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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0460 大実験開始!

 いよいよ全ての準備が整い、実験の日が来た。

正確に言えばこの実験の名前は「完全魔力全解放ペルフェクタ・マギア・チオム・エランシー大規模投擲実験」だったが、この実験に関係する人々はこれを単に「大実験」と呼んで、これ以降、魔法協会関係でも「大実験」と呼べば、この実験の事を言うようになった。


この日のために用意された全ての計測ジャベックがチェックされてOKが出る。

いよいよ実験時間が迫り、マジェストンにある実験本部でマージェ学長が全員に通達をする。


「みなさん、本実験最高責任者のマージェ・リビングストンです。

ただ今より「完全魔力全解放ペルフェクタ・マギア・チオム・エランシー大規模投擲実験」を開始します。

そしてあと30分で、いよいよ現地で実際の魔法投射の時間となります。

すでに皆さんも御存知の通り、この実験は魔法史の歴史に残る大実験となります。

各自、緊張しているでしょうが、慌てず落ち着いて行動をしてください。

各計測員、作業員、観測員の皆さんは、これより総合指揮のシルビア・ノートンさんの指示に従い、最終確認をしてください。

それではシルビアさん、御願いします」


マージェ学園長の言葉によりシルビアが指揮を引き継ぐ。


「はい。

みなさん、本実験の総指揮を任せられたシルビア・ノートンです!

これより「完全魔力全解放ペルフェクタ・マギア・チオム・エランシー大規模投擲実験」を開始します!

各員は最終確認に入ってください!」


実験開始のシルビアの指示により、マジェストンの総本部では各計測魔道士たちが大わらわだ!


「こちら実験本部、各計測員、作業員、観測員は状況を知らせてください!」


総合首席オペレーターのエトワールさんが各所へ確認を取る。


「各都市、支部への実験開始通達完了!」

「観測ジャベック全て良好です!」

「念話中継ジャベック問題なし!」

「魔力計、温度計、風速計、各種計測器問題なし!」

「各部署、対ショック対閃光防御問題なし!」

「各市町村において、担当魔道士が防御タロスを展開中!」

「現地の天気は良好、風速は西に1メル、実験に支障はありません」


その様子はまさにロケット打ち上げ前のNASA指揮所もかくやという有様だ!

各観測所からも続々報告が入る。


「こちらロナバール中間観測所責任者、フレイジオです。

周辺全住民への通達、及び避難終了!

ポリーナによる防御タロスも展開完了!

こちらも問題ありません!」

「こちら大森林西側入口観測員、ビクトール・ベルンシュタインとアイン・ロビンソン!

問題なしだ!」

「こちら大森林東側入口観測員、スレッダー・ガイエル組だ、問題はないよ」


そして最終的にマジェストンの実験総本部にいるエトワールさんに報告が集約されてシルビアに報告される。


「各部署、全て問題ありません!」


それを聞いたシルビアから現地にいる俺とエレノアに念話で報告が来る。


《ご主人様、エレノア先生、全て準備完了です》

《わかった》


俺とエレノアは大森林の西側から約1200カルメルより少々手前の地点で、アンジュを両脇から抱えて空を飛んでいた。

豪雷と疾風も一緒だ。

いよいよアンジュが魔法を投射する時が来た!

アンジュはこの日のために少しでもレベルを上げておこうと、一昨日まで俺やエレノアと一緒に迷宮へ行き、今やレベルは222だ!

流石に昨日は逸るアンジュを俺とエレノアで一日休ませた。

そのアンジュが俺の目の前で覚悟を決めた顔をしている。

そう、今やアンジュ一世一代の瞬間が訪れたのだ!

俺がアンジュに尋ねる。


「大丈夫か?アンジュ?」

「はい・・・いきます!」


その返事に俺とエレノアがうなずくとアンジュが呪文の詠唱を始める。

そして最後の呪文を力強く唱える。


完全魔力全開放ペルフェクタ・マギア・チオム・エランシーっ!!」


その瞬間、俺たちの目の前に巨大な白く光り輝く光球が発生して、目標に向かって高速で飛び始める。

それと同時にアンジュはガックリとして気を失う。

俺がアンジュの状況を調べてみると、レベルは1になっていた。

もちろん魔力量は0だ。

これで全魔力量を完全放出したのは間違いがない。

俺はアンジュに魔力回復剤を飲ますと、アンジュが目を覚ます。

しかし魔力と共にかなり体力も消耗したと見えて目が虚ろだ。

何しろ全魔力を放出した上に、レベルも1になってしまったのだ。

その消耗は通常の魔力放出の比ではない。

体力も子供並になっているのだろう。

まだ意識が朦朧としているようだ。

それでも自分の実験結果を俺に尋ねる。


「う・・・あ・・・どう・・・でした・・・か?」

「ああ、順調だ。こっちも退避するぞ」

「はい・・・」


アンジュの放った魔力の玉は時速1000カルメルという音速にちかい速度で飛んではいるが、目標地点が50カルメルの彼方なので、着弾には4分前後はかかる計算だ。

その間に俺とエレノア、豪雷、疾風もアンジュを抱えて爆心予定地から100カルメル地点まで退避する。

実験当事者としては、実験結果をなるべく近くで観察をしたいとは思うが、もちろん危険は避けたい。

ここは爆発の衝撃波が来ても、俺たち四人ならば防げると計算した限界地点だ。


「この辺で良いだろう?」

「そうですね」


俺とエレノアは爆心予定地から100カルメルほどと思われる地点で空中停止する。

遥か遠くにはアンジュの放った魔法光球が小さく輝いているのが見える。


「豪雷、アンジュを頼む」

「はっ」

「どれどれ・・・」


俺はアンジュを豪雷に任せて首から下げていた双眼鏡を手に取ると、目標近辺を見る。

そこには小さな光球が飛んでいた。


「うん、順調に飛んでいるよ」

「私にも見せてください」

「うん、ほら」


俺が双眼鏡を渡すと、アンジュがそれを覗き込む。


「うわあ・・・」


アンジュも自分の魔力弾をこんなにじっくりと飛んでいるのを見るのは初めてだ。

何しろいつもは魔法を放つと同時に気を失って、その場でパタンと倒れ、気が付いた時には事が終わっていたのだから。

俺も双眼鏡をもう一つ取り出すと、一緒に眺める。


「あと1分くらいのはずだよね?」

「そうですね」


エレノアもうなずく。

まだこの世界には正確な小型時計がないために秒単位での着弾予測は無理だが、数十秒程度の誤差で予測はしてある。


「そろそろのはずだ」


俺がそう言うとアンジュもうなずく。

俺たちは無言でその瞬間を待ち受ける。

やがて前方でカッ!と激しい光が輝いたかと思うと、それがどんどん広がっていく。

成功だ!

爆心地には光の半球が出来て、その光の範囲はどんどん広がっていく。

そしてその後には今度は大きなキノコ雲がゆっくりと上がっていく。

その光景にアンジュが目を見開いて呟く。


「凄い・・・」

「ああ、凄いな」

「ええ、これほどの大爆発を見たのは私も初めてです」


俺とエレノアも感心してうなずく。

さすがレベル200を超えるアンジュが全ての魔力量と交換しただけの事はある。

凄まじい威力だ!

これは明らかに原爆どころか、水爆程度の威力がある!

確か旧ソ連が開発した史上最強の核兵器で「ツアーリボンバー」という水爆があったはずだが、これはそれ以上の威力なのではないだろうか?

これがもし戦争などに使われたらと思うと俺は恐ろしくなった。

救いは放射能を撒き散らさない事。

そしてこんな事が可能な魔法使いは現在アンジュしかいない事。

そのアンジュですら自分のレベルと魔力量全てと引き換えで一回しか出来ないのだ。

将来に渡ってもほんの数人しかいないだろうし、その場合も死ぬ覚悟が必要なのだ!

それはこの魔法がこの規模で乱用されるような事はまずないだろうという事だ。

何しろ本来ならば、レベル200を超えた魔法使いが自分の命を犠牲にして初めて可能な技なのだ。

俺は前世で地球で初めての核実験をしたオッペンハイマーやフェルミの話を読んだ事がある。

彼らは自分たちの計算通りの爆発を見て震えたという。

そう、世界初の原子爆弾実験だ!

特にオッペンハイマーは古代インドの聖典「バガヴァッド・ギーター」の「我は死なり、世界の破壊者なり」という詩の一節を思い出して体が震えていたという話を読んだ。

その気持ちが俺もよくわかった。

この時、俺も震えていたのだ。

アンジュも自分の放った魔法の攻撃力を見て、震えているようだ。


俺はそんな事を考えながらしばらくの間、その驚くべき光景を眺めていたが、やがてエレノアたちに話しかける。


「来るぞ!エレノア!豪雷!疾風!」

「はい」

「承知しております」

「お任せください」


ザワリとした感覚が俺たちに迫る!

空気の境目が実際に目で見えて、それがどんどん広がって俺たちに向かって来るのがわかる!

それは爆心地から来た衝撃波だった。

俺たち四人は幾重にも魔法障壁を展開し、それに耐えた。

4人とも極超音速に耐える魔法障壁を張れるために、問題はないが、それでも自分の魔法障壁がビリビリと震えるのがわかる。


パリーン!

ピシッ!

パキーン!

ピキッ!


外側に張っていた魔法障壁が何枚か耐え切れず崩壊する!

爆心地からこの距離で、これほどの衝撃とは恐れ入った!

しかしやがて俺たちが予想もしなかった驚くべき現象が起こる。

その事に俺たちは愕然とした!


「これは!」

「え?」

「まさか!」


俺とエレノアとアンジュは思わず叫んだ!

何故ならば俺たちのレベルが突然上がったのだ!


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