0339 躾とお仕置き
エレノアはあくまで俺の仕置きを受ける覚悟のようだ。
そんなエレノアに俺は苦笑いをしながら言い渡す。
「よし、わかった。では罰を与えよう」
「はい」
「今夜はいつも以上に僕に奴隷として奉仕するように!」
そう言うと、すかさず残りの二人が文句を言う。
「ずるいです!御主人様!」
「そうです、それでは罰ではなく御褒美です!」
「まあまあ、いいじゃないか?
君たちだってエレノアがした事はわかっているんだろう?」
「それはまあ・・・」
「そうですね」
そう言って、シルビアとミルキィは顔を見合わせる。
もちろんこの二人がエレノアがやった事の意味をわからないほど馬鹿な訳がない。
そんな二人にも俺は礼を言う。
「どっちにしても君たちもありがとう。
君たちだって、逃げようと思えば逃げられたのに、ちゃんとここに戻って来てくれて。
本当に僕は幸せ者だよ」
俺が頭を下げて、シルビアとミルキィに礼を言うと、彼女たちは憤慨して俺に怒り始める。
「何を言ってるんですか!私怒りますよ!
いえ、怒りました!」
猛り狂うシルビアにミルキィも同調する。
「ええ、私もです!
あんな女と私たちを一緒にしないでください!
それに逃げるつもりがあるなら、御主人様が開放を提案された時に奴隷を希望したりしません!」
「全くよ!この坊やは!
失礼にもほどがあるわ!
たかが金貨10枚ごときで私が逃亡すると考えるなんて・・・!
そんなに先生が信じられないの!
いえ、これは私達にも落ち度があるわ!
どうやら私達の教育不足だったようね!
これは今夜たっぷりとお仕置きをしないとならないわね!
二度とそんな事で私達を疑ったりしないように躾をしなおさなくては!
覚悟なさい!」
本気で演技?してくるシルビア先生に俺もタジタジだ。
「す、すみません、シルビア先生、先生たちを信じなかった僕が悪かったです。
どうか許してください」
俺が再び素直に頭を下げて詫びると、シルビアの怒りも収まったようだ。
「ん、よろしい、素直なシノブ君に免じて、今回は先生も許してあげましょう。
二度と先生やミルキィを疑ったりしてはいけませんよ?」
「はい、ありがとうございます」
ホッとする俺にシルビアはにっこりと話しかける。
「あ、でも、お仕置きと躾はしますよ?」
「ずるいです、シルビアさん、私も加えてください」
「ええ、3人でたっぷりとこの子に躾をしてあげましょう♪
二度と私達にこんな疑いを持たないように、念入りに体に刷り込みましょうね」
シルビアの言葉に、ミルキィとエレノアも賛同する。
「はい、楽しみです♪」
「そうですわね」
「え?」
あれぇ?
いつの間にか俺が罰するのではなく、俺がお仕置きを受ける事になっているでござる?
しかもこれってオネショタじゃなくて、何か別のプレイになってない?
・・・まあ、いいか?
雨降って地固まるというが、俺たちの結束はキャサリンのおかげで、より強くなったような気がする。
これはキャサリンに礼を言わなきゃならないかもな?
でも、それをこの3人に言ったらまた怒られるから黙っておこう。
そんな事を考えながら俺は今度は子供の頃に聞いた昔話を思い出していた。
確かイギリスだかロシアの童話で、3匹の熊と女の子の話だ。
森で迷った金髪の女の子が偶然留守中の熊の親子の家に入って散々食い散らかし、椅子とベッドを壊した挙句に礼も詫びも言わずに逃げ出す話だ。
俺は子供の頃、その話を聞いてそのずうずうしい女の子に憤慨した記憶がある。
「そういえば、あの話も女の子は最後にどこかへ逃げていったな・・・」
「?どうしましたか?御主人様?」
「いや、なんでもないよ」
キャサリンがどこへ逃げたかはわからない。
しかし、あいつの事だ。
ずうずうしくたくましく、世間を騙して生きていく事だろう。
だが、何かの拍子にはまたここへ戻って来るかも知れない。
その時の事は考えておこう。
そして夕飯後にシルビアが嬉しそうにアルフレッドとキンバリーに指示を出す。
「アルフレッドさん、明日は御主人様の用事があっても、急を要する物以外は、全て断ってください」
「はい、かしこまりました」
「キンバリーさん、明日は私達は御主人様の部屋で食事を取るので、何か簡単につまめる物を用意しておいてください」
「はい、承知いたしました」
「ええ、何しろ一日かけて、御主人様に教育と躾をたっぷりとしなおさなくてはならないのでお願いしますね?」
「はい、どうぞ皆様御存分に」
何を納得しているの!アルフレッド!
そしてシルビアは俺に対して嬉しそうに話しかける。
「さあ、いよいよ楽しい楽しい御主人様の教育と躾の時間ですよ♪」
「あの、それってシルビアだけが楽しいんじゃ?」
「あら?そんな事ありませんよ?
エレノアさんだって、ミルキィだって、御主人様だって楽しいですよ」
「はい」
「ええ、そうですね」
「そ、そうなんだ・・・」
「もちろんです♪」
そのまま俺は三人に自分の部屋へ連行される。
四人で俺の部屋に着くと俺が質問をする。
「え・と?それで三人で僕に教育を?」
「ええ、そうですとも、
この際ですから、誰が御主人様で、誰が奴隷かを体でわからせてあげないと・・・」
え?な、何か今、サラッと怖いこと言ってませんか?
シルビア先生?
俺は慌ててシルビアに確認をする。
「え?あの?僕が御主人様なんだよね?」
俺の質問にシルビアがニッコリと微笑んで答える。
「ええ、もちろんですわ!
シノブ君が御主人様で、私めが忠実な奴隷です。
それを体で徹底的に教えてさしあげますわ」
「ち、違うよ!いや、違わないけど何かおかしいよ!それ!」
「おかしくなんてありませんわよ?
誰が御主人様で、誰が奴隷か?
哀れな奴隷の私めが御主人様であるシノブ様のその体に・・・今夜はじっくりと!
それも徹底的に!教えて差し上げるだけですわ」
「ちょっと待って!エレノア助けて!」
俺がエレノアに助けを求めると、エレノアはいつものようにニッコリと微笑んで答える。
「ええ、もちろん助けて差し上げますわ。
何しろ私、この美貌と肉体で、何も知らない少年を誑し込むしか能のない奴隷ですから。
せめてこの肉体で御主人様をお助けしてさしあげないと・・・」
「いや、それって言ったの僕じゃないし!」
「御遠慮なさらずに・・・」
「ほえ~、ミルキィも助けて!」
俺がミルキィに助けを求めると、ミルキィは悲しげに首を横に振って答える。
「ええ、もちろんお助けしたいのは山々なのですが、何しろ私も頭の悪い獣人ですので、どうすれば良いかわからなくて・・・申し訳ございません」
「だから、それ言ったのボクじゃないって・・・
あーーーっ!」
その夜、俺は御姉様3人掛かりで徹底的にお仕置きをされた。
息も絶え絶えになった上に、何回も何回も天国に逝かされた俺だった。
「ほひぃ~たしゅけて~
たしゅけて~」
情けない声を上げる俺にシルビアがニンマリと笑って返事をする。
「ええ、ええ、助けてあげますとも!」
「もちろんです」
「まだまだ夜、いえ、朝までは長いですよ?」
「違いますよ、シルビアさん、お昼までですよ?」
「そうですわね?それ位躾をしないと、この子はわからないですね?」
「そうです!あんな女と私達を同じだと思う位ですから!」
俺は心から三人に訴える。
「思いまひぇん!もうれったいにひょんな事は思いまひぇん!」
しかし三人は疑わしげだ。
「本当かしら?」
「怪しいです!」
「そうですね?ここは徹底的に躾をしないと」
「そうですとも!」
「ええ、そうですね!」
こうして俺への躾は延々と翌昼まで続いた。
ハイ、もう金輪際この3人を疑ったりしません!
言う事も必ず聞きます!




