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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0059 ボールドウィン夫妻とエレノアの立場

 アルヌさんが連れてきた二人を俺たちに紹介する。


「こちらは最近まで某資産家の所で家令をしていた人で、アルフレッドさんと、その妻のキンバリー夫人です。

勤めていた家の御主人が亡くなって、跡継ぎもいないので、どこか良い働き場所をと希望していたので、ここにお連れした訳です」

「もうし訳ありませんでした。

奴隷商館の仕事でもないのに・・・」


俺は奴隷でも構わないといっていたのだが、アルヌさんはもっと良い心当たりがあると言って、探してくれていたのだ。


「いえいえ、御二人には色々と御縁がありますからね。

これ位はどうという事はありません」


俺たちの前に立った二人が自己紹介をする。


「アルフレッド・ボールドウィンと申します」

「妻のキンバリー・ボールドウィンです」

「初めまして、シノブ・ホウジョウです」

「よろしくお願いします」


そう言って二人が頭を下げる。

一見した感じでは、二人ともかなり誠実そうな印象を受ける。

アルヌさんが二人の説明をしてくれる。


「この人たちは頼まれた通り、家令や執事など、家の事には最適です」

「え~と?私はそういうのにうといんだけど、家令と執事って、どう違うの?」


俺の質問にアルフレッドさんが答える。


「家令は使用人全てを統括する者で、御主人様の留守中などに家を守ります。

 執事はどちらかと言うと、御主人様の個人的な側付きのような者で、大抵は一緒に行動します。

 ですが、厳密な境は無く、家令が執事の仕事をしたり、執事が家令を兼ねる場合も多々ございます。

 ただ一般的には家令の方が格上とされております」

「それでキンバリーさんの方は?」


俺の質問にボールドウィン夫人が答える。


「私は以前の御屋敷では、家政婦長をさせていただいておりました」

「家政婦長?」


俺の質問にアルヌさんが答える。


「大抵は女性の使用人を統括する者ですね。

 場合によっては女官長とも言います」

「なるほど、それで失礼ですが、御二人は今までどれほどで、雇われていたのですか?」

「私は部屋住まい食事付で月に3万ザイです」

「私も同じく、月に2万5千ザイです」


ふむ、二人合わせて月に金貨5枚半、食費も入れれば、おそらく6枚程度の支出という事か。

まあ、妥当なのではないだろうか?

いや、むしろ安すぎないだろうか?

それとも住居費と食費もこちら持ちだからやはり妥当なのだろうか?

う~ん、わからない・・・家の全てを担ってもらうのに、この金額は安い気がするが、俺はこの世界の就労事情も、まだよくはわからないので、当面の間はその金額でやってもらう事にした。


「ではうちでも同じだけを出しましょう。

それでよろしいですか?」

「こちらは以前お世話になった家よりも規模も小さいですし、それほどいただいては、いただきすぎかと・・」

「私もそう思います」

「いえ、御二人には色々としていただきたい事もあるでしょうから、それ位はお支払いさせていただきたいと思います。

いかがでしょうか?」


俺の質問に二人が顔を見合わせるとうなずく。


「こちらとしては異存はございません」


アルフレッドさんの答えに、キンバリーさんも無言でうなずく。


「それでは、お二人にはとりあえず、それぞれ家令と家政婦長をしていただきましょう」

「かしこまりました。

それでこちらの方は?」


そう言ってアルフレッドさんがエレノアを見ながら質問する。


「え?ああ、エレノアは・・・その・・・奴隷だけど・・・」


エレノアは奴隷だけど、俺の教師でもある。

それに正直言って、俺はエレノアの事を奴隷だなんて欠片も思っていない。

この世界の世間一般に合わせて、仕方なく名称を「奴隷」としているだけだ。


「なるほど、こちらの方がエレノアさんですね?

バーゼル子爵様から伺っております。

シノブ様が大変お気に入りだとか?」

「ええ、ええ、本当に大変気品があって、教養豊かな様子の方です事!」


どうやら二人ともエレノアの事が気に入った様子だ。


「恐れ入ります。

シノブ様の奴隷のエレノアです。

よろしくお願いいたします」


エレノアも頭を下げて、優雅に挨拶をする。


「ええ、そうですね。

彼女はとても優秀なんです」


俺がエレノアの扱いをどうしようかと曖昧な答えをしていると、家令となったアルフレッドさんがズバリと切り込んでくる。


「それで発令順位としてはいかがいたしますか?」

「発令順位?」

「はい、家人としての順位です。

シノブ様に家人の順位を決めていただきませんと」

「順位ですか・・」


確かにそれは当然だろう。

俺がいない時や、何かの時に誰の言葉を最優先するかは重要だ。

順位としては普通に考えれば、家令や執事が一番上なのだろう。

しかし、俺としてはエレノアを一番にしたい。

エレノアの知識、経験、判断力からしてもそれは間違っていないと思う。

だが、エレノアを家令や家政婦長にするのも変な気がする。

考え込んでいる俺にアルヌさんが助け舟を出してくれる。


「現在のこちらでのエレノアさんのお役目はどういった事でしょう?」

「えーと、その・・・全部ですね」

「全部?」

「はい、この屋敷の掃除洗濯炊事、私の身の回りの世話から、客の対応、取次ぎ、それと私の教育係も兼ねています。

あと迷宮に行く場合の仲間ですね」


こうして実際に口にしてみると、エレノアは本当に凄い。

今俺が言った仕事を全て淡々とこなしているのだ。

そして今言った以外に、もちろん俺の夜のお相手もだ。

俺の説明に対して、アルフレッドさんが考えながら答える。


「ふむ、そうなりますと、掃除洗濯炊事と身の回りの世話は、今後家政婦長であります、キンバリーがするとして、客の対応と取次ぎ、護衛などは私がする事になりますので、御主人様の教育係という事でよろしいでしょうか?」

「護衛?アルフレッドさんは格闘なども出来るのですか?」

「憚りながら多少は嗜んでおります」

「なるほど、でも護衛はエレノアもしてくれるし・・・あ、それと私の身の回りの世話はエレノアにさせてください」


ボールドウィン夫人が嫌いという訳ではないが、俺の身の回りの事はエレノアに頼みたい。


「では、教育係兼専属メイド兼護衛という事ですね?」


専属メイド・・・何かいい響きだ・・・しかし今はそれどころではない。

我が家でのエレノアの役職を考えなければならないのだ。


「う~ん・・・」


確かに仕事的にはアルフレッドさんの言った通りなのだが、何か違う気がする。

エレノアはもっとこう・・・それ以上の何か・・・そう、家令や家政婦長どころか、主人である俺よりも上位であっても構わないくらいなのだ。


「ちなみに家令の上って何がありますか?」


俺の質問にアルフレッドさんが答える。


「家令は全ての使用人を束ねる者なので、その上は、普通主人しか考えられませんが?」


やはり、そうか・・・しかしエレノアを家令にするのも変な気がする。

何かが違う・・・

そしてただのメイドや教育係でもない・・・どうするべきか?

俺は色々と名称を考えてみる。

家令、執事、側近、補佐官、侍従長、女中頭、教育係、副官、用心棒、師範、先生、助役、軍師、家老、老中、側用人、執政、参政、執権、連署、家宰、宿老、長老、奉行、与力、専務、常務、部長、課長、御侍史・・・

自分で知っている、それっぽい役職や単語を片っ端から考えるが、どれもエレノアにはふさわしくない気がする。

あとは・・・相談役とか顧問・・・か?

しかしそれも何か変だ。

あ~もう、いっその事、女王様とか女神様とか言う役職にでもしちゃおうか?

俺に取っちゃ、エレノアはそんなようなもんなんだしね。

俺がやけになって考え込んでいると、再びアルヌさんが助言をしてくれる。


秘書監ひしょかんでどうでしょう?」

「ヒショカン?」

「ええ、エレノアさんの場合、シノブさんの身の回りの世話と教育、護衛などを兼ねている訳です。

いわゆる秘書的な仕事ですよね?

家の全般的な事はこちらの二人に任せて、エレノアさんはこれからシノブさんの個人的な事や対外的な事、そしておそらくは外交・政治なども関わる事になるでしょう。

奴隷や護衛も増えるでしょうし、執事的な仕事もこなし、それらを全て束ね、首席秘書として総括し、監督するための役職、すなわち秘書監督で秘書監という訳です」

「なるほど・・・秘書監ですか・・・うん、それいいですね」

「私にも異存はございません」


エレノアもそれで問題はないようだ。


「では、これからエレノアのここでの役職は秘書監という事で、それとあの・・・アルフレッドさんには悪いんだけど・・・」

「秘書監であるエレノア様の方が、家令である私より発令権が上という事でございますね?」

「うん、その・・・家令であるアルフレッドさんを奴隷の下にして悪いんだけど・・・」


多分、普通の家人が奴隷より下ってないよね?

二人とも気を悪くしないかな?


「いえいえ、御気になさらないでください。

子爵様からお話は伺っておりましたが、エレノア様は大変気品がある上に、教養もあるお方、知識も広範で深く、魔道にも長けていらっしゃると伺っております。

奴隷といえども問題は全くございません」

「うん、悪いけど・・・」


俺が申し訳なさそうに言うと、キンバリーさんも賛同してくれる。


「大丈夫でございます。

奴隷で家令や執事になっている方や、御主人様の教育係になった方は過去にもたくさんいらっしゃいます。

ましてやエレノア様のような教養ある方が家令よりも上に来るのは当然と言えましょう。

私も主人も全く問題はございませんので、お気兼ねなさいませんように」

「うん、それじゃよろしく」


どうやら本当に問題はないようなので、俺も一安心だ。

アルフレッドさんが改めてエレノアに挨拶をする。


「承知いたしました。

それではエレノア様、今後この家の家令として勤めさせていただきますので、よろしくお願いいたします」

「エレノア様はやめてください。

私もあなた方同様、シノブ様に御仕えする身ですから」

「承知いたしました。

それではそのような呼び方はいずれという事で、しばらくはエレノアさんとお呼びさせていただきます」

「いずれ?」


俺がそのアルフレッドさんの言葉を不思議に思うと、キンバリーさんが答える。


「いえいえ、お気になさらないでください。

主人の悪い癖なんでございますよ?ホホホ・・・」

「???」


エレノアと俺は意味がわからなかったが、とにもかくにも、これで俺の家の体制は整った。


発令順位1位 秘書監ひしょかん  エレノア

発令順位2位 家 令かれい  アルフレッド

発令順位3位 家政婦長かせいふちょう キンバリー だ。


今後、人も増えていくだろうが、さしあたりはこれで良いだろう。

話がまとまったのを確認すると、アルヌさんが辞去の挨拶をする。


「では無事エレノアさんの立場も決まったようですので、私はこれで」

「はい、今回はありがとうございました。

近いうちにまたそちらへ伺うと思いますので、よろしくお願いいたします」

「ええ、お待ちしておりますよ」


アルヌさんが帰ると、俺は二人に改めて挨拶をする。


「それでは改めてお願いいたします。

アルフレッドさん、キンバリーさん」

「今日からシノブ様は我々の御主人様なのですから、使用人にそのような呼び方はお止めください。

本日はこれでお暇するとして、明日には引っ越してきてお世話になろうと思います」


その言葉に俺もうなずいて挨拶を返す。


「わかった、ではアルフレッド、キンバリー、明日からよろしく頼む」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

「ところで、さっきのいずれというのはどういった意味なの?」


俺の質問にキンバリーが笑いながら答える。


「ああ、あれはもっとエレノアさんにふさわしい呼び方があるのですが、それはいずれという事ですよ」

「ふさわしい?」

「ええ、女性で御主人様と同格で、家令より上といえば、もっとも単純な呼び方です」


そんな物があったのか?

不思議に思った俺は思わずキンバリーに聞いた。


「え?そんな役職があるのですか?

それはなんですか?」

「簡単です「奥様」ですよ」


俺とエレノアは顔を見合わせた。

それは確かに気を回しすぎだ!


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