表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
407/1019

0392 料理部の活動 

 翌日の授業が終わった後で、俺が昨日フローラ先輩に言われた通りに教室で待っていると、マルセル料理部長が迎えに来た。


「お待たせいたしました!ホウジョウ様!

遅くなり、申し訳ございません」

「いえ、ところで部長?その北条様ってのは何とかなりませんか?

私は単なる新入部員なんですから」

「なりません。

フローラ様からも決してホウジョウ様に失礼があってはならないときつく言われております。

ホウジョウ様は、ホウジョウ様です」


はあ、さいですか?

俺はその件に関しては諦めて、マルセル料理部長の案内で料理部へと向かった。

もちろん豪雷、疾風も一緒だ。


俺が部屋に入ると、いきなり俺の前で紙吹雪が飛び散り、部屋の中には


“シノブ・ホウジョウ様 ようこそ料理部へ!”


と横断幕が掲げてあった。

うぉう!何コレ?

俺が驚いていると、フローラ先輩が出迎える。


「ようこそ、ホウジョウ様!料理部全員、心よりお待ちしておりました!」


確かにそこには言われた通りに料理部の部員らしい人たちがズラリと並んでいる。

その数、ざっと30人以上だ。

へえ?ここの料理部って結構人がいるんだな?

でもずいぶんと年が若そうなのもたくさんいるぞ?


「いや、その歓迎されるのは嬉しいのですが、これはちょっと・・・」

「何か不手際がございましたか?」

「あ、いえいえ、たかが新入生の入部を迎えるのに少々、いえ、大分大袈裟なのではないかと・・・」

「そのような事はございません。

ホウジョウ様をお迎えするのに、これでは質素すぎると意見が出たほどです」

「それに私以外の新しい入部者もいるのではないでしょうか?

同じ新入部員なのに、その人たちとあまりにも違いがあるのも問題かと・・・」

「その点に関しては大丈夫です。

すでに私どもが念入りに4年生の入部者にも、3年生以下にも説明をしてございますから」


フローラ先輩がそう言うと、後ろにいた一部の部員たちが青い顔をして無言でコクコクとうなずく。

ああ、人数が多いし、妙に年が若いのも多いと思ったら、中等魔法学校の生徒もいるんだ?

でも何?あなた方の、その青ざめた顔は?

一体、この人たちに何を吹き込まれたの?


「え?説明って?」

「もちろんホウジョウ様の偉大さをです。

私共などとは世界が違う人物である事を全員に叩き込みました!」


うわぉう!

一体、何を叩き込んでいるの!この人?

でも一周回って、俺が世界が違うって言う部分は正解なのが逆に恐ろしい!

しかし、まさかそれを言う訳にもいかないしな?


「いや、別に私はそんな大それた人物ではありませんので・・・」

「そのような事をおっしゃっても私達は騙されません!

どうかホウジョウ様の思うままに動いてください」


ああ、確かにシルビアにも大物である自覚を持てと言われているしね?

ここは大物である事を認めて話を進めるか?

うん、俺は大物!大物だ!


「え~と?それでは私はこの料理部では何をすればよろしいのでしょうか?

申し訳ないのですが、実はもう一つ、部活動を掛け持ちしているので、毎日こちらに顔を出すという訳にはいかないのですが・・・」

「それは伺っております。

あのローレンツ様の窮理部きゅうりぶへ入部されたとか・・・あのヘンジ、いえ一風変わった皆様の場へ自ら足を踏み入れるとは流石はホウジョウ様でございます!」

「はあ・・・」


おいっ!それって褒めているのか?

・・・今、変人って言おうとしただろ?この人・・・

まあ、ミヒャエルたちも言っていたけど、この世界では魔法ではなく科学系の事を研究するのは確かに変人扱いらしいからな・・・


「と、ともかく我が料理部は普段は部員の上級生が下級生に料理を教えたり、外部から料理人を呼んで講義をしていただいたりするのですが、ホウジョウ様がいらしていただく日には、もちろん、ホウジョウ様に御料理を教わる所存にございます」

「え?新入部員に教わる?そんなんでいいんですか?」

「新入部員ではあってもホウジョウ様はすでに我が部においては別の肩書きをお持ちなので問題はございません」

「え?私はここでどんな肩書きを持っているんですか?」


俺も知らない間に肩書きがあるとは驚きだ!


「料理部最高顧問です!」


おいおい!いくら何でも新入部員にその肩書きはないだろう!


「ええ~?そんな肩書きにしていいんですか?」

「もちろんです!

それと私の事は今後は是非フローラと御呼びください」

「え?先輩をですか?」

「先輩とはいえ、これよりホウジョウ様に教わる身です。

言わば弟子なのですから、それは当然です。

それに伺った所に寄ればローレンツ様とも、早くもお互いの名前を呼び合う仲だとか?

是非私もフローラと御呼びください」


フローラ先輩がそう言うと、生徒会副会長のミレイユ先輩と、部長のマルセル先輩も熱心に申し出る。


「私も是非ミレイユと」

「私もマルセルと御願いします」


どうもたかが新入生が先輩方を呼び捨てにするのは気が引けるのだが・・・

うう・・・仕方がない・・・

俺は大物、大物なのだ!


「わかった、ではみんな親しみを込めてフローラ、ミレイユ、マルセルと呼ばせてもらうよ」

「ありがとうございます!ホウジョウ様!

感謝いたします!

では早速御教授を御願いいたします」

「ええ?御教授をと言っても、何から初めて良いやら・・・」

「それはホウジョウ様のお気の召すままに・・・」


そう言われて俺は考え込む。

確かに俺の料理はこの世界では斬新だ。

しかし全くそれを知らない集団に対してどこから教えれば良いのかとんとわからない。


「そうは言われても、ここにはどんな道具があるかもわからないし、私が教える料理には特殊な道具が必要な物も多いので・・・」

「その御心配は無用です!

これこの通り、ある程度は用意してございます!」


そこにはこの世界の調理道具だけでなく、蒸篭や蒸し器、泡立て器など、一通りの道具が揃っていたので俺は少々驚いた。


「これは・・・」

「デイジー先輩に伺って、当然の事ながら道具の方は御用意させていただきました!

もちろん他に必要な物があれば、こちらで御用立てさせていただきます」


なるほど、道具に関しては問題はなさそうだ。

しかしもう一つ別の問題もある。

俺はそれを聞いてみた。


「そうですか・・・

しかし私の料理を教えるとなると、少々料理と違う方向性の事も学んでいただかなければならないのですが・・・」

「それはエイセイ学の事でらっしゃいますね?」

「え?衛生学を知っているんですか?」


俺はこの人が衛生学の事を知っているので驚いた。


「はい、これからの料理には重要な事であるとデイジー先輩が教えてくれました。

そしてホウジョウ様がその事に関して詳しく教えてくださるだろうと。

それとそれに関してはこちらの二人からも聞いております。

本日より、こちらの二人を料理部でのホウジョウ様の助手兼連絡役として指名いたしますので、どうぞこちらの二人に色々と指示をなさってください」


そう言ってフローラさん、いやフローラが説明すると、後ろから男女がひとりずつ前へ出てくる。

その二人を見て、俺が呟く。


「やはり君たちか?ヘンリー・・・イロナ」

「はい、覚えていただいて光栄です!ホウジョウ様!」

「ここでも精一杯御役に立つ所存なので御願いいたします!」


この二人はクレインたちと一緒にメディシナーから来た魔道士組のうちの二人だ。

サクラ魔法食堂で働いていたはずだが、初日に教室で顔を見かけて気になっていたのだ。


「クレインの差し金か?それともデイジーか?」

「はい、それとカーティスさん、御三方の推薦です」

「ホウジョウ様が魔法学校へ通っている間に影日向に御役に立つようにと仰せつかっております」

「やれやれ・・・食堂の方はどうしたの?」

「はい、実は我々は出向扱いで、ここにいる間もサクラ魔法食堂の店員扱いです!」

「魔道士組の中の高等学校入学許可証所持者の中から選ばれてこちらに参りました。

どうぞホウジョウ様の手足として使ってください」

「・・・そういう事でございますわ」


二人の説明の後でフローラが締めくくる。

なるほど、この人が妙に俺の事を詳しかったのは、この二人の説明もあった訳か?


「そうですか・・・ではその衛生学から始めようと思うのですが?」

「はい、どうぞ、御願いいたします」

「私達もお手伝いいたします!」

「早速助手として御役に立たせていただきます」

「うん、よろしくね、ヘンリー、イロナ」


確かに衛生学をある程度知っているこの二人が助手としてついてくれるのはありがたい。


俺はクレインたちに説明をしたように、衛生学の事を料理部の部員たちに教えた。

微生物の事、発酵と腐敗の仕組み、いかに調理場を綺麗にしておくのが重要な事かという事を一通り説明した。

しかも考えてみれば食堂と違って、ここにいる学生たちは全員治療魔法使いでもあるので、医学的観点から言っても衛生学は必要だ。

俺はそれを踏まえて、医学的部分もある程度混ぜて衛生学を話してみた。

部員たちは熱心に俺の話を聞いて、おぼろげながらも衛生学の事を理解し始めたようだ。

俺は数日をかけて衛生学の講義をした。

そして部員たちがある程度衛生学を理解して、ミクロの世界への冒険を希望すると、クレインたちにやったように顕微鏡でミクロの世界を見せる事にした。


俺は学園のあちこちから蟻、蝿、ミジンコ等を探し出して用意万端整えた!

衛生学の実習日には部室に顕微鏡と様々な観察対象を用意して、部員たちに注意を促した。


「さて、今まで話した通りに、これからいよいよ衛生学の実習を行います。

これから行う実習は私の過去の経験から、ある意味相当過酷な物になる事は覚悟してください。

しかしまたこれを乗り越えられなければ、私の料理は覚えられないと思ってください。

言わば、これは諸君が越えなければならない壁なのです!

それでは衛生学の実習を始めます!」


そしてそこに地獄が現出した!


何しろ部員のほとんどが女子、しかも大方の者が御嬢様で、それまではきゃっきゃウフフな感覚で料理をしていたのだ!

当然の事ながらクレインたちほどの覚悟がなかったので、ミクロの世界には凄まじい衝撃を受けたようだ。


「いや~~~~っ!!!」

「ひぃぃ~~~~っ!!!」


顕微鏡を覗いた瞬間に、部室中に恐怖の叫びが上がり、気絶した者が続出した!

蟻、蝿、蜘蛛、ボウフラ、ミジンコの拡大物を見た連中は、この世の物とは思えないほどの叫び声を上げる!

特にピンで留められて、盛んに羽根を動かし、もがく蝿には恐怖した様子だ!

その様子を見て、次の順番を待つ者は、一体何を見せられるのかと、近くの者と抱き合ってガタガタと震え始めた!

俺に許しを請う者も出てくる!


「お、御願いします!ホウジョウ様!

どうかお許しください!」


しかしここまで来れば、もはや俺も容赦はしない!


「ダメだ!

さあ見ろ!ちゃんと見るんだ!

デイジーやうちの食堂の連中は、ちゃんとこれを見て覚えたんだぞ!」

「ヒィ!お許しください!ホウジョウ様!」

「どうかお慈悲を!」

「い~や、これを見なくして衛生学の完成はない!

これを見なければ今後料理は出来ないと思え!」

「わ、私達は普通の学生で・・・」

「我々は普通の学生を必要としないっ!」

「ひ~~~~っ!!!そんなっ!」

「ホウジョウ式料理部に残れるのは優秀な奴かバカだ!」


もはや俺はゲ○ター線に取り付かれた男のように料理部を好きなように蹂躙する!

助手のヘンリーとイロナも同様だ!


「さあ!顕微鏡の中をのぞくのです!」

「そこには新しい世界が待っていますよ~」


うん、二人とも手伝ってくれるのはいいんだが、何だか怪しい宗教の勧誘みたいだからちょっと考えような?

いや、それは俺もか?


「ハエがっ!ハエがっ!」

「蜘蛛が~!」

「ヒィィ~~~ッ!!!」

「いや~~~っ!!!」

「助けてぇ~っ!」


魔法学校の校舎に女子学生たちの悲壮な絶叫が響き渡る!

その女子生徒たちの阿鼻叫喚のような叫び声が学校中に響き、何事かと料理部室に教師が殺到したほどだった!

その教師たちも一緒に来たエレノアに説明されて納得する。

数少ない男子生徒たちですら声を失って呆然としている。

しばらくの間は部室の中が、まるで野戦病院のような有様で、その辺中の机やソファに突っ伏した部員たちが、ようやくの事でヨロヨロと身を起こして立ち上がる。

流石に他の生徒たちとは覚悟が違うと見えて、フローラが一番に復帰する。


「あ、あれは・・・凄い世界でしたわ・・・ホウジョウ様・・・」


フローラが息も絶え絶えに話すと、ミレーユとマルセル部長も息を詰まらせながら話す。


「え、ええ、先に話を聞いていても、あれほどの物を見る事になるとは・・・」

「まさに未知の世界です・・・

しかもあんな物が我々の身近にあって、料理に関わっていたとは・・・まさに驚き、いえ、驚愕です!」

「ええ、この一件だけでもホウジョウ様に我が部へ入っていただいたのは正解だったと確信をいたしましたわ」

「私もです。これからは調理する時は衛生に気をつけなくては・・・」

「ええ、虫一匹、部室に入る事は許しませんわ」

「食べ物にハエをたからせるなど、もってのほかですわ」

「ええ、水の中のボウフラやミジンコにも気をつけなければ・・・」

「まずは水道を改める所から始めましょう」

「賛成ですわ」


これにより、元々部室には水道が来ていたが、それをさらに俺の作った濾過器で水を通して使う事にした。

そしてフローラの生徒会長権限を持って、学生寮や学校の食堂など、至る所に設置されるようになっていった。

それはいつの間にか「ホウジョウ式濾過装置」と呼ばれるようになり、料理部員の力により、徐々にこの世界に普及する事になる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ