・」
「いいじゃないか!
それだけミルキィの言葉が村の人たちに響いたって事さ」
俺がそう言うと、エレノアも賛同する。
「そうですね。
ミルキィの存在がいかにこの村の人たちの心の支えになっていたかがわかります」
「それは嬉しいですが・・・」
俺たちがそんな話をしている間にゾンデルは話を進める。
「さて、ここで言うなればハーベイ村の4人目の恩人を紹介させていただきましょう!
それはこの方です!」
ゾンデルがそう言うと、今度は若いドワーフが進み出て来た。
いよいよ俺も楽しみにしていたアレのお披露目だ!
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