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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0389 フローラ・ロッシュ伯爵令嬢

 俺は慌ててフローラ先輩に声をかける。


「あ、いや、とにかく手を上げてください!

 みんなも見ている事ですし、伯爵御令嬢に恥をかかせる事など出来ません・・・」


しかしこの生徒会長様は決して手を上げない。


「いいえ、このような事など恥でも何でもございません!

むしろ、この程度の事でホウジョウ様に我が部に入っていただけるならば、望外の喜びでございます。

ホウジョウ様が我が部に入っていただけると御返事をいただけるまでは、この手を上げる事など出来ません!

私、本日はその決意でここに参りました!」


うぉう!何と言う不退転の覚悟!

絶対に俺より、この人の方が大物だよ!

どうしたら良いだろうか?

よし、ここはアレだ!あの名セリフだ!


「いえ、私程度の者など、このマジェストン魔法学園には荷車に積み、枡で量るほどおりましょう。

ましてや上級生たる皆さんと比べれば、宝石と瓦のような物です。

どうか皆さん、手を上げてください!」

「そのような事はございません」


しかし通じなかった!

フローラ先輩は即答だ!


「私の尊敬するマーガレット先輩や、デイジー先輩の言う事に間違いはございません。

ましてや現メディシナー侯爵であるレオンハルト様までが同じ事を手紙に書いております。

そして私自身、あなたさまの才能をこの身で感じております。

実はデイジー先輩から私に魔道士航空便で様々な料理を送っていただきました」

「え?デイジーが魔道士航空便を?」


魔道士航空便とは魔道士のマギアサッコに物を入れて相手に届ける航空便だ。

マギアサッコの中では時間はゆっくりと流れる。

だからこれを使えば料理などでも、ほとんど作った状態のままで届けられる。

しかし当然ながら料金は馬鹿高い!

そんな特別航空便を使ってまで、デイジーはこの人に何か料理を送ったようだ。


「デイジー先輩が送られたプリン、肉まん、トラペジオケーキ、オムライス・・・どれを取っても画期的で、見た事も聞いた事もない料理ばかりです!

私達はそれを食べて驚きました!

いえ、驚いたなどという生易しい物ではありません!

あのような食べ物がこの世にあろうとは・・・

しかもそれはホウジョウ様の実力のほんの一端にしか過ぎないとか・・・

ましてやデイジー先輩のお手紙から、ホウジョウ様はその卓越した知識と技術により、帝弟君ていていぎみたるロナバール総督閣下とも対等の御付き合いをされていらっしゃると聞き及んでございます。

それも事実なのでございましょう?」


そう言いながらキッ!と俺を見据えてするその質問の迫力は凄まじい!

うん、この人、こういう迫力でも絶対俺に勝っているよ!

しかも圧勝だよ!

その迫力に一瞬で負けた俺があっさりと真実を答える。


「う・・・はい、確かにミヒャエルとは親しい友人として付き合っていますが・・・」


その俺の答えに、そこに集まっていた観衆が、俄然盛り上がる!


「おい!どうやら今の話は本当らしいぞ!」

「今、ミヒャエルって言った!

間違いなくミヒャエルって言ったぞ!」

今上皇帝陛下きんじょうこうていへいか弟君おとうとぎみをミヒャエルと呼ぶとは・・・!」

「なあ、今のミヒャエルって、ミヒャエル・ゴッドフリート総督閣下の事だよな?

俺の知っている隣町のミヒャエルのおっさんの事じゃないよな?」

「ああ、そうだ!」

「信じられん!」


しまった!

そりゃ恐れ多くも総督閣下をそんな気軽に呼んだらそう思われるよな?

迂闊!

この呉学人、一生の不覚!

レオンと同じで、つい、いつもの調子でミヒャエルって言っちゃったよ!

だってこの人の圧力と迫力って凄いんだもん!

もう伯爵令嬢どころか、女王様みたいだよ!

俺はまるでヘビに睨まれたカエルだよ!

とてもウソをついたり、知らばっくれる事なんて出来ないよ!

隣にいたアインも驚いて俺に問いただす。


「おまっ!シノブ、ロナバール総督閣下をミヒャエルって・・・

メディシナー侯爵閣下といい、組合長といい・・・お前、どんだけ大物と付き合っているんだよ!」

「う・・あ・・・」


アカ~ン!これは詰んだ!

これだけ話が進んではもう誤魔化しようもない!

王手飛車取りどころか、獅子で居食いし放題状態だ!

ウソをつく訳にもいかず、説明に困った俺は言葉に詰まる。

これは困った!

すると、ここでそれまでは俺の左後方で控えていたシルビアが半歩前に出て説明を始める。


「はい、確かに我があるじ、シノブ・ホウジョウ様はロナバール総督閣下であらせられるミヒャエル・ゴッドフリート様と、とても懇意の仲でございます。

お互いにシノブ、ミヒャエルと言い合う仲で、サクラ魔法食堂へいらっしゃる総督閣下と、よく一緒に御食事をされて親しく御話をされております。

また、我が師で天賢者でもあるエレノア・グリーンリーフ様の御寵愛をもっとも受けていらっしゃる最愛の弟子でもいらっしゃいます。

そしてレオンハルト・メディシナー侯爵閣下、レオニー・メディシナー最高評議会議長閣下、著名なゴーレム魔道士であるユーリウス賢者とも厚い御友誼があるのは間違いございません。

また料理に関する知識、技量も卓越した物をお持ちの事も間違いございません」


そのシルビアの説明を聞いて周囲が一斉に盛り上がる!


「「「「おお~っ!!!」」」」


おっは~ぅ!シルビア!

何を言っているの!

そりゃそれはみんなウソじゃないけど!

ウソじゃないけど、この場で言っちゃらめぇ~!

そしてそのシルビアの話を聞くと、このフローラ先輩は我が意を得たりとばかりに先を続ける!


「やはり!

そのような方を料理部に入れなければ、生涯後悔するのは目に見えております!

それに私、先代ロッシュ伯爵でもある、祖父にも言われておりますの」

「え?御祖父さんに?何を?」

「はい、祖父はかつて高等魔法学校でグリーンリーフ先生に教わった生徒の一人でございまして、今回の話をした所、必ずホウジョウ様を口説き落とす様にと言明されております!

天賢者たるグリーンリーフ先生が奴隷として仕えるなどよほどの相手、決してそのような方を捕まえたら離してはならない!

そして手段は問うなと!

そう言明されております。

私もまったく祖父に同感でございます。

例えホウジョウ様に、今ここで服を全て脱ぎ、その靴に接吻せよと言われても、躊躇なく実行する覚悟と所存にございます」


そこまでかっ!

何という覚悟!何という決意!

こりゃ、この人の俺に対する熱意は太公望か諸葛孔明に対する西伯候や劉備玄徳に匹敵する!

何で初対面の新入生にそこまで入れ込むのか?

当然の事ながら周囲は大騒ぎだ!


「ええ~っ?」

「そこまで・・・」

「いやぁっ!私の御姉様が!」

「一体、あの新入生は何者なんだ?」

「そこまでメディシナー侯爵家やロッシュ伯爵家の者に言わせるとは・・・」

「ましてや皇帝陛下の弟君と対等の友人だと?」


うう・・・何か凄い言われようだけど、周囲の言っている事は全部事実だけに、俺も否定できない!

ええぇ・・・?

俺って、そんな大物だったっけ?

いや!絶対に違うよ!

何かそれ、別の人だよ!

そしてフローラ先輩の話は続く。


「先輩方も祖父も、必ず最初に最善の手段でホウジョウ様を口説き落とせと!

そしてその際には間違っても財力や貴族の権力に訴えるような事だけはするなと!

そのような事をした場合は間違いなく、最悪の結果になると言われておりますし、諸先輩方の手紙の内容からも、私自身の判断でも、それは感じました。

ですからこうして最初からひれ伏してお願い申しあげているのです」


それは確かに正解だ。

いや、むしろ正解すぎる!

俺の性格的に貴族風を吹かせたり、権力や金に物を言わせて勧誘しよう物なら逆に意地でも入ろうとはしなかったからね?

しかし、これはやりすぎだ!

ここまでされるとは流石に困る!

そして俺はこういうのに弱い!

相手がこんな美女なら尚更だ!

ここに至って、ついに俺は折れた!


「わかりました!あなたの熱意は十分に伝わりました!

料理部には入りますから、どうか手を上げてください!」

「本当ですか?」

「はい、私はウソは申しません。

伯爵令嬢で生徒会長たる方にそこまで礼を尽くされたら御協力しない訳には参りません。

私程度の者がどこまで出来るかわかりませんが、僭越ながら料理部に入って協力をさせていただきます」


俺のその言葉を聞いてフローラ先輩たち三人はようやくホッとしたように安心して返事をする。


「ありがとうございます!ホウジョウ様!」

「我らの願いをお聞き届けいただき、ありがとうございます!」

「感謝の念に堪えません!」


こうして俺は料理部に入る事になってしまった!

うわおぅ!

なんてこった!


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