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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0037 初めての盗賊

 そんなある日の事だった。

一日の迷宮の訓練が終わり、俺とエレノアが帰り道の森の中ほどを歩いている時にそいつらは現れた。


「よぉよぉ?兄ちゃん、あんた最近、羽振りがいいんだってな?」

「町で知り合いに聞いたぜ?」

「ちょっと俺たちにも分けてくれや?」

「いいだろう?」


あからさまに盗賊っぽい四人組だ。

鑑定してみると45,41,38,37・・・なるほど、そこそこだ。

今の俺は90少々のレベルなので、普通に剣だけで戦っても、さほど梃子摺らないだろう。

魔法を使えばなおさらだ。

しかし、一応初めての経験なので、俺はエレノアに尋ねてみる。


「この連中は何?エレノア?」


俺の質問にエレノアは落ち着いて答える。


「いわゆる、森の盗賊の類ですね。

 普通、航空魔法を使える者や高レベルの者は、この森を航空魔法で飛び越えて迷宮に行く事が多いです。

 私たちは御主人様の鍛錬を兼ねて、こうして行き帰りも森の中を歩いていますから、レベルの低い冒険者と勘違いされたのでしょう。

 人数もわずかに二人ですし、少年と奴隷なので、組み易しと思われたのでしょう。

この者たちはそういったレベルの低い善良な冒険者を食い物にしている中堅処の盗賊ですね」


なるほど、確かにこのレベルの連中が4人もいては、ひょっとしたらロナバールに来た頃の自分ではやられてしまっていたかもしれない。


「どうすればいい?エレノア?」


まだこの世界の盗賊への対処法がわからない俺がエレノアに聞く。


「御主人様のお好きになさってよろしいですよ。

 このような連中は丸焦げになさっても、どこからも文句はきませんから大丈夫です」

「そうなんだ?僕は盗賊に会うの初めてだからわからないけど、それで構わないの?」

「はい、この連中は明らかに盗賊です。

やっている事は完全に違法行為な上に、悪質な法律違反です。

そのような者はどうなっても文句は言えません」

「もし間違って殺しちゃっても大丈夫って事?」


俺の質問に、エレノアがさわやかに恐ろしい答えをする。


「意図的に殺しても大丈夫です」


意図的にって・・・エレノア、相変わらず恐ろしい子・・・

俺がエレノアと相談していると、盗賊の頭らしき男が叫ぶ。


「てめえら!何をごちゃごちゃ言ってやがる!

 今すぐ持ち物と金を全部出すなら許してやるぞ!」


その盗賊の頭らしき男の言葉に俺がエレノアに尋ねる。


「そうなの?」

「おそらくは嘘ですね。

我々の身包みを剥いだ後に、奴隷として売るつもりでしょう」

「それはやだなあ」

「ええ、ですからまとめて片付けてしまった方がよろしいかと」

「でも僕も盗賊って初めてだから、ちょっと話し合ってみても良い?」

「ええ、もちろん構いませんよ。

 これも勉強ですから、でも気をつけてくださいね」

「ありがとう」


エレノアの許可をもらうと、俺は盗賊たちに向き合って話し始める。


「ねぇ、君たち?一応確認したいんだけど、君たちは盗賊とか、追い剥ぎの類なのかい?」


盗賊たちもあからさまに盗賊と名指しされて話し合う事はなかったと見えて、躊躇して答える。


「・・・ああん?盗賊だったらどうだってんでぃ?」

「僕はあまり争い事は好きじゃないんだ。

 だから君たちが単にお金に困っているというなら僕のお金を多少分けてあげてもいいよ?」

「はぁ?分ける?どういうこった?」

「だからさ、君たちが生活に困っているなら、僕のお金を君たちにあげるって事さ。

 君たちもさっき分けて欲しいって言ってたじゃないか?

 それで君たちがこういった事をしなくなるなら僕もうれしいからね。

 さし当たって、この位でどうかな?」


そう言って、俺は銀貨袋から大銀貨を5枚だす。

数日の生活費ならこれで十分なはずだ。

笑顔で大銀貨を差し出す俺に、盗賊たちは怪訝そうな顔をして、ボソボソと話し合う。


「なんだ?こいつ?頭がおかしいのか?」

「さあ?どっちにしてもとりあえず金をくれるってんなら、もらっておいて損はねぇんじゃねえですかい?」

「それもそうだな」


相談が終わったのか、盗賊の頭が俺に話しかける。


「よし、それをよこしな!」

「うん」


俺は大銀貨5枚を盗賊に渡す。

盗賊たちはその銀貨をまじまじと眺めて、どうやら贋物ではないというのがわかると満足そうだ。


「どうだい?それで満足してくれたかな?」


しかし俺の質問に盗賊は首を横に振る。


「・・・いや、だめだな」

「え?」

「これっぽっちじゃ俺たちは満足しねえって事よ」

「・・・じゃあ、君たちはどれだけもらったら満足するんだい?」


俺の質問に盗賊の頭がニヤッと笑って答える。


「そうさな、お前の有り金と持ち物全部よ」

「それはひどいよ、ねえ?これを機会に真っ当な仕事につくとか、普通に迷宮で魔物を倒して稼ぐとかは考えられないの?

 僕も何か協力できる事があるなら手伝うからさ」


しかし、俺の話にも盗賊は全く聞く耳を持たないようだ。


「やかましい!そんな事はてめぇの知った事か!

 さあ、とっとと身包みを全部寄越しな!」

「そうか・・・ちょっと待ってくれ。

 大銀貨を5枚あげたんだ、それ位いいだろう?」

「はっ、そうだな、どうせ全部いただくんだ。

 そっちの奴と話したいなら、ちょっとくらいは待ってやらあ」


盗賊の言葉に、俺はため息をつくと、エレノアに話しかける。


「うん、やっぱりだめだったみたい」


正直、俺も盗賊相手に話し合いが成立するとは思ってはいなかったが、エレノアは俺以上に当たり前です、といった感じでうなずいて返事をする。


「そうですね、まあ、当然ですが」

「こういった場合、普通はどうするのかな?」

「追い散らすか、殲滅するか、捕まえてその筋に渡すかのどれかですね」

「やっぱりその3つなんだ?」

「それ以外には、まれに捕まえて手下にするというのもありますね。

 特に盗賊同士では、よくあると聞きます」

「なるほど、でも別にこいつらは部下に欲しくはないなあ」

「私も賛成です。片付けた方が良いと思います。

 それにこういった連中は逃がすと、またどこかで同じ事を繰り返すでしょう。

 御主人様の慈悲が通じる相手ではございません」

「そうだね、今後他の被害者も出したくないし・・・じゃあ、そうするか。

 指輪を使っても良い?」


俺が魔力消費1割指輪の使用許可を求めるが、エレノアは笑顔で却下する。


「いえいえ、この程度の連中など、指輪なしで片付けていただかないと、練習にもなりません」

「うん、わかった」


そう言って俺は覚悟を決めた。

最悪、この連中を皆殺しにする覚悟をだ。

実は俺は殺人と言う物に躊躇がない。

当然の事ながら、別に人を殺したくてたまらない殺人鬼という訳ではないが、この世界に来た時から、こちらに危害を与えて強盗などしようとする連中には、容赦しない覚悟をしていた。

ましてや、奴隷として売り飛ばそうとしたり、殺して身包みを剥ごうなどと考えている連中相手には躊躇なく殺すだろうと考えていた。

もちろんまだ実際にはした事がないが、いざその場になったら躊躇なく殺すと思っている。

極力、相手を傷つけたくはないと思ってはいるが、あっちが危害を与えてくるなら、話は別だ。

相手が人間だろうが、魔物と同様の感覚で相手をする。

ましてやここまで譲歩しても相手にその気がないなら、今日が、俺の初殺人日になるかもしれない。

そう考えると、さすがに少しは緊張してくる。

俺が盗賊たちに向き直ると、当の連中は俺たちの会話を聞いて、相当頭にきている様子だ。


「このガキャ~黙って聞いてりゃ、俺たちを練習に片付けるだと?」

「どっちが片付けられるか、思い知らせてやる!」


凄む盗賊たちに対して、逆に俺が笑顔を消して脅しをかける。


「おい!お前たち!ここで今はっきりと説明しておく!

 俺はお前たちが総がかりでも倒せる相手じゃない!

 だから今ここで詫びを入れて、心を入れ替えるなら許してやる。

 それに渡した大銀貨はくれてやる!

 それが出来ないというなら容赦はしない!

 どうする?」


その俺の言葉に盗賊たちが目をむく。

あからさまに子供然とした人間に挑発されたと思って、怒りが爆発したようだ。


「な、な、な、な、何だと?」

「このガキャ~!何様のつもりだ?」

「こいつ!最初から俺たちをコケにするつもりだったのか?」


そんな盗賊たちを俺はさらに最後通告をする。


「それがしたくないならかかって来るのも良い。

 しかしその場合、お前たちに容赦はしない!

 但し、逃げるなら別に追わないから安心して逃げろ」


一応俺は最後通告のつもりで言ったのだが、盗賊たちは単純に子供に舐められたと取ったようだ。

しかしもはや俺にもそれを訂正する気などない。

俺の言葉に盗賊たちは襲い掛かってくる。


「ふざけんな!」


どうやらやはりこいつらとは戦わねばならないようだ。


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[一言] 最後まで優しい主人公
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