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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0467 その土地は誰の物?

 ある程度大アンジュの町の格好が整ってきたために、俺はミヒャエルたちに大アンジュの事を報告する事にした。

農地の事で色々と話しておきたい事があったからだ。


「そんな訳で、今度大森林の真ん中にちょっとした開拓地を作ったんだ。

これがうまくいけば、もうミヒャエルたちに農地を借りなくてもすむようになりそうだよ」


俺の説明にミヒャエルたちは感心したように答える。


「なるほど、あの大森林をのう」

「まったくシノブは大した物じゃのう・・・」

「ああ、相変わらず驚かしてくれるわい。

あんな魔物だらけの場所を開拓するとはのう」

「うん、でも結界を敷いたり、魔物退治の専用ジャベックを作ったりして、安全に暮らせるようにするから、そのうち移民も募ろうかと思うんだ」

「なるほど、しかしそうなると、ちと心配じゃのう」

「そうじゃな」

「うむ」


考え込む三人に俺が尋ねる。


「え?何?何か問題があるの?」

「領地の問題じゃよ」

「領地?」

「ああ、そこをシノブが開発して、御主とその仲間程度が住んでいるだけならば、さほど問題はない。

まあ、別宅に毛が生えたようなもんじゃな。

それは完全に御主の物で、何も問題はないじゃろう。

しかし不特定多数の住民が住むとなれば、それは完全に「町」じゃ。

それならばそれは誰かの領地となるじゃろう」

「領地・・・」

「さよう、そしてそれは登録、または宣言して認められた者の所有物になるのじゃ」


俺はその意味がわからなかったので尋ねる。


「え?それはどういう事?」

「つまり極端な話、そこをシノブが苦労して開拓したとする。

しかしそれを帝国のどこかの貴族が自分の領地だと宣言すれば、そこはその貴族の物になってしまうのじゃ」


それを聞いて俺は驚いた。


「ええっ?何で?!」

「そうなればシノブの作った物は、その領主に税として取られる事になってしまう」

「ええ?だって僕が最初に開拓したんだよ?

その土地って、僕の物にならないの?」


俺はあの場所が誰の物でもない事を確認したからこそ、開拓をしたのだ。

それが他人の物になってしまうのでは話が違う!

俺の質問にミヒャエルが顎をさすりながら答える。


「さて、そこが面倒な所じゃ。

帝国の法律では所有者のない土地は誰かが宣言して登録した者の所有になる事になっておる。

つまり、例え、そこに誰かが先に住んでいたとしても、それは単なる先住者というだけで、土地の所有者にはならんのじゃ」


その話を聞いて俺は驚いた。


「ええ~っ?そうなの?」

「うむ、その事で起こった諍いは限りがない。

今まではあそこは金剛杉が生い茂り、魔物の巣窟のような場所だった。

だから誰も所有など主張しなかった。

そんな物を持っていても何の役にも立たぬからな。

却って魔物を退治しろと上や下から要請が来て、困る事になるから所有などせぬ方が良い。

しかしそこに肥沃な土地が出来たとなれば話は違って来る。

もちろん誰かが主張したからと言って、それで即その者の土地になる訳ではないが、先住者や開拓者がいれば当然問題は起こる」


俺はアムダール帝国の法律は知らなかったが、そんな事になっていたのか!

しかしそれは困る!

せっかく自分が好きに出来る土地を作ったというのに他人の物になってはたまらない!

俺はミヒャエルたちに聞いた。


「どうすればいいのかな?」

「この場合は方法は2つしかない」

「2つ?」

「ああ、一つはそこで独立国を宣言する事」

「独立国?」

「ああ、国となれば、勝手に進入する訳にも、勝手に所有宣言をする訳にもいかぬからな。

但し、これには弊害がある」

「何?」

「国となれば、逆にどこかの国が攻めて来る事もある訳だ。

それに対して防衛をしなければならない」

「そうか・・・」

「しかも出来上がったばかりの小国など、周辺の国の良い餌じゃ。

必ず攻めて来るじゃろう」


なるほど、普通ならばその通りだろう。

しかし俺にはそんじょそこらの戦力では負けない自信がある。

俺は少々自慢げに話す。


「でもうちは多分ちょっとやそっとの戦力では勝てないと思うよ?」


うちには俺やエレノアを初め、シルビアにミルキィ、アンジュ、豪雷や疾風といった高レベルの面々がいるのだ。

しかもアメシスやオリオンたちを始めとした高レベルの魔法ジャベックも大量にいるのだ!

ちょっとやそっとの敵に負けるとは思わない。

そこでガスパールがうなずいて話をする。


「さて、そこが問題じゃ。

確かに御主の所には生え抜きの魔法戦闘員がおる。

そして高レベルのジャベックもな。

まず通常の戦力が攻め込んできたとしても負ける事はないじゃろう。

わしらもそれを知っておる。

しかし周辺の隣国がそれを知っていると思うか?」

「あ・・・」


そうだった。

それを知っている人間ならともかく、知らない人間にはポッと出来た近場の小国にしか見えないだろう。

そしてそんな国は格好の狩場だ。

小国でも強いという事がわからない間は、あちこちの国が攻めて来るだろう。

それに一々対応しなければならない。


「そう、周辺の国は出来上がったばかりの小国と侮り、攻めて来るじゃろう。

御主はそれを片端から撃破せねばなるまい。

もちろん御主の所の戦力は群を抜いているので、それは可能だろうが、鬱陶しい事はこの上ないじゃろう。

それを周辺国が理解するまで何度でも繰り返さなくてはならん。

一国が退けばここぞとばかりに他の国が攻め込んでくるじゃろうからな。

しかも外交でどうにかしようとしても、そのような出来立ての小国の言う事などは、はなから聞くまい。

相手は最初から実力で併合する気満々なのだからな」

「そうか・・・」


確かにミヒャエルの言う通りだ。

うちの戦力ならば大抵の敵は撃退可能だろうが、一々攻められては鬱陶しいし、たまらない。

しかもそれでは周辺諸国と年中戦争をしている不安定な国とみなされてしまうだろう。


「ではもう一つの方法は?」

「それはどこかの国に申告して、そこの国の領土として登録する事じゃな。

そうすればその国の庇護下となって、他の国は攻めにくくなる。

特にその国が大きく安定している国ほどな」

「なるほど、でもその場合は僕の土地はどうなるの?」

「登録した者はその土地の領主となり、その土地を治める事となる」

「それは僕がどこかの国の貴族になるって事?」

「そうじゃな」

「それ以外の方法は?」


俺の質問に三人が顔を見合わせた後でミヒャエルが答える。


「まあ、ないな。

仮に御主がその場所を独立国にもせず、どこかの国の領地とせず、単なる農地がある場所としたとしよう。

だが、御主は自分の土地で出来上がった農作物で取引などもしたいのじゃろう?」

「うん、そうだよ」

「ならば必ず他の町や国と貿易が生じる。

すると、その貿易をした町の所属している国は、どこにも所属しない単独で存在している町の存在を知る事になる。

御主がどう言おうと、そやつらに取っては完全にそこは「町」じゃ。

しかもそこは貿易で潤い、農業生産も高い町だ。

そんな場所であれば、誰でも欲しいと思うじゃろう。

そうなれば領地を少しでも増やしたい国や領主は遅かれ早かれ攻めて来るじゃろうし、それは必然的に戦争になり、その結果、独立するしか方法がなくなる。

まあ、歴史的にみれば、メディシナーやマジェストンなどがそうじゃな」

「そうか・・・」


メディシナーの話は十分に知っている。

あそこが独立自治を勝ち取るまでには、エレノアやメディシナー一族がどれほど苦労したかを俺は散々聞いているのだ。


「例外として魔人の里などがあるが、ああいった所は長年の行動の結果じゃからな。

これから作る場所では、早々にうまくは行くまい」

「なるほど・・・」


確かにアンジュの故郷である魔人の里は一つの村で国のような物を形成している。

しかしあれは周辺の国家が村人全員が魔道士級と知っているからだ。

それでもたまにどこかの国が侮って攻めて来る事があると聞いた。

ましてや新しく出来た町などよい標的だろう。


「ミヒャエルたちはどっちが良いと思う?」

「そうじゃな、やはりここはどこかの国の庇護下に入った方が面倒はないじゃろうな」

「ああ、国になってしまえば、法なども制定しなければならぬし、やる事が多すぎる。

それに先程も言った通り、こちらの戦力がわかるまでは何回でも攻めて来るじゃろう」

「こちらの戦力を話してもダメかな?」

「まあ、まず話だけでは信じないじゃろうな。

シノブの所の戦力は新興国家が持つ戦力ではない」

「そうじゃな、シノブの実力がわかるまではしつこく何度でも攻めて来るじゃろう。

しかも一国が引き下がれば、今度はここぞとばかりに別の国が攻めて来る。

相手の国が他国と戦って疲弊した時こそが好機な訳じゃからな。

その繰り返しになるじゃろうな」

「ああ、それに対抗するには方法は一つしかない。

じゃがシノブはその方法は望まないじゃろうしな」

「どういう方法?」


俺もほぼその答えはわかっているが、一応その方法を聞いてみた。

俺のその質問にガスパールが端的に答える。


「逆にその相手を殲滅する事じゃよ」

「・・・」


やはりそれか・・・?

俺が黙っていると、ガスパールがさらに説明をする。


「相手を完膚なきまでに叩きのめす事じゃ。

それこそ国家を再建不可能なほどにな」


確かにそうすれば攻められる事はなくなる。

しかしそこまではしたくない。

俺はかつて「雲の旅団」の名でラーガン伯爵領の軍需物資を洗いざらい奪い取ったが、あれは物資を奪っただけで、他の被害は伯爵領にはほとんどなかった。

民衆の家屋は破壊しなかったし、兵の死者も可能な限り、少なくした。

もっともその分、相手を損耗させるために怪我人は多くしたが・・・

しかしあれは一領地だったから出来た事だ。

一国を相手にするとなれば、今度は事情が違う。

1回や2回、敵軍を潰しても、即座にまた国の別の領内から軍需物資を集めて攻めて来るだろう。

流石に各所に散らばっている一国の軍需物資を全て奪い取るのは不可能だ。

しかも相手は小さな新興国に負けたとあっては沽券に関わるし、他の周辺国に対する面子もあるだろうからしつこく攻めて来る可能性は高い。

相手が講和に応じれば良いが、そうでなければ相手を潰すまで延々と戦い続けなければならない。

それこそ百年戦争だ!

相手が講和を受けず、それを回避するには相手を問答無用で叩き潰さなければならない。

それはこちらから相手に攻め込むと言う事だ。

防衛一方では甘く見られ、相手の国力が回復するたびに攻め込まれるだろう。

それを防ぐためには、逆にこちらから攻め込むしかない。

しかもガスパールの言う通りにするならば、今度は一般人民に至るまで徹底的に思い知らさなければならないのだ。

建物を破壊し、農地を荒らし、人民を虐殺し、こちらに刃向かう気を物理的にも精神的にも無くさなければならない。

そこまで考えて俺はうんざりした。


「・・・それは・・・確かにしたくないな・・・」

「うむ、その点、領地ならば極端な話、その国の王に税を収めれば良いだけじゃからな」

「ああ、どこかの国の一部となれば、他国もそう簡単には攻めては来ぬ。

特にそこが大国であればな」

「そうだね・・・ではもし、どこかの国の領地になるとしたら、どこの国が一番いいのかな?」


俺はその答えは一つしかないだろうと思いつつも三人に聞いてみた。


ついにあと2日で旧作に追いつく予定です!

当小説を面白いと思った方は、ブックマーク、高評価をお願いします!

ブックマーク、高評価をしていただくと作者もやる気が出てきますので是非お願いします!

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