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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0053 グレイモン伯爵

 グレイモン伯爵の屋敷は、さすが伯爵というだけあって、凄い門構えの屋敷だ。

俺の買った屋敷も凄いが、この屋敷はその2倍、庭は3倍もありそうな大きさだ。

門をくぐり、中へ通されると、そのまま大広間に案内される。

そこには両側にズラリと傭兵のような男たちが並んでいた。

そしてその玉座のような場所にその男はいた。


「御久しぶりですね、伯爵」

「そうだな、エレノア、お前は相変わらず美しい」


エレノアに挨拶された男は無表情に返事を返す。

これがグレイモン伯爵か・・・年は30歳前後、長身銀髪ストレートの長髪で、中々のイケメンだ。

若い割には威厳もあって、頭も切れそうだ。

声もどこぞの仮面を被ったニュータイプのようで結構渋い。

しかしこいつが俺とエレノアに余計なちょっかいを出しているかと思うと、もちろん好きにはなれない。

挨拶をして向き合うと、エレノアはいきなり話を切り出す。


「単刀直入に申します。

もう私とその関係者に手を出すのはやめてください」

「馬鹿め!

あの奴隷商館にいる間は手出しできなかったが、この屋敷に来て無事に帰れると思うのか?

のこのこと自らここへきたのが運のつきだ!

お前はもうここで永久に私と暮らすのだ!」


俺はその言葉を聞いて驚いた。

おいおい!凄いな?

最初からエレノアが来たら、その場で拉致監禁して、もう帰す気はなかったって事か?


「そのようなわがままが通るとでも?」


エレノアの質問にグレイモン伯爵は得意げに笑いながら答える。


「当たり前だ!

この状況で、お前とその小僧がどうしようと言うのだ?」


そう言って、グレイモンは両手を広げて、大広間にいる傭兵たちをぐるりと見渡す。

しかしそんなグレイモンにエレノアは凛とした声で言い返す。


「いいえ、私はここに自分の意志で来ましたし、帰る時は好きに帰ります」

「そんな事ができるとでも思っているのか?」

「ええ、簡単ですとも」

「馬鹿め!ではそうしてみるがいい!」

「そうですか?では帰らせていただきます」

「エレノア?」


用事はこれで良いのだろうか?

俺が不思議に思って、エレノアに声をかけると、エレノアは俺に説明をする。


「御主人様、少々お待ちください。

今から私がこの大きな駄々っ子に御仕置きをいたしますから。

ただ少々下がっていて、御主人様にも被害が及ぶ場合は、遠慮なく相手を叩き潰してください」


なるほど、そういう訳か。

エレノアもこうなる事はわかってきた訳だ。

そしてとりあえずは、一度わからせるために、相手を叩きのめそうと云う事か。


「わかった」


俺は言われた通り、部屋の隅に下がる。

足手まといとまでは言わないが、俺はエレノアの邪魔をしない方が良いだろう。


「かかれ!ただしエレノアには傷一つつけるなよ!」


グレイモンの命令と共に部屋にいた傭兵たちは一斉に俺とエレノアに襲い掛かる。

そのほとんどはエレノアを目標にしている。

しかしエレノアは当然の事として、俺も今やレベルは200以上だ。

二人ともその辺の傭兵ごときに敵う相手ではない。

襲い掛かってくる傭兵達は、片端からエレノアに叩きのめされて倒される。

部屋の隅にいた俺にも何人かの傭兵が襲い掛かってくるが、俺は適当にいなして、エレノアの方に、ふっとばす。

俺は基本的に防御に徹して、攻撃はエレノアに任せた。

伯爵にエレノアの恐ろしさを思い知らせるためだ。

そして50人ほどもいた傭兵たちを、エレノアはあっさりと3分ほどで片付ける。

広間で倒れ呻いている傭兵たちに、エレノアが凛とした声で言い放つ。


「さあ、どうしました?もうかかってはこないのですか?

言っておきますが、今までのはほんの撫でた程度です。

今からかかって来る人は命をかけるつもりで来なさい!」


そういうとエレノアは爆炎の呪文を唱える。


「フェブラ・ボンバルディー!」


その炎は俺たちの入ってきた方向の扉を一瞬で焼き尽くし、その周囲の壁をも焦がし、一部は石が溶けたほどだった。

これを見た傭兵たちは震え上がり、逃げ出した。


「じょ、冗談じゃねえ!」

「命あってのものだねだ、俺はやめるぜ!」

「俺もだ!こんな化け物が相手とは聞いていねえ!」


50人からいた傭兵たちは一人残らず逃げ去ってしまった。

たかだかエルフ一人と子供一人を相手にするには十分だと考えていた兵力を、あっさりと潰されて伯爵も驚きを隠せない。


「ぬう~~、何と言う事だ・・・

50人以上もいた傭兵が三分も持たないだと?

このエルフは化け物か?」


考えてみれば、伯爵はエレノアのために日参したと言っても、まさかエレノアがレベル681だとは知らなかったのだろう。

エレノアは自分からは言わないだろうし、俺だって鑑定能力が無ければ知らなかったと思う。

伯爵はその美しさだけに惹かれて、その人物がこれほどの戦闘力を有しているとは夢にも思わなかったに違いない。

だから自分の屋敷にさえ来させれば、あとはどうにでもなると軽く考えていたのは想像に難くない。

さあ、次はどうするのか?

身構える俺たちに対して伯爵が叫ぶ。


「男爵!出番だぞ!」

「やれやれ、やっと我輩の出番か?」


そう言って隣の部屋から出て来たのは、見覚えのある真っ赤な人だった。


「男爵仮面?」


俺の声に相手も意外そうに話す。


「おや?あの時の少年か?」

「なぜあなたがここに?」

「うむ、少年の姿をした悪漢がここに伯爵を襲いに来ると聞いてな。

まさか少年とは思わなかったが、これも運命、覚悟するがいい!」

「いや、ちょっと待ってください!」


俺は男爵仮面に止まるように声をかけるが、相手は止まらない。


「問答無用!」


そう言って、男爵仮面は俺たちに襲い掛かってくる。

これは参った!

この人とは戦いたくはないが、こうなっては仕方がない。

しかしなまじ相手のレベルが高いだけに手加減が難しい。

しかも鑑定してみるとレベルが90だ!

この前見た時よりも上がっている。

さすが正義の味方だ。

自らの研鑚を怠ってないなあ・・・しかしどうしよう?

困っている俺にエレノアが声をかけてくる。


「私が何とかしましょうか?」

「頼む、エレノア!なるべく穏便にね」

「承知いたしました」


エレノアが呪文を唱えると、突然、その辺から緑色の蔓のような物が出現して、男爵仮面の全身に絡み始める。

その蔓がギッチリと男爵仮面の手足を拘束して動きが止まる。

どうやらこれは使役物体魔法の一種で、相手を拘束して身動きを取れなくする魔法のようだ。


「ぬぅっ!これは一体?」


動きを止められた男爵がもがくが、さすがにエレノアの魔法には勝てない。

蔓に拘束されて、止まっている男爵仮面に俺が説明をする。


「聞いてください!男爵仮面!

我々は伯爵を襲いに来た訳ではありません!

むしろその逆です」

「逆?どういう事だ?」

「伯爵が私たちに対して執拗な妨害をするので、それを止めるよう話に来たのです」

「なんと?それは真か?」

「はい」


俺の説明を聞いて、動かない体のままで男爵仮面が伯爵を詰問する。


「伯爵!どういう事だ?卿の話と違うではないか!

私は卿が子供の姿をした不届き者が今からうちにやってくる。

話をしても埒があかないので、もし来たら問答無用で追い払って欲しいと聞いた。

たまたま今日私が来たら、今からやって来ると言われたからここにいたのだぞ!

それなのに、これはどういう事だ?」


その問いに対して、男爵仮面を誤魔化すかと思いきや、伯爵は悪びれずに、あっさりと事実を認める。


「ちっ!ばれては仕方がない!

その通りだ、貴様を利用させてもらったのだが、とんだ結果に終わったようだな!

この役立たずめ!」


その言葉に男爵仮面が怒りの声を上げる。


「ぬう!なんと言う事だ!

貴公の評判は良くはないが、相談があると聞いて、知らぬ仲ではないので、いざ来て見ればこのような事になるとは!

この私を騙すとは不埒千万!

許せぬ!少年よ、頼む!

これを解いてくれ!」

「はい」


やはり、男爵仮面は伯爵に騙されていたようだ。

俺はホッとしてエレノアに合図すると、エレノアが魔法をとく。

あっという間に緑色の蔓は消失して、男爵仮面は自由に動けるようになる。

動けるようになった男爵仮面が、まずは俺たちに頭を下げると謝罪をする。


「すまぬ、少年よ、伯爵に騙されたとはいえ、今回は迷惑をかけてしまった。

このような無様な事をしてしまうとは私もまだまだのようだ。

誠に申し訳ない。

詫びはいずれする」

「いえ」


さすがは自ら正義の味方を名乗るだけあって、自分が間違っていたとわかると潔い。

俺が感心していると、さらに男爵仮面が声をかけてくる。


「ところで、この男には私も腹を立てておる。

必要とあらば、これから一緒に正義の成敗を手伝うが?」

「いえ、この場は我々だけで話しをさせてください。

今日の所は、どうかお引取りください」

「さようか?ではさらばだ、また会おう!」


そう言って男爵仮面は赤いマントを翻して去っていった。

広間から男爵仮面がいなくなると、エレノアが伯爵に叫ぶ。


「どうしました?

これで終わりですか?」


傭兵が逃げて、男爵仮面も去って、俺たち3人以外は誰もいなくなった広間で、淡々と質問するエレノアの声が響く。

これで伯爵もいよいよ打つ手なしか?

俺がそう思った時に笑ってグレイモンが答える。


「ふっ、誰がこれで終わりだと言った?」


グレイモンは自信満々だ。

どうやらまだ隠している物があるらしい。


「出でよ!ゴーレム!」


そう言ってグレイモンが懐から出したグラーノを投げると、そこに一体のゴーレムが現れる!

銀色の西洋の騎士のような格好で、いかにも強そうだ。

俺が鑑定をすると、レベルは何と230だ!

グレイモンが得意げにそのゴーレムの説明をする。


「ふははは、それは天下の名工バッカンが作った護衛用ジャベックだ!

 まさかこれを使うとは思わなかったが、さすがにお前たちではこれには勝てまい!

行け!ゴーレム!

その小僧を踏み潰し、そのエルフを捕まえろ!」


名工バッカン?

ひょっとしてこのジャベックって、ゴーレム街のあの人が作ったのか?

しかし名工って、あの人って、そんなに凄い人だったのか?

だが、誰が造ったにせよ、これは強そうだ。

なるほど、これがあったので、男爵仮面も帰したし、余裕もあったのか?

確かに今の俺では勝てそうにない。

しかしもちろん、エレノアは別だ。


「御主人様、危険ですから下がっていてください」

「うん」


素直に俺が下がるとエレノアは呪文を唱える。


「クヴィン・プロセント・フルモバート・アグレシー・・・」


その呪文の内容に俺は驚く。


「これは・・・!」


エレノアの唱えるこれは、電撃系の呪文で、しかもエレノアの全魔法力の5パーセントを消費するほどの呪文だ。

エレノアの魔法力は途方もない。

聞いた所によると250万以上あるそうだ。

その5%と言えば12万以上で、その魔法力を電撃に変えて攻撃をされたらたまらない。

何しろ雷撃の上位呪文ですら消費魔法力は15000程度なのだ。

その10倍近い魔法力を消費する雷撃となれば推して知るべしだ。

しかしエレノアはこのジャベックに勝つにはそれが必要と判断したのだろう。

俺は今までエレノアが1%以上の魔法を消費する呪文を使うのを見た事がない。

何しろ1%の魔法を使うことさえ稀で、大抵は最上位呪文か、あろう事か場合によっては、相手がレベル100の魔物でも、たったの1パーミルの魔法ですんでしまうのだ。

そのエレノアが5%も消費する魔法を使うとは、このジャベックはレベル230以上の実力があるに違いない。

おそらくそれを一撃で倒して、伯爵の意志を挫こうという心づもりなのだろう。

それを知った俺は慌ててもっと後ろに避難した。

そこらの柱の影に隠れて、黒い遮光眼鏡をかけて、柱にしがみつき、しっかりと対ショック対閃光防御だ。


「パーフォ!」


そしてついにその途方もない雷撃呪文をジャベックに向かってエレノアが放つ!

広間にバリバリと青白い光が充満し、遮光眼鏡をかけてすら目もくらむ閃光が出現する。

そのあまりの電撃の余波で、近くにいた俺やグレイモンの髪が逆立ったほどだ!

俺は吹っ飛ばされないようにしっかりと柱にしがみついた!


「うひぃ~!!」


さしものレベル230の高性能ジャベックも、この凄まじいエレノアの電撃一撃で四散し、跡形も無く消滅する。


凄まじい閃光が消え去った後に、何も無くなった事を知った伯爵が愕然とする。


「なっ・・・!馬鹿な!

このジャベックはレベル230だぞ?

 しかも実際の能力はレベル250の魔物にも匹敵すると聞いている・・・

それを一撃で倒すなど・・・信じられん!」


やはりそんなに能力が高いジャベックだったのか?

そりゃ自信満々になるのもわかる。

しかしそのすぐ近くにいたグレイモンも、俺以上に髪は凄い事になっていて、立派な服もバサバサになっている。

もう少しジャベックのそばにいたら間違いなく、一緒に黒焦げになっていた事だろう。

驚くグレイモンに再びエレノアが尋ねる。


「さあ、どうしました?

今度こそ終わりですか?」


そのエレノアの質問にグレイモンは唇をかみ締めて答えない。

どうやらさすがにもうこれ以上は種切れのようだ。


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